第56話 何の為の力?

クロス「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!?????」


フローズ「グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!?????」


ミク「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!????」


メミル「ゴボッガバッああああああああああああああああああああああ!!!!!????」


セシル「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!?????」


グエン「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!?????」


シルフィ「あだま.....アダマがァァァわ.....れ、らレェぇぇぇぇ!!!???」


そこは最早、阿鼻叫喚だった。


クロス達が食べた種、覚醒の種はその秘めたる力を一気に解放する代わりに、その分の苦しみを一気に味わう。


つまり、その秘めたる力があればあるほど、その苦しみは増すのだ。


クロスとフローズは英雄の力と英雄武装の力をまだ3割も使いこなしていない、つまり残りの7割分の苦痛を今味わっている


グエンとシルフィも同様に魔王の力とダークエルフの中でシルフィだけ使える闇の力と闇武装、この2人もクロス達と同様にまだ完全に使いこなせていない分の苦痛を味わっている。


ミク、メミル、セシルは本来魔王を倒すために存在している、つまり言えば魔王に匹敵する力を持っていなければならない、そのためレプリカは手を抜いていたが、3人....いや勇者であるマンルも含めて"真面目に修行をしていれば"勝てる程度には強くなれるようにしていた。


そして本来の力も合わさり彼女達は想像を絶する程の苦しみを味わっている。


叫び声を出すがそれで苦痛が収まるわけがなく、それでも叫び続けるため喉から血が出る、それでも止まらない、止められない


彼らは後悔も出来ない、そんな感情よりも苦痛の感情の方があまりにも強く他の事を考える余裕がないのだ。


それでも彼らがやり続けたのは、気を失わない事、気を失えば、死ねるかもしれないが、彼らはしなかった。


そんな事を考えているわけではないが、心が動かしている、心の奥底にある強い決意が、彼らの心を突き動かしている、死ぬわけにはいかないと

負けるわけにはいかないと

失うわけにはいかないと


クロス達、前世の記憶を持つ者は

"同じ悲劇を繰り返さないためにも"


ミク達、今を生きる者は

"同じ悲しみを見ないためにも"


そして彼らは耐えた、終わりの見えない苦しみに、終わりがわからない恐怖に


決意を抱き続けた


————————————————————

それから、1日が過ぎた、最初の頃と比べると苦痛も大分無くなってきて、ミク、メミル、セシルは多少は動けるようになっていた。


それから数時間後、グエンとシルフィが


更に数時間後にはクロスとフローズが


そして2日後には彼らは覚醒の種の代償は消え、ついに己の潜在能力を全て引き出す事が出来た。


クロス「ごくごくごくごく......ぷはぁ生き返る~」


クロス達はセシルの魔法で喉を治してもらい、叫び続けて喉が枯れ、今水を飲んでいる。


フローズ「ん...ん...ん...はぁ!水がこんなにも美味しいって感じたのは生まれて初めてよ」


グエン「ぐび、ぐび、ぐび、んはぁ、くぅ、体に染みるなぁ」


シルフィ「............んっ、本当ですね、こんなにも美味しく感じるなんて」


ミク「本当に良かったよ、この村の水がまだ使えるなんて」


メミル「毒もなかったし、まさに奇跡としか言いようがないよ」


セシル「もしかして、これもグエン...さん達のおかげ....ですか?」


グエン「ん?ああこれは元からだよ、どうやら村の人間だけを狙ってたらしいな、この家だってこんなんだけど、俺達は何もしていない」


シルフィ「多分、レプリカは"村の人間を襲え"と命令しただけで、家とかに人がいなければ、いや、人が外にいれば多分それだけを狙っていた、だからこの村はここまで被害がなかったんだと思います。」


成る程、レプリカの事だから、暇つぶしの人間に対してそこまで本気にならない、だからこそ、この状態のなのだろう。


.....とても苛つく事だが。


そうクロスは考えながら水を飲む


そして己を体をいや、状態をよく見る


クロス(力が湧き上がる、と言うよりは本来の力が戻った感じ....いやそれ以上か)


フローズ「...クロス」


フローズが腕を掴んで話しかけてくる、どうやらフローズも同じらしい


クロス「フローズもか?」


フローズ「ええ」


ミク「?どうしたの」


皆水を飲んでいる中、唐突に話が聞こえミクは声をかける


クロス「ああ、俺達は覚醒の種で本来の.....いや、それ以上の力を手に入れたことに驚いてね」


グエン「....やはりクロス、お前もか」


クロス「お前もか....と言うことはグエンも」


グエン「ああ、多分シルフィもそうだと思うが、どうやら前世以上の力を手に入れたみたいだ」


シルフィ「そのようですね、ここまでの力は私も初めてです。」


フローズ「ミク達も大分変わったね、これなら私達といても足手纏いにはならないかな?」


ミク「はい、これなら多少はついていけると思います。」


メミル「ここまでしても、まだ追いつけないなんて、と思いますけど、それでも前よりは断然良いわね」


セシル「あのマンルよりも強いし、レプリカとも戦える程度には強くなった、これなら」


クロス「ああ、これで憂いはなくなった.....!」


そう言ってクロスは拳を強く握る、そしてフローズ、ミク、メミル、セシルを見て言う


クロス「ここまで来た、後は奴を倒すだけだ、それで全てが終わる」


フローズ「そうね、私達の旅もようやく終わる」


ミク「ここまで、長く感じたけど、案外短かったね」


メミル「約1か月....か最短距離を馬で走らせたからだけど、結構早いわね」


セシル「数日前まではこのまま実力で大丈夫か不安だったけど、今ならいける気がする」


彼女達の気合いもバッチリだ、そして今度はグエン達に声をかける


クロス「わかっての通り、俺達はレプリカを倒すために魔王城に向かう、是非お前達の力も借りたい....頼めるか?」


グエン「おいおい、水臭いぞ?何のために覚醒の種を用意したと思っている?」


シルフィ「これはとても希少のある種です、一般人にはまず見つけられません。それを5つ貴方達にそして2つを私達が食べました....これでわかりますよね?」


つまりはついてくるということか、ありがたい


クロス「これで、前世のパーティが集結したな」


ミク「英雄2人に魔王1人に四天王が1人」


メミル「これは中々の組み合わせだね」


セシル「これに剣聖、聖女、賢者の私達が加わって計7人」


クロス「それじゃあ、行こうか!世界を救いに!!」


皆「おう!」


————————————————————

???


レプリカ「ふーんやっとここまで来てくれるんだ、遅かったなぁ、まぁ他の村に言ってたら新しく作った薬でその村や町の人間達の苦しんだ表情を見て楽しみながら殺してたけどね♪」


レプリカ「それに、なんか強くなってる?へぇ中々やるじゃない」


レプリカ「これで僕とやっと遊べるくらいには強くなったのかな?」


レプリカ「さあ~てと、この体も飽きたしそろそろ"出来たかなぁ?"」


レプリカ「僕の新しい"体"♪」


レプリカ「それまでの時間稼ぎに魔物全員で殺しに行かせよう!」


レプリカ「さあ!塵供!最後の仕事だ!」


レプリカ「全員でクロス達を殺してこーい♪」


————————————————————

続く

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