第6話 能力の覚醒

東進の代わりに道を案内し、ついに目的の店についた。が、店の前で二人は立ち尽くしている。


『定休日…』

まぁまぁ可愛い顔から発せられるその声からは彼女の感情がとても伝わる。そう、彼女はとても衝撃うけたのだ。ここまで30分ほど長い道を歩きそれが徒労だったことが衝撃なのだ

 

女子が東進の顔をみる


東進の顔は多少青ざめていた。初デート大失敗だ。おめでとう。


『あのさ…』女子が東進に声をかける



『な、なに?告白ならこんな場所じゃあ雰囲気が悪うおぉっ!』


突然ビンタをして、女子は逃げていった。


そこで僕は近づいて声をかける

『さんざんだったなぁ。ま、次があるよ』


『いろいろサポートしてくれたのにごめんな。おれ、何がダメだったんだろう』


『全部』


『え?』


『全部』


『全部?』


『うん』


『そっかぁ…』


しょぼくれてしまったようだが仕方がない、本当のことを言うのが彼のためである。


『色々散々だったな、今日はもう帰ろうぜ』


***

『おはよー!』


『夏美…今日も元気だね』


『そりゃ加代陸といれれば私はいつでも元気になれるよ』


『そっか…』


『前にも聞いたけど、何か悩んでる顔してるぞーどうしたの?話聞くよ』


相変わらず、夏美は鋭い。東進と健二を出し抜く計画が近づいているのだ。いじめっ子に直接殴りに行くのは東進とはいえ、普通に怖い


夏美にも話すべきだろうか、ここで話さないと夏美は自分が信用されていないのだと傷ついてしまうだろう。話すことにした。


『ってことがあってその復讐のために計画を立ててるんだよ。』


いじめられていたこと、好きな子を取られたこと、東進と一緒に計画した計画内容のこと、それらを話すと彼女は自分のことのように泣いてくれて、計画を話すと驚いたような顔をした。


朝からしんみりとしてしまったが彼女はその空気を吹き飛ばすように明るく励ましてくれた。


『そっか、色々大変だったんだね。大丈夫私は味方だよ。』


『そっかありがと。』


『私も話してくれて嬉しいよ、ありがとう。それで計画の話なんだけど、私も混ぜてくれない?』


『いやいや!流石にこんな危険なことには巻き込めないよ…』


『いいから、それに加代陸達の計画、酷すぎるよ。私のとっさに考えた計画の方が数倍マシ』


『いやいや絶対そんなことないから、東進はめちゃくちゃ頭いいんだぞ。』


『へぇー私より…か』ニヤニヤしながら夏美はリアクションを取った。


『じゃあその計画だけ聞かせてよそれで判断したい』


『いーよ私の計画はね…』



計画聞いて衝撃をだった。ここまで周到な計画をすぐに立てるなんて…夏美は凄すぎる。東進の計画が馬鹿みたいだ。いきなりボコボコにするなんて頭おかしいな…さっそく東進を交えて話そう



***

放課後、3人で教室に集まった


『はじめまして、斉藤夏美です!』


『…!東進…学です』


驚いた様子で東進がこちらに耳打ちする



『おいおいどうしたんだこの子』


『朝話した子だよ?』


『それはわかるけど…この子ヤベェって』


『やばい…?どういうこと?何かあったのか?』


『めちゃくちゃかわいい!』


『どうでもいいな…夏美、計画のこと東進に話してあげて』


『あのな?俺の計画よりいい計画って加代陸が言うから、聞いてあげるけどそんなのあるわけないじゃん?』


こいつ…女の子の前だとすげでうざくなるんだったっけな…



『いいから、話聞いてあげろよ』

顔がひきつってしまった夏美を横目に言う


『えーとそれでですね私の計画というのは…』



『うわっ…めちゃくちゃ用意周到だなどこにも穴がないように思える…』


『そうよね?これは私を混ぜるしかないよね?』


『そうだな』


『俺もそれがいいと思う。だが、2役とも俺と東進がやる』


『えーなんで?私だって参加したいんだけど』


『危険だからだ。夏美は健二を知らなすぎる、すぐに怒って夏美が殴られる可能性だってあるんだ。』


『大丈夫よ、私は天才だから』


『僕は心配して言っているんだ。』


『心配…?そ、それなら仕方ないわね』


それをみて東進は深くため息をついた


その意味を僕は察することができなかった


『とりあえず、盗聴器が必要ね、餌の方は私がなんとかするわ』


『わかった。盗聴器は俺がつけておく』


『俺は…何すればいい?』


『そうね、安く買って高く売れ!みたいな文句の経済誌と、つけ髭を揃えといて。』


『経済誌…?そんなの何に使うの…』


『いいから集めといて、少しでも可能性を上げるためにはなんだってするべきなの』



『…わかった。』


なんだが全部仕切らてしまった。夏美のリーダーシップに驚く。



その日はそもまま解散となり、各自準備をしようとなった。お互い、いろいろ準備があるので夏美とのご飯はまた今度にしようという話になった。よく考えたら、1番楽な役は僕なのかもしれない。


その日中につけ髭と雑誌を適当に購入して家に戻った。


時計を見る  まだ5時半か…少し暇だな。みんなはまだ忙しいだろうし、久しぶりに神様のところに行ってみるか。





『ほっほっほ、加代陸、会いにきてくれて嬉しいぞ、なんだが久しぶりじゃのう』



『加代陸?誰じゃ?ワシは神様じゃ。』


購入したつけひげをつけて神様のふりをする


『ほっほっほなかなか似合っとるぞそんなものなんで持ってるんじゃ』


『それがさー今壮大な計画が始まってるんだよそれに必要でさ、』


『なるほど…空から見守っているぞー』


『いやそれがさ、その計画がすごいんだって、友達が考えたんだけどさ本当にすごいんだ』


『なんじゃずいぶんと話したそうじゃな。どんな計画なんじゃ?』


『いやそれがさ…』





『ほう…なかなかの計画じゃないか。まぁもっともそれを買ってくれないとだめだよなぁ』


『健二なら買うと思うよ』


『そうかーあ、そうじゃ君に言い忘れてることがあった。君の能力をさらなる進化させることができるのじゃ』


『めちゃくちゃ楽しむべきなんだろうけど期待できないな…』


『まぁそういうなって本当にすごいから』


『そこまでいうなら期待しちゃうな』


『じゃあ[イケメンでもスポーツマンでもないけどモテモテになっちゃった!]って叫んで見てくれ』


『はぁー?そんな恥ずかしいことできるわけないだろ』


『いやいやそんなこと言わずに信じてみろってここには誰もいないんだから全裸踊りだって誰にも見られない』


『なるほど全裸踊りが見られないのかそれなら勿論やるのは全裸踊り…ではなくイケメンでもスポーツマンでもないのにモテモテになっちゃった!』


そう言い放った途端、目は充血し、なんだが時間が止まったように思えた。いや、実際に止まっているようだ。神様が止まっている。だがその間体を動かせないようだ。動かそうとすると時間が動き出してしまう気がする。


だがいつまでも止めていてもらちがあかないので動かしてみる。すごく自分の動きがのろい自分の筋肉ではこれが限界速度なんだと察する。神様を見ると何やら口を動かそうとしている

その全ての動きがスローモーションだ。



神様が声を発すると声がとても大きく聞こえ、そして低いそれがとてもうざったく、ずっと脳内で響いている感覚だ。


『うるさい、黙れ…』



つい、そう言ってしまった


だが神様は声を発し続ける。

そして察するこれは何かを伝えようとしているんだ、僕に。



神様の声に耳を澄ました



『解除って叫ぶんじゃ!』

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