第22話 アルテミス、初めての買い食い

 ギルドを出た私は、行ったことがあるナダルさんのお店に行くことにした。


 商品を買う予定はないので、ウインドウショッピングですけどね。

 でも前回はどんな商品があるのか見ていないので見てみたいのです。


 ナダルさんの店に行く目的は、どんな商品を扱っているのかとナダルさんとナタリアさんに会うためです。


「いらっしゃいませ。あら、アルテミスちゃんやないか。今日は一人なん?」


「はい。買うかわかりませんが、お店の商品見て回っていいですか?」


「勿論ええよ」


 お店に入ると出迎えてくれたのは、ナタリアさんだった。

 ナダルさんにも会いたかったが丁度、出掛けていていないらしい。


 そして許可をもらえたので、お店の中を回って見ているとベッドやタンスなどの家具、この世界には電気はないけど、冷蔵庫などの前世で家電と言われる物、食材、武器や防具、ポーション類など色々あった。


 気になった剣があった。

 こちらの世界では、使う人はあまりいなく、取り扱っているお店も少ないらしい。前世で刀と言われていた物だ。


 冒険者登録しているし、武器は必要なのだがお父様とお母様の許可なく買うと怒られそうだからやめておいた。


 それにロングソードなど両刃のこちらの世界では一般的な剣は、子供用も取り扱っているが刀は、既製品で、ここのお店で作っているものではないから私には、長すぎて扱えきれない。


 どうしても刀が欲しかったら武器屋か鍛冶屋に頼んでオーダーメイドで作ってもらうことになる。


「何か気になるもんでもあったかい?」


「はい。冒険者登録しているので、武器は必要なので刀が気になったのですが、許可なく勝手に買うわけにもいきませんし、既製品なので私には長すぎるので諦めました」


「そやな。カエサルさんとマリア様の許可はいるわな。もし刀が欲しいんやったら、ドワーフがやっとるドワドワっちゅう武器屋があるから許可もろうたらカエサルさん一緒に行ってみたらええわ」


「教えてくれてありがとうございます。今度は何か買いに来ますね」


「そんなん気にせんでええよ」


 ナダルさんのお店を出てしばらく歩いていると何かを焼いているいい匂いがしてきて小腹が空いてきたので、屋台で何か食べ物を買うことにした。


「お肉、お魚どっちにしよう」


(イリスとルクスはどっちがいい?)


 一人では決められなかったので、私の影の中にいるイリスとルクスに念話で聞いてみた。


 従魔登録したからできるようになったのか聞いてみたら、そうではなく魔獣にはできず、イリスとルクスが神獣なので契約者の影に潜むことができるとのことだ。


 それなら従魔登録必要なかったのではとも思ったが、連れて歩くこともあるから必要だと思い直した。


(お肉がいいわね)


(魚がいい)


 イリスはお肉でルクスはお魚か……意見がわかれちゃったけど両方食べてみたいし、お肉とお魚両方買おう。


 まずは、お肉の串焼きの屋台に向かった。


(イリス。タレと塩どっちがいい?)


(両方よ)


「すみません。串焼きタレと塩二本ずつください」



「あいよ。四本で銅貨四枚だ」


 お金を払い串焼きの入った紙袋を受け取ると今度はお魚串焼きの屋台へ向かった。


「すみません。串焼き三本ください」


「あいよ。三本で銅貨三枚だ」


 お金を払い串焼きの入った紙袋を受け取ると近くにベンチを見つけたのでベンチに座って食べることにした。


 ベンチに座ると紙袋から塩味のお肉の串焼きを二本出して、タレ味のお肉の袋の上に串焼きを置いて塩味の串焼きが入っていた紙袋を広げた。


 まずは塩味の串焼きを串からお肉を外して、広げた紙袋の上に並べ、次にタレ味の串焼きを一本袋から出し、同じように串から外して、塩味のお肉の横に並べ地面に置いた。


 魚の串焼きも一本出して、自分の分の塩味のお肉の串焼きが乗った紙袋の上に置いてから、魚の串焼きの紙袋を広げて、二本の串焼きの串から魚を抜いて、袋を地面に置いた。


(イリス、ルクス。出てきて食べていいよ)


 二匹は私の影から出ると何も言わずにバクバク食べ始めた。


 私もまずは、お肉の串焼きの塩から食べ始めた。


「美味しい」


(どちらの味もいけるわね)


(魚最高)


 串焼きに満足した私たちは、お昼の時間までに帰らないと行けない。

 食後休憩を少し取って、行きと同じように私はイリスに乗って、家に帰ったのであった。

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