第5話 口紅の表現

初めて塗った口紅の色は、オレンジ色だった。


一番、自分にあった気がしたから。


口紅の蓋をとり、片手は支えながら片手でクルクルと回して、口紅を出していく。支えながら唇にそって、丁寧に色を重ねていく。


一連の動作に、憧れはつまっていた。


そして少しはみ出したオレンジの口紅は、ういういしさをだしていた。


赤よりも控えめで、健康的なイメージは男の僕でも許される気がしたから。

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