第15話 村長

私は元々この村の住民ではない。


とある町で生まれ育ったごく普通の人間だった。


ただ、彼に、クロスと似ている部分があるとしたら、


幼馴染みが婚約者だった


というところかな?


幼馴染みとは本当に仲が良く、結婚後の話とかもいろいろした。


家族ぐるみの付き合いで、彼女の家族達から孫を楽しみにしているよ、と茶化される事もあった。


幸せだった、この幸せがずっと続いて欲しかった。


しかし、ある日幼馴染みからいきなりこんなことを言われた。


「婚約を破棄にして欲しい。」


何を言われたのか全然わからない、頭が真っ白になる、なんで?どうして?


そう思って何か言おうとしたら後ろから男がやってきた。


そこに現れたのは、その町の権力者の息子だった。


「悪いなwこいつはもう俺のものだからw」


そう言って彼女の肩に手を置く。


それから何かを言われていたが頭の中に何一つ入って来なかった。


そこから先が全然覚えていない、気がついたら家にいて、自分の部屋にいて泣いていた。


そんな中、親からも何か言われていたが、何も聞こえないし、何もしたくない。


そんな絶望の中、彼女が部屋に入ってきた。


そして彼女は彼の目の前まで行き。


土下座した。


何が起こっているのかわからない、そう唖然としていると、婚約破棄の本当の理由を話し始めた。


実は、かなり前から彼奴から求婚されていて、毎回断っていたが、父親の力を使って彼女の両親に多大な被害を食らわしていたらしい。


このままだと生活ができない。


そう悩んでいたら、いきなり拐われて、睡眠薬を飲ませれ、気絶した時に、彼奴の家で犯されたらしい。


そして彼にバラされたくはければ、黙って来いと言われ、ずっとされていたらしい。


そしてそいつの子を孕っていると泣きながら説明された。


彼女は


「ごめんなさい、貴方にあげるはずだったキスも初めても、全部、全部取られちゃった、本当にごめんなさい。」


そう泣きながら言われた


その後、彼女とその両親は町の中央に引っ越して行き、彼は失意のなか、ただ呆然と眺めていた。


何もしたくない


頭の中にあるのは彼女との思い出、そして彼奴への憎しみ、そして何も出来ない自分の無力さを。


それからしばらくして彼は旅に出ることにした。


このままだと自分は何も出来なくなる、そう思った彼は両親に話し町の外に出た、彼は町の外に出るのは初めてで色んな経験をしているうちに月日が経ち彼女の事も徐々に吹っ切れてきた。


そんなある日のこと、森で野宿しようとテントを用意していたら、悲鳴が聞こえ始めた。 


何事だと思い駆けつけると、馬車馬が倒れ、護衛らしき者達は盗賊に襲われていた。


盗賊は7人


襲われているもの達は


護衛3人

女性1人

老人1人


最早勝ち目はない


どうやら、ここは彼奴らの縄張りらしい、事を荒げると自分自身も碌な目に合わない、とっとと逃げようとして、ふと思い出す。


それは彼女が寝取られ己の無力さを知ったあの日の事を。


もし、ここで見捨てれば俺は2度と前を向けない、逃げるわけにはいかない!


俺はもう、弱くない!!!


剣を抜き、盗賊の死角に入り1人を殺す。


それに気づいた1人がこちらを向く前に首を刎ねる。


残り5人


驚いた盗賊を護衛1人殺し、その隙に護衛2人が1人の盗賊の心臓を突き刺す。


残り2人


やばいと思ったのか逃げようよとする、しかし彼は剣を投げ、1人の盗賊の足に刺さる、倒れると同時にもう1人の足を掴んだ為、2人とも転倒する。その隙に護衛がとどめを指す。


なんとか事を終えた。


男から剣を抜き、鞘に収める。


そして襲われた人たちのところに行く。


大丈夫か聞きに行ったところどうやら平気なようだ。


それならと思い立ち去ろうとすると呼び止められた。


どうやらお礼がしたいらしい、しかしお礼が欲しくてやったわけではないので断って去ろうとすると。


ならば護衛として村まで来て欲しいらしい。


そこで宿を提供したいと言われた。


確かにこのまま進めば、いずれその村に着くそれが遅いか、早いかの話だ


それならばと了承し彼らとともにした。


そこまでの間で話を聞くと、どうやらあの老人はそこの村長をやっており、その女性は娘らしい。


社会勉強の為に村の外に出したらしい。


護衛は村の若者の中で強い3人を選んで連れてきたが、盗賊に襲われてピンチだったらしい。


俺のことも聞かれたが、正直はなしたくなかった。



だけどこの日ばかりは、誰かに言いたかったのか、全て話してしまった。


それを聞いた村長は涙を流しながら、娘も悲しそうな瞳でこちらを見ていた。


そして、 そうか

と一言言ったかと思ったら


では、ワシの娘と結婚しないか?


と、突拍子もなく言われた。


は?え?結婚?俺が?


いきなり過ぎて驚いたが、なんとか

初対面の人にそんなこと言って良いんですか?


と答えた、すると村長は笑いながらこう答えた


"瞳がこのご時世でここまで綺麗な人は見たことないと。"


そして、彼女も一目惚れしたと


最早何も言えなくなってしまったが、村についてこう言われた。


村長「確かにいきなり過ぎたな、ではお付き合いからどうかな?」


娘も潤んだ瞳でこちらを見ていた。


断りにくくなり、付き合って、やっぱり無理だったら別れても良いという条件で付き合い始めた。


それから、両親に手紙でここにしばらく住む事を伝えた、口ではこう言っていたが、実際の所、人間不信いや、女性不信になりかけていたので、これを気に少しでも変われたら、そう思っていたのかもしれない。


娘はとても優しくこんな自分にも親切だった、しかし、俺は後一歩が怖い、また裏切られるのではないか?また奪われるのではないか?とそのせいで距離をとってしまう。


その時の彼女の顔はとても寂しそうだった。


それでも彼女は懸命に支えた何故?こんな奴に優しくするのか、一回尋ねてみた。


すると


私は貴方のその心の優しさに救われました。貴方が人間を女性を信用できなくなっても、私たちを助けてくれた、だからこそ今の命を貴方の為に支えたい


そう言って帰って行った。


それから彼は少しずつだが、変わっていった、娘と話しても嫌にならずむしろ楽しくなっていた。


そしてこの村に来てから1年


彼は娘と結婚した。


子供にも恵まれ、新しく村長になってからも村のために頑張った。


それから数十年後、別の村が魔物に襲われたと聞いて、調べに行っていた者達が帰ってきた。


そこには小さな子供がいた。


それから彼はその子供を可愛がった、嫁も家に来た時は歓迎してお菓子などをよく食べさせていた。


そしてその子供は成長し、幼馴染みと婚約した。


村長は昔の自分が叶わなかった、その姿を見てその子供は結ばれて欲しいと切に願った。


勇者が村にやってきて、その幼馴染みと彼の姉妹達が4職の職業に選ばれた事を知った。


胸騒ぎがする。


何もなければ良いが、


それから更に1年後、勇者達が再びここに訪れてその歓迎会の準備で疲れた彼は家に帰り、明日の朝彼らを見送るために早く寝ようとした。


トントントン


その時、ドアからノックが聞こえ、開けると、


そこにはその子供と両親、幼馴染みの両親が来ていた。


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補足


 クロスが皆んな優しい村と言っていたが、違うのでは?


"クロスにとって"ですね、危害を加えようとした者は、全員彼女達がヤってますからね。


 クロスを殺そうとした、者達は?


大まかに言えば村の中でも食糧があまり足りない者達ですね、いきなり来て本来であれば自分達が食べるはずだった物を奪われたので、始末しようも動きます。


 村長は知ってるの?


気づかれたら村から追い出されるので、密かにやろうとし、彼女達の所為で失敗している。


 幼馴染み達が可哀想。


確かに彼女達は、クロスのために色々してくれています。

ただ、その限度を知らずにクロスのためと称して、彼のしたい事、やりたい事をほぼ全て奪われたので、クロス自身も

"なんとかしたい"という気持ちでやっていますね。


 クロスとフローズが腹黒


このまま事が進むと

 クロス 

もしマンルの能力が効かなかったら


一生束縛生活、もしくは監禁生活、最早何もできない。


 フローズ

もし結婚したら


勇者の権力と国王の義理の息子としての権力でやりたい放題、国崩壊


最早、一刻の猶予もないため考えがヤバくなっている。


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娘「わたしゃの名前は?」


村長「んなこと言われたら、ワシもじゃよ」

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次回から再開すると言いましたが、章も一旦終わったので、キャラ紹介を次回したいと思います。

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