転移した俺が幼馴染を探そうにも、与えられた力は最弱と蔑まされる『言魔士』だった
松井 ヨミ
第1話.転移…
シャランシャランッ
前後左右何処を見ても視界に入ってくる人の姿、縦横にいくつもの列を成し、先頭の人達が次々と本坪鈴を鳴らし、参拝をしていた。
既に年は切り替わり今は、2022年1月1日午前4時15分
そして一人の少年も、新年の幕開けと共に、高校受験の結果が僅かにでも上がるならと参拝に来た、長蛇の列を作っている内の一人であった。
少年の名前は
「ボーッとして、どうかしたの?」
そもそも
(可愛いから気にしないし、俺は良いけどさ。初詣に黒色の振り袖って、縁起的には駄目じゃ‥)
「ねぇえってばー」
「あッはい!…痛ッ」
「痛てッじゃないわよ、呼んでるのに返事しないし、返事したと思ったら大声出さないのっ、周りの迷惑になっちょうじゃない」
「返す言葉もございません‥」
「良いわよ、それで何考えてたの?」
「言えない‥言えるわけが無い、
「ちょっと、何考えてるのよ‥そんな余裕があるなら、少しは受験の心配でもしなさいよねッ!」
段々と早口に変わり、早く言い終えようとしていた
怒ってるように見えなくも無いが、赤みががった
「ちゃんと考えてるさ」
(じゃなきゃ、神頼みなんて、最終手段は使わないよ‥)
そして列は進み、
「二拝二拍手一拝だよな?」
「そうよ、後、賽銭箱の前に立った時と、拝礼して退く時に会釈するのも、作法だからね」
「流石だな、いつも助かるよ」
「これぐらいは常識よ、それに教えなかったら、スマホで調べようとするじゃん、それこと神様に失礼よ」
(バレてましたか‥確かにもう俺達の順番なのに、賽銭箱を目前にして調べるのは色々と不味いし、失礼極まりない)
階段を上がった二人が、賽銭箱まで歩いた二人は、粗同時に会釈をし、それぞれ賽銭を優しく投げ入れていた。
90度の深いお辞儀をゆっくりと2回、胸の高さで2回拍手をし、それが終わったら指先を綺麗に揃え、手を合わせてから神様に感謝し、各々の思いのままに祈る。
(どうかお願いします、高校に絶対合格したいです。お願いします)
そして
「え?」
参拝の途中でそんな声を出すのは、マナーとしては良くないだろうが、そんな事は既に
目を開き前を見た
そう賽銭箱を作る為には欠かせない木だ。それも大きな大樹と呼ぶに相応しいだろう立派な木が聳え立っていた。
「はぁ?えぇ?なっ、え……」
(どうなってるんだ、俺は
「嘘だろ、夢じゃないのかよ」
(冷静に考えろよ、冷静にだ・・・)
「ふぅ~」
(ヤバい、思考のペースはどうにか、ゆっくりに出来たが、心臓はバクバクだ。そして俺はどこからどう見ても、森に居るよな‥)
目の前には大樹があり、その周りにも樹木や木が沢山あり、その樹齢が長い事を告げるかの様に聳え立ち、その存在感を放っていた。
「森だなぁ~ならどこの森だよ」
(てか、普通に考えて現代技術で、そんなまか不思議な誘拐は不可能だ。つまりここは高確率で異世界と思った方だ良いのだろう、てか参拝してたのに神様は何の面会もなくいきなり異世界に飛ばすのかよ…‥おかしいだろッふざけんな)
(異世界かぁ~それなら)
「ステータス、とか言ったらでぇ――」
「はは...冗談キツイぜ、マジで…‥」
(俺が何でこんな目に合わなきゃいけないんだ、俺は
(不味い‥非常に不味いぞ、あいつは頭はめちゃくちゃ良いが、身体を動かす事は人並み以下だ、ここがよくある小説とかの異世界ならばモンスターが絶対に居る。俺が目を開けて森だったんだ、ほぼ真横に居た
「クソがッ、何でこうなるんだよ」
(あ、そういえばステータスが出てきたんだったな)
――ステータス――
【
【言魔士】Lv1
【H P】:10
【M P】:10
【STR】:1
【VIT】:1
【INT】:1
【RES】:1
【AGI】:1
【DEX】:1
スキル
【言魔法】Lv1
【言魔法対象】Lv1
【言魔法効果範囲】Lv1
【言魔法持続時間】Lv1
【言霊魔法】Lv1
【言霊魔法対象】Lv1
【言霊魔法効果範囲】Lv1
【言霊魔法持続時間】Lv1
パッシブスキル
【HP自動回復】Lv1
【MP自動回復】Lv1
『STP・5』『SP・5』『PSP・5』
(うわぁ..なんて情報の多さだよ、最近ゲーム出来てない身としてはこの複雑さは御免こうむりたい、いやガチで育成するなら楽しそうだよ?でも今はパパッと理解して少しでも
―
―
(焦っても仕方ない事もあるが、ステータスが出てきた時点でここは異世界確定だ。ステータスを理解しないで、自分の身すら守れないのなら意味がない。ここは冷静に自分のステータスについて考えたいが‥‥)
それから
(まず当たり前だがLvは1だな。そしてパラメータもオール1。恐らく自分でポイントを振って個性を出していく感じのステータスだな、STP・SP・PSPの3種類のポイントか、予想でSTPはステータスのパラメータ、SPがスキルで、PSPがパッシブスキル辺りか‥それ以外なら分からん。てかスキル言魔法って何だよ、他にも言霊魔法とかあるし、粗一緒じゃんか、何が違うんだよ)
【言魔法】Lv1
【言霊魔法】Lv1
(あぁ、どうせなら火魔法とかだったら、理解しやすそうで良かったんだけどな、言霊ってたしかあれだよな、言葉には力が宿るって言う、霊力?的な、信仰的な‥)
「火よ付け」
ならばと、思いついた
ポッ
そんな可愛らしい音と共に、火は指先に現れ、僅か一秒で消えていた。
(何だよ、この微妙なスキルは一秒で消えやがったし、よく見たらMP1減って9になってるし…マジかよ。これ絶対戦闘出来ない奴じゃん、これから後は勝手に効果範囲とか持続時間をSP振って個性的にしろって事だろ?)
「マジふざけてやがる」
(持続時間に1ポイント振った所で攻略サイトも無いから、何秒伸びるのかすら分からないし、どうせ割り振ったポイントはリセット出来ないんだろうな)
―
―
―
「結局悩んでもわからんタイプのモノだったな」
体力を温存する事を考えたら、やっている事は悪手だが、
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