第47話 英雄達の戦い クロス対フローズ
~闘技場~
そこには前と違い観客はおらずとても静かだった
しかし国王専用観客席には国王をはじめ、王妃、宰相、剣聖、聖女、賢者と名だたるメンバーが闘技場内にいる2人を見た
クロス「準備運動はこれぐらいでいいか」
フローズ「そうね、こんだけやれば、いいでしょう」
そう言って2人は国王を見る
国王「よいな?全力でやるのだぞ?」
クロス「はい、わかりました」
フローズ「では、始めたいと思います」
その瞬間辺りの空気が鋭くなった
国王達も異様な空気に冷や汗をかく
クロス「...............」
フローズ「................」
2人はただ黙って見合っているその姿を見て国王達は
国王「なにをやっているのだ、あれで戦っているとでも言うのか?」
王妃「そんなことはないはずよ、でもなんででしょうね」
宰相「君達は何かわかるか?」
と、2人がただ見合っているだけと思っているらしい。
しかし
ミク「ハァハァハァハァハァハァ」ガクガク
メミル「く......う.....あ......」ブルブル
セシル「ヒッあ.....あ....ああ」ガクブル
ミク達はまるでこの世の終わりのように顔を青ざめていた
国王「なんだ!?一体どうした!?」
国王が慌てて声をかける、ここまで青ざめる程の事を彼らはしていないのに何故?と
ミク「わ......わからないのですか?」
王妃「わからないってなにが?」
メミル「あの2人のことですよ.....っ」
宰相「ただ見合っているだけだが.......」
セシル「何言っているんですか!?あんなの始めですよ!?」
国王「だから何がだ!と聞いているのだ!」
国王の苛立ちが止まらない、訳がわからないのだ、あれの何が恐ろしいのかわからない、それがなによりも恐ろしく、ミク達に聞いている
ミク「殺気」
王妃「え?」
メミル「殺気ですよ、とても凍てつく程の恐ろしい殺気」
セシル「義兄さんとフローズ様は恋仲のはずなのに、まるで復讐、仇を見つけたかのような恐ろしい殺気ですよ!」
宰相「そんなになのか?」
ミク「多分、あたし達が剣聖だから、いや、ある一定のレベルまで達したらわかるはずです、あれは本当に死闘をするつもりです!」
国王「な......」
なんだと!すぐ辞めさせなければ!
と言おうとしていたのだろう、だが遅すぎた
クロス.フローズ
「死ね」
ドゴォォォォン!!!!!!!
会場の地面が全て抉れ、砂埃が国王達の所まで来る
セシル「はあ!」
それをセシルの賢者の力で国王達の周りを囲い砂ほどから守った
国王「助かった.....」
王妃「ありがとうございます、セシルさん」
セシル「いえ、当然の事をしたまでです。」
宰相「.....しかし、どうなっているんだ明らかに試合とは違うぞ」
ミク「まさか本当に殺し合ってるの?」
メミル「そ....そんなわけ....」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
煙の中激しい音が聞こえ、国王達は沈黙する
ドゴォォォォン!!!!!!!
再び衝撃がこちらに来て今度は煙が晴れる
そして、
国王「!?」
王妃「え.....あ....」
宰相「 」
ミク「あ......あははは」
メミル「嘘でしょ?」
セシル「なんで?どうして?」
彼らが見たのは勇者マンルとの戦い以上の死闘
紅き剣が鋭く光り、一回一回の斬撃に衝撃が走る
彼らは交わす事をせず、剣で受け止め、反撃をする、それを繰り返し
クロス.フローズ
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
また同時に攻撃し、周りの地面がさらに酷く抉られる
ギギギギギギギギギギギギギギギギッ!!!!
剣同士が擦れ合い、火花が散る
ガキィン!!
お互いがそのまま姿勢で攻撃したため、その勢いで2人は離れる
クロス「チッ」す.....
フローズ「フンッ」す.....
剣を構え、2人は深呼吸をする
息を吸い、吐いた瞬間息を止め、高速で移動する
ドン!ガキィン!ドゴ!ガッ!
目に見えないが音が聞こえる、それも同じところではなく、自分たちのすぐ近くに聞こえると思ったら次の瞬間には1番遠い所で聞こえる
時折一瞬見えるが、すぐに消えその数秒後に激しい音が聞こえる。
どうやらクロス達は音よりも速く移動しているらしく、音が遅れて聞こえている事に気づいた。
国王達は止めようとしていたが、あまりにも次元が違いすぎて何も言えなくなってしまった、ミク達もここまで次元そのものが違うことに絶望し、ただただ彼らの死闘を見るだけだった
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クロス.フローズ
「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」
あれから約1時間が過ぎた闘技場内はもうボロボロで周りの壁も最早廃墟のように崩れていた。
2人とも足元がおぼつかないのか、ふらふらしており、そして
クロス.フローズ
「また......ひきわけ......ハァ」バタン
そのまま気を失った
国王「や.....やっと終わった」
王妃「セシルのバリアがなければ今頃どうなっていたことか」
宰相「とりあえず2人を連れて行きましょう」
ミク「あたし達が運びます」
宰相「ではお願いします」
ミク「はい、じゃあメミル、フローズ様をお願いあたしはクロスを」
メミル「......わかったわ」
メミル(ミクめ、この状況でフローズ様じゃなくクロスがいいなんていえない状況を上手く使ってクロスに近づくとは、なかなかの策士ね)
セシル(疲れた....お腹すいた)
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~5時間後~
王妃「それで、なんであそこまで戦ったのかしら」
クロスとフローズは目が覚めた後、王妃に説教されていた、あの戦いは国中に響き、一体何が起きたのか、聞かれる羽目になったのだが、それを王妃が上手いこと誤魔化したのだ。
それせいで、今とても怒っている
クロス「だって本気で殺れって言うから.......」正座
フローズ「だから本気で殺ったのに.....」正座
王妃「は?」
クロス.フローズ
「なんでもありません!すいませんでした!!」土下座ぁ!
国王「.....やっぱり、ミスタ(王妃)は恐ろしいな」
宰相「しかし、あれ程の騒ぎを鎮められるとは、流石としか言いようがありません。」
それには同感だった、あれ程の数の騒ぎを止めることは国王自身でも厳しい、それを成し遂げた偉業はやはり長年付き添ってきた証拠だろう。
ミク「でも、これで実感できたこともあるわね」
そう言って、拳を握りしめる
メミル「ええ、私達とクロス達との差」
勇者マンルとの戦いを2回、レプリカとの戦い?で1回、彼女達はクロスの力を見た、そして今回、クロスとフローズ、2人の英雄の力を見て、確信した
セシル「これから先、強くなれるとしてもしばらくは足を確実に引っ張る、少しでも早く、追い付かないと...!」
と、自分の職業に胡座をかき、怠けていた分確実に弱くなっている自分達、しかしそれを取り戻す時間は余り残されておらず、それなのに、レプリカの人形となった者達が存在すれば自分達は今のままだと確実に負ける、それでも強くならなければならない、己のしでかした罪を償い、愛する人の為にこの命を燃やそうと
ミク「ええ!」
メミル「うん!」
深く深く心に刻み込んだ
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それから10日後、クロス達は出発した、国王もあれ程の戦いを見て、それでもクロス1人では絶対に勝てない程の敵がいる事を知った今、自分のわがままで行かせず、それでクロスが死ねばフローズはおろか、この世界は完全にレプリカの物となり世界は滅ぶ、そんな未来にさせない為にもフローズの旅を認めた。
クロス「じゃあ、みんな行こう」
フローズ「ええ」
ミク「うん!」
メミル「まかせて!」
セシル「がんばろう!」
そして彼らは馬を借り、レプリカのいる魔王城へと向かう、世界の命運をその身に託して。
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続く
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