転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也

序章

転生しました

 氷室れんは、十六歳の時から五年間入院生活を送っていた。


 れんが高校に入学して、新しい友人も出来、楽しい高校生活を送っていたが、夏休み中に交通事故に遭って、病院に搬送された。


 怪我の方は、一ヶ月くらいで完治したものの、搬送された際の検査の結果、病気が見つかった為に怪我が治っても入院生活が続いた。


 入院生活の五年間の間に何度も手術を受けて、腫瘍を切除したが、その度に再発を繰り返し、入院して五年目となったある日を境に、日に日に衰弱して行った。


「お父さん……お母さん……。今まで……あり……がとう。

 私、もうすぐ……死んじゃうんでしょう?」


「そんな事、言うんじゃない!!」


「そうよ。これまで頑張って来たんだから……」


 両親も医師から告げられているのだろう。

 元気づけようとして、言葉を掛けてくれるが、涙を流している。


「親より先に……死んじゃう……親不孝な……娘でごめ……ね。今まで……育て……てくれて……ありがとう……」


「「れん~!!起きろ(て)目を覚ませ(して)」」


 そして、私は意識を手放した。



「あれ、私、あのまま死んだんだね?」


 気がつくと全てが真っ白な部屋にいた。


「二人を悲しませることになっちゃったけど、お父さんとお母さんにお礼は言えたからよかった」


「はじめまして、氷室れんさん」


 突然、目の前に美しい女性が現れ、名前を呼ばれた。


「はじめまして……あなたはどなたです?」


「私は、れんさんが居た地球とは、別の世界の神です。

 地球の神にお願いして、亡くなったれんさんの魂をこちらの世界に連れてきて貰ったのです」


 神様ですか……


「私はこれからどうなるのですか?」


「れんさんには、私の管理する世界で、生まれ変わってもらって、私の世界を楽しんでもらいたいのです」


「それだけですか?」


「はい。それだけです。長い入院生活で、楽しいことも出来ず、若くして亡くなられてしまったので、今度は、たくさん楽しんでもらいたかったのです」


「そうなのですか。ありがとうございます」


「いえいえ。礼には及びません。私がれんさんを気に入ったので、行っただけですからね。

 色々、特別にしますので、長生きできますから自由に楽しんでください」


「わかりました?」


 よくわからなかったので、返事が疑問型になってしまった。


 急に私の体が光だした。


「そろそろ時間のようですね」



「オギャア~オギャア~」


 次に目を覚ますと優しそうな女性に抱かれていた。


 無事、転生したんだな。今世は、神様が言っていた通り、長生きして人生を楽しもう。

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