第2章 勇者が残したもの

第23話 勇者対英雄

マンル「死ねぇー!」


開始早々マンルは一瞬のうちにしてクロスのところに近づき、攻撃を始めた。


間合いを詰め、心臓を突き刺すように構えながらそのまま剣を前に出す。


クロス(こいつ、本気で殺す気だな)


それを川の流れのように左へ躱し、足をかける、そうするとマンルは体勢を崩し前から倒れる


マンル「ふべ!?」


顔からダイブしたマンルはすぐに立ち上がりこちらに振り返りながら剣の斬撃を繰り出す、それをクロスは一歩下がる事でかわす。


体勢を立て直したマンルはそのままクロスに向かってひたすら剣を振るい続ける、そのスピードは一般の人達には見えず、高速の斬撃をかわすクロスを姿しか見えていない


勇者と英雄の力の差は、実際の所、

勇者の方が上である。


英雄の場合は誰かを守るために出現するのに対して

勇者は魔王を倒すために存在するため

力というより能力値が高いのだ。


例えるとするならば、一般の人が20km走ったとしよう、

勇者の場合だとその半分、つまり10km

で20km走った分と同じトレーニングとなるのだ、さらに女神の加護で元々の身体的能力も上がる

実際の所、本来であればこの戦いは最早戦いすらならないのだ。


そう"本来"なら


観客——-


「おい!クロスって奴1回も勇者様の攻撃に当たってないぞ!」


「あんな速さの攻撃を余裕そうにかわすなんて、なにものなんだ!?」


村——-


クロス母「クロス....」

クロス父「大丈夫だ、クロスなら勝てる!」


マンルの女達——-


ミク「なんでマンルの攻撃が当たんないなよ!」

メミル「きっとズルしてるんだわ!あの卑怯者!」

セシル「許せない...!」


クロスとマンルの戦いは一方的だ、

マンルがクロスを斬ろうとして、

クロスがかわす。


しかもクロスはギリギリかわすのではなく、あからさまにゆっくりとかわしている。


マンルは苛立ってきた、今までは騎士達と模擬戦をしたり剣聖であるミクとやったりもした、それに全て圧倒的な差で勝てていたのに、クロスという男は反撃できるはずなのに、ただ避けるだけなのだ。


マンル「舐めやがってぇぇぇ!!!!」


力を更に込めて攻撃する

それでも当たらず、しまいには


クロス「ふぁぁぁー...。」


マンル(欠伸だとーー!?)


マンルの怒りは頂点に達した。


マンル「もう手加減なんかするもんかぁ!!!お前をじっくりと、なぶり殺しにしようとしたかったがもういい!!」


そう言ってマンルは一旦離れて、はぁぁぁぁぁと言いながら剣に魔力を込めている。


クロス(おいおい、あれは確か)


マンルの女達——-


「あれってまさか!?」

「ええ、マンルの最強の技よ!」

「フフ、これであいつも死んだわね♪」


ミク「いっけーマンルー!」

メミル「あんな奴すぐに殺しちゃえー!」

セシル「やっちゃえー!」


国王——-


国王「おい!あれはまさか!?」


王妃「ええ、このままだとクロスが危ないわ!?」


宰相「すぐにやめさせましょう!!」


フローズ「いいえその必要はありません。」


国王達が焦っている中、フローズだけは冷静だった。


国王「なんじゃと!?」


国王はフローズの言葉に疑問を持った

しかし


王妃「なら、信用してもいいのね。」


王妃はすぐに信じた


国王「なんでじゃ!?」



王妃「簡単です、フローズが愛した男が、あんな奴に負けるはずがないからです。」 


フローズ「お母様」


宰相(これが、女の勘なのだろうか、ここまで王妃様が信用するなんて、なら

クロス君、私も君を信用しよう)


様々な思いがある中、マンルは叫んだ


マンル「待たせたなぁ!これで君も終わりだ!!」


マンルは満面の笑みを浮かべながら、こちらに叫ぶ。


クロス「ここまで待ってやったんだ、少しはマシな攻撃なんだろうな?」


絶望するかと思っていたクロスが、余裕な顔でそういう。


マンルはまた苦虫を潰した顔で


マンル「調子に乗りやがって!!だが」


マンルは剣を上にあげ。


マンル「これで最後だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


思い切り振り下ろす。


クロス「!?」


その瞬間マンルの足元に亀裂が入る、

そしてとてつもない斬撃がクロスに向かってくる。


クロス「まさか、まさか!こんな、こんなことってあるのかよ!?」


斬撃音で他の人には聞こえなかったが、クロスは言った。


クロス「”この程度”だと!?」


その瞬間、斬撃がクロスに直撃する


ドォぉぉぉぉぉぉん!!!!


と激しい衝撃音と爆風が闘技場内を襲う


皆が目を瞑りその衝撃が収まるのを待つ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


砂埃が地面に落ちると音と煙で周りがよく見えない。


だが勇者の声が聞こえる


マンル「は、はは、ははは」


マンル「あーはははぁー!!!!!」


マンル「ザマァみろぉー!このクソ野郎がー!!!この僕に逆らったのが運の尽きだー!」


マンル「どうだ!フローズ!これで君もいい加減目が覚めただろう!さあ、僕の所に来るがいい!」


マンル(僕は勇者だ、何が英雄だ!そんなもの僕の前では無力だ!さあ浮気をしたフローズには今晩たっぷりとお仕置きしないとねぇ。)


そうやって高らかに声をあげて、勝利を確信したマンルは満面の笑みを浮かべ、


クロス「...おいおい、この程度の攻撃で死ぬと思っていたのかよ?」


マンル「え?」


スタスタスタ とこちらに近づいてくる足音


マンルの満面の笑みは崩れて驚きと絶望した顔で彼をみる。


煙が晴れ、観客が見た景色はまさに衝撃の光景だった。


マンルの女達——-


ミク「嘘でしょ!?」


メミル「あのマンルの攻撃を食らって無傷!?」


セシル「そんな、そんな事って!?」


国王——-


国王「おお!?」


宰相「信じてみると言ったが、これは凄いな。」


王妃「まぁ、これぐらいじゃないと

フローズの夫は務まりませんよ」


フローズ「まぁ当然ね」


観客——-


「嘘だろおい!」

「英雄すげぇな!」

「カッコいい....!!!」


村——-


村長「クロス...」

クロス母「あの子あんなにも強く」

クロス父「本当にクロスなのか」

ミク父「ミクは本当に見る目がなかったな」

ミク母「ええ、こんなにも、優しくて誰よりも私達を愛してくれていたあの子を裏切るから、こんな目にあうんだよ。」


クロス「さてと、そろそろ」


マンルはクロスが一歩踏み出すたびに後ろに下がる。


マンルにとって初めての恐怖と絶望

あの攻撃はマンルにとっての最強の技、それを無傷でいられる者などいないと思っていた。


クロス「こちらからも攻撃してもいいよな?」


こいつが現れるまでは


マンル「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」


最早言葉にすらならない言葉で剣を振り回す


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


頭の中でパニックに陥っているマンルはクロスを見るだけで恐怖に陥る


クロス(こいつが本当に勇者か?)


そう思いながら、試合用の剣で勇者の剣を弾き飛ばす。


すると勇者はパニック状態が悪化して

尻餅をつき、失禁しあたりが硫黄臭くなる。


涙や鼻水等で顔がぐちょぐちょ、その姿はまるで幼き子供が親にこっぴどく叱られる姿に似ていた。


クロス「悪いな勇者、その"眼"消させてもらうぞ」


そうしてクロスは剣に魔力を込めて

マンルの目を斬る。


マンル「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


ジタバタと暴れ回り、そして


クロス「気絶、したか」


そして決着がついた。


だが、


ミク「あ、ああああ!!!」


メミル「汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された汚された」


セシル「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」


マンルの婚約者達が一斉に発狂し始めた。


————————————————————

本当はもっと戦いを細かく書きたかったのですが、これが限界でした(^◇^;)

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