第69話 平和への道

偽神レプリカとの戦いから2ヶ月、クロス達はようやく国に帰ってきた。


そして、国に着いたと同時に衛兵に呼び止められ、すぐさま国王のところまで行かされることとなった


————————————————————

~国王執務室~


国王「全く.....いったい何がどうなったのか、こっちが聞きたいと言うのに」ぶつぶつ


宰相「まあまあ、落ち着いてください、丁度クロス君達も帰ってきたとのことなので、こちらにお呼びしましたから」


国王は困り果てていた、クロス達が出発してから、この国の領土内にある町が崩壊していたことを知り、それを兵士達が調査を行った所、薬物が検出され、それが何処かの国に漏れて国際問題と化し、そして魔物の大移動、更には夜、仕事をしていると、まるでこの世の終わりを表す様な紅き夜となり、魔王城付近で起きているであろう戦闘音が、世界中に響き渡り、大気が震え、大地が揺れ、世界はこの世の終わりを悟った。


しかし、それは数時間のうちに終わり、まるで先程のことが嘘かのように静かになった。


その後、これは英雄と何か関係があるのではないか?という話が広まり、世界中の国々からことの説明をしてほしいとの手紙が連日届く、ただでさえ国内でもこのようなことで上手く回るはずもなく、食材の輸出入の低下、食材の値段が上がり、今国王はさまざまな面からの圧力で遂に胃に穴が2つ空いてしまった。


このままだと国王はストレスで倒れる所だったが、運良くクロス達が帰ってきて、これから今までのことを聞く予定だ。


コンコンコン


宰相「誰だ?」


クロス「クロスです、ただいま戻りました。」


宰相「入れ」


クロス「失礼します」ガチャ


フローズ「失礼します」


ミク「失礼します」


メミル「失礼します」


セシル「失礼します」


宰相「よく帰ってきましたね」


クロス「その言い方だと帰ってきて欲しくなかったように聞こえますが?」


珍しくクロスが食ってかかる、よくよく見るとフローズも何か変だ


国王「帰ってきて早々にすまないな、実は急ぎ聞きたいことがあるのだ、よいか?」


フローズ「はい、お父様」


そうして国王はクロス達がいなかった時に起きた出来事を、クロス達は旅の出来事を話した


国王「成る程........謎は全て解けたな」


そう言いながら、宰相が入れてくれたコーヒーを飲む


クロス「成る程、そんな事がこの国では起きていたのですね、すいません。」


そう言って謝る、いくら世界を救ったとはいえ、それのせいで苦しむ人がいたら意味がない


国王「いや、気にすることはない、元より国王になった時点でこうなることは予想できていた。」


それに......と付け加える


国王「お前達のおかげで、またこうして娘にも会えた、今回の件もお主達の言葉を元に世界に発表する」


フローズ「それでは......!」


国王「ああ」コト


コップを置いてほっとため息をこぼしながら言う。


国王「私達の国は魔王軍と講和することにする、そして魔王グエン達の復興を手伝い、領土を共同領地にする。」


これにより、人間の国の1つベンディ王国は魔族との講和派に入った、そして魔王グエンと、英雄クロス、フローズは旧知の仲でもあるため、双方の反対派の者達を講和派に変える事ができれば、これ以上血を流すこともなくなり、領土問題も魔族と人間で共有する事が出来れば、そこまでの道をつなげる事で、大きな連邦国となる


更に、これに反対する国があったとしても、世界を救った魔王、四天王、英雄、剣聖、聖女、賢者は講和派に入っており、あの20万の大軍をたった7人で壊滅させた程の実力を持つ、例え人族国家の全てが攻めて来ようとも、勝ち目はほぼないだろう。


ミク「これで、私達が生きている間は嫌でも従うしかない」


メミル「それに私達が死んだとしても、それまでに講和派をたくさん作ればいい」


セシル「まさか、こんな職業が役に立つ日が来るなんて」


ミク達は本来選ばれるはずではなかった、たまたま素質を持っていたからこそ、あそこまで戦えたのだ、もし素質がなければ、旅の途中で確実に死んでいただろう。


クロス「..........これで一先ずは終わったと思っていいのかな?」


フローズ「ええ、これ以上は無理ね後はグエン達が上手く立ち回ってくれるかが問題ね」


クロス「それは大丈夫だろ?シルフィがいるし」


フローズ「それもそうね」


そう言って2人はコーヒーを飲み干す


クロス「では、今回はこれでよろしいですか?」


国王「ああ、すまなかったな、ゆっくり休んでくれ」


フローズ「はい、お言葉に甘えて、そうさせていただきます。」


そう言って5人は立ち上がる


クロス「失礼しました」ガチャ


フローズ「失礼しました」


ミク「失礼しました」 


メミル「失礼しました」


セシル「失礼しました」


ガチャン


国王「..................ふう」


宰相「お疲れ様です、国王様、新しいコーヒーです」


国王「ああ、すまないな」


宰相「これから更に忙しくなりますね」


国王「ああ、でも、これ以上胃を痛めつけることは無くなりそうだ」


宰相「そうだといいのですが」


何かよからぬフラグを立てながら、これからの事を考え、国王はコーヒーを飲む


国王「ああ、胃が痛い」ズキズキ


————————————————————

~廊下~


クロス「..............」


フローズ「..................」


ミク「...................」


メミル「...................」


セシル「..................」


コツコツと足音だけが、響き渡る、5人の目には生気が宿っておらず、ただ黙って"ある場所へ"向かっていた


そこは—————


~食堂~


普段彼らは国王の為に朝と夜の食事は共に食べているが、元々はクロス、ミク、メミル、セシルは村人、フローズも、どちらかというとそっち側の食事に慣れている


その為、国王には何一つ言わずここに来る


それは何故か?


クロス「もぐもぐ」


フローズ「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!!!!!!」


ミク「ズズズズズ.......」


メミル「ゴクゴク」


セシル「ぱくぱく」


心置きなく食事が出来るからである


帰り道、彼らは重大な事に気付く


クロス「.........金が無い」


フローズ「(*´∇`*)?」


ミク「え?」


メミル「は?」


セシル「ちょ?」


普通に考えてみよう、あんな化け物と戦う時に金を持って戦う者がいるだろうか?


じゃらじゃらうるさいし、動くと邪魔だし、その為馬の荷物の中に入れておいたのだ。


そしてその馬はいない、じゃあ何故今まで気づかなかったのか、簡単だ


レプリカの事以外を考える余裕があるわけがないからだ。


そのため、森の中などは水や食料があったが、それ以外はない、元々村人であったクロス達はそこそこの断食には慣れている、フローズも食べる時はめちゃくちゃ食べるけど、その分空腹には強いなのでなんとか帰って来れたが、食べ物の匂いを嗅いでしまい、もう我慢の限界に達し、今に至る。


空腹は最高のスパイスとはよく言ったものだ。


後に彼らは生涯で1番美味しかった食事は何かと聞かれた時に真っ先に、この食事のことと言ったという


クロス「やばい、涙が止まらない」


フローズ「うううう、生きててよかったぁ~」


ミク「うん.....うん.....」


メミル「ああ、最っ高!」


セシル「おかわり」


シェフ「...............」


ちら.....


~皿の山~


シェフ「(*'▽'*)」


バタンッ


アルバイト「シェフーー!!!」


————————————————————

続く

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