第9話 転機と必然の訪れ

そんな生活のなかでクロスが16歳の時、

義父がぎっくり腰をやった。どうやら義父はこの村の為に薬草を定期的に採集していたらしく、それがないと色々と困るらしい。

そこで息子であるクロスが頼まれたのである。

無論彼女達もついて行こうとしたが。


クロス「外には魔物がいる、1人ならまだしも3人もだと守れる自信はない、だから義父さんの面倒を見ていて欲しいんだ。.......頼む」


ここまで真剣に話したのはいつぶりだろうか、いつもはこれでも無理だが、今回は....。


ミク「ま....まぁいいわよ。(2人きりになりたいけど。)」


メミル「はぁ、しょがないわね。(そうなるとこいつらが何しでかすかわからないし。)」


セシル「兄さん早く帰ってきてくださいね。(それにこっちで好感度を上げれるかもしれないしね。)」


すんなり行けた。いつもは何がなんでも一緒にいようとするのに、そう不思議に思いながらも久しぶりに1人になれるそう思うと義父さんには悪いが感謝している。


そして薬草を取りに行った。


そして無事に収集し終わり村の皆んなから感謝された。


この事が嬉しくて彼はもっと貢献したいと思った。(勿論、彼女達から離れたい気持ちもある。)


その日からクロスはトレーニングと称して毎日行った。


それは、義父の時は1週間に1回くらいで、まとめて持ってきていたが、それだと量も多いので、それも踏まえて、彼は毎日行くようになった。


1日に数時間それは彼にとっての楽しみにもなった。


ぎっくり腰が治ってからも、クロスは行き続けた、それにはミク達も不満があったが、

「村に貢献したいから。」と言う理由を言い、それに感動した義父母達が

「娘達にも何かやらそう」と決め、彼女達に話しをした。


無論最初は反対だったが、クロスの為にも、と義母が巧みにあやつり彼女達も

「彼に私達の女子力を見せつけて驚かせよう!」

(彼女達はクロス以上に何も出来ない。てかクロスの女子力が馬鹿でかいから。)


と決め、クロスが薬草を取りに行っている時間彼女達はいろんな事を学んだ、料理、洗濯はもちろん事、彼の心を射止める為に様々な事を学んでいった。


そうして、クロスは薬草を取りに行きある程度貯まったら秘密の場所に行く。


そこはクロスが少し探検したいと言う好奇心で見つけたところだ。


そこは森の中だが、ある一部分だけ雑草しか生えていないところがある。


そしてその中央には小さな湖があるその湖はとても綺麗でとても澄んでいた。


彼はここで心を癒す、この場所に行くと何故か懐かしを感じ心が安らぐ、そのため今日も行こうと向かい


クロス「ん?」


   「え?」


彼女と出会う。


————————————————————


........彼を見ると思うのは、"懐かしい"。

初めて見るのに涙が止まらない。


彼の方を見ると驚きながら涙を見せる。


何故だろう、心が満たされる、こんなにも胸がドキドキするなんて。


........彼女を見ると、彼女は涙を浮かべながら、こちらを微笑んでいる。


その姿を見ると何故かこちらも涙がでる。


まるで空いていたピースが埋まったかのような不思議な気分になる。


「「あの」」


声が被る、しかし声を聞いただけで何故か嬉しくなり、心が弾む、ドキドキが止まらない。何故?


クロス「あの?」


フローズ「え?あっはい!」


不意に声をかけられる、戸惑いながらも応える。


クロス「貴女もここにくるのですか?」


彼女に声をかけるしかし何かいい話も浮かばないので取り敢えずありきたりの質問をする。


フローズ「ええ、気分を落ち着かせたい時に来ます。」


クロス「そうですか、奇遇ですね俺もです。」


そう言って笑みを浮かべる2人、その姿はとても美しく初々しいカップルのようだった。


それからしばらくして特に話もなく少し距離を置いて湖を眺めていると少し日が影ってきて、


クロス「!やべもうこんな時間か!」


フローズ「まずい早く帰らないと!」


2人は慌てて帰る準備をする。


そして帰ろうとして、ふと彼女は振り返り


フローズ「あの!」


クロス「はい!」


彼も振り返り


フローズ「.......また会えますか?」


クロス「はい、俺はいつもこの時間帯に来ているので」


フローズ「そうですか、ありがとうございます!」


クロス「いえ!それじゃあまた!」


フローズ「はい!また会いましょう!」


そう言って彼らはここをさった。


ちなみに2人とも帰りが遅く両親に絞られた。


それから毎日、彼らは会っている。

いろんな話をした。


彼女は王族でしかも国王の娘だと言うこと、彼は孤児で義父母に助けられたこと。


いろんな事を話しいつしか彼らは名前で呼び合っていた。


クロス「また、きてくれたんだなフローズ」


馬に乗って彼女が来る、そして木に紐を括り付けてこちらに来る。


フローズ「ええ、貴方もねクロス」


そう言って笑みを浮かべる、彼といると自然と笑える。


クロス「相変わらず暇だね...でも」


フローズ「そうね...でも」


そう言って2人は同じ事を思う


「貴方(君)といるだけで心が安らぐよ」


そうやって彼らは笑う、こんなにも心から笑ったのはいつぶりだろうか、こんなにも気を許せる人は初めてだ。


クロス「でもしかし、君が王族だとは思わなかったとしかも国王の娘とか」


フローズ「....その割には言葉使い変わってないね?」


クロスにそう質問する、そうするとクロスは


クロス「それでは、これからはフローズ姫と呼ばせていただきたいと思うのですが、お許し願えますか?」


彼は意地悪だそんな風に呼ばれるとなんか嫌だ。


フローズ「.................」


.....潤んだ瞳でこちらを見る、くそ、彼女は意地悪だ


クロス「すいません」


フローズ「..........」ジー

だきっ


クロス「え?」


いきなり抱きつかれて驚く、そしてクロスの胸元で


フローズ「意地悪した罰」


そう言ってぎゅーっと抱きしめる。

その姿を見て


クロス(やばい可愛い、天使だ)


そして無防備な頭を撫でる

んっと声を出してそのまま撫でられる。気に入っているのだろうか?


そんな事をしているとふと思い出してクロスは言う


クロス「そう言うお前こそ、俺は村人で孤児だぞ、こんなことしていいのかよ」


そう、王族はわからないが貴族は偏見が多い、こう言う人間は家畜かそれ以下と思っているものも少なくない。

クロスはその事を聞くと


フローズ「クロスはクロスだからいいの」


クロス「....ふっなんだそりゃ」


でも気持ちは伝わってくる、たとえどんな立場でも彼女は身分ではなく1人の人間として見てくれていると、そうしてクロスは頭を撫でるのをやめ


フローズ「あっ」


フローズの背中に手を回して抱きつく。


彼(女)から甘くいい香りがする。

これだけで何時間もずっとこうしていられる。そう思った。


あれから、また何時間か経ちそろそろ帰る時間になった。


フローズ「ねぇ」


クロス「ん?」


フローズが馬に乗る準備をしている途中でふとクロスに話しかける。


同時に振り返るとフローズは真剣な顔でクロスを見ていた。


フローズ「クロスってさ」


クロス「うん」


少し間を置いて


フローズ「なんか悩みとかあるの?」


クロス「悩み?」


うんとフローズは答える。


フローズ「貴方と会う時いつも疲れてるからつい気になっちゃって。」


そんなにも疲れているのだろうか?たしかに彼女達のせいで精神的にまいっているのは確かだが。


クロス「そっか、バレてたか」


フローズ「やっぱり」


クロス「本当は君に知られたくなかったんだ。」


フローズ「そうだったのね、ごめんなさい。」


そう言って頭を下げる。軽率だった、でも彼が苦しんでいるのは見たくない。その気持ちが強くなってつい言ってしまった。


そうやって反省していると。


クロス「君もそうだよね?フローズ」


フローズ「え?」


同じ?私が?

そう悩んでいると


クロス「君もここにくる時毎回目が澱んでいるもん。」


やっぱりバレてたか、多分彼も私と同じ気持ちだったのだろう。気になってたけど傷つけたくないという気持ち、でも助けたいと思う気持ち、

今回は私から言ったから多分クロスも言ったんだろう。


クロス「話したくなかったら話さなくていい。でも何か助けになれるのなら、今日はもう遅いから、帰ってから考えて、話したいと思ったらここに来て話してほしい。」


そうまくしたてて、クロスは


クロス「俺も話すから。」


そう言った、その瞳には何か決意のようなものを感じる、多分私もそうだろう。


フローズ「わかったわ、じゃあまた明日」


クロス「ああまた」


そうして初めて会う約束をし、そして


フローズ「クロス待って!」


そう言って、馬から降り、抱き合った、お互いの鼓動が聞こえるかもしれないくらいドキドキしている。でもこんなにも心地よい気分になれるのは彼だけだろう。


クロス「...............」


フローズ「...............」


そして2人は見つめ合い、唇と唇が重なった。


そして2人は離れて帰った


その頬は紅く染まっていた。



————————————————————


もし、彼らがここで出会わなければ2人とも不遇の人生を送ったかもしれない、いや、もしかしたらここで出会わなければ、これから先の人生はもっと楽だったかもしれない。

しかし彼らはここで出逢ってしまった。

これから先どんな運命が立ちはだかるかもわからない、荊棘の道だとしても"今まで"がそうであったように"今回"もまた進むだろう。

それが2人の選んだ道ならば。


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