転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

第一章 カルディナ王国編

第1話 アルテミス、迷子になる

　れんは、この世界に転生して、アルテミスという名を両親から付けられ、大切に育てられてきた。

　アルテミスは、森の中にある家で、両親と暮らしている。

　アルテミスには、両親にも話していない秘密があり、それはこことは違う、別の世界で生きていた記憶を持った転生者だということだ。

　いつもは、なにか用がある時には、お父様かお母様のどちらかが街に出掛けていて、アルテミスは留守番していた。

　ずっと森の中から出たことなかったアルテミスは、六歳になったので、初めて両親と一緒に森を出て、街に出掛けることになった。

「アルテミス、初めて街に行くのだから、お父様とお母様から離れちゃダメだよ」

「わかってます。お母様」

　いつ見てもお父様もお母様も若く美しい顔立ちだよな。

　そして、森の奥に住んでいるので、アルテミス足では大変なので、お父様の転移魔法で、街の近くまで転移して、そこから歩いて街に向かった。

「ここが街なのですか。大きな門がありますよ！大きな街ですね」

　はじめて見る街には、入り口に門があり、すごく大きく感じた。

　だって、前世の街には、街が外壁で被われていることなんてなかったのだから。

「そうだね。でも、この街は王都から少し離れているから、そんなに大きな街じゃないんだよ」

「じゃあ、王都は、もっと大きな門があって、もっと大きいのですね」

「そうだよ。機会があれば、みんなで一緒に行こうね」

「はい。楽しみにしてます」

「じゃあ、街に入るのに身分証明のチェックが必要だから、門番さんのところに行こうね」

「はい。でも私、身分証持ってないですよ。

　私だけ街に入れないってことはないですよね？」

　折角、来たのに自分だけ入れないかもしないかもと思いなんだか悲しい気持ちになってきた。

　前世の記憶もあり、二十一歳まで生きた記憶もあるけど、気持ちが体に引っ張られて、精神が幼くなっているんだろうな。

「安心して、ちゃんと入れるわよ。

　今回は、アルテミスの身分証を作るのも目的の一つなのよ」

「よかった。早く自分の身分証欲しいです」

　列が進み、私たちの番になった。

「カエサルさん、マリアさん、じゃないですか。

　久しぶりですね。そちらのお嬢ちゃんは、お二人の娘さんですか？」

「そうだよ。アルテミスっていうんだ。

　アルテミスちゃんと挨拶できるかな？」

「アルテミスです。六歳です。今日は初めて街に連れてきてもらいました。お兄さんの名前は？」

「おお、お兄さんって年でもないが、そう言われると嬉しいな。

　おじさんは、ここの門番をしているダダンだよ」

「よろしくね。ダダンさん」

「六歳ってことは、アルテミスちゃんの身分証を作りに来たのか」

「そうだ。それも目的の一つだな。後ろ待っているし、チェック頼むよ」

「おお、そうだった。二人ならチェックなしで通してもいいんだけどな。これも決まりだから仕方ないがな。通っていいてますよ」

　そして、ダダンさんは、お父様とお母様の身分証のチェックして、街にを入る許可が出たので、街の中に入った。

　それにしても、お父様とお母様ならチェックなしで通してもいいってどういうことだろう？

　二人ともたまに用事で街に出掛けるけど、何しているのかな？

「わぁ、凄い！！人がたくさんいる！！お店もいっぱいある！！」

「ほら、はしゃぎたい気持ちはわかるけど、一人でどこかに行こうとしちゃダメだよ」

「はい。ごめんなさい」

　そして、必要なものを買ったりしながら色んな店に行ったりしたけど、私は退屈になってしまった。

　そして、何かないかとキョロキョロとしている見ている間に両親を見失い迷子になってしまった。