願いと現実の関係について

第7話 失敗は裏切らない

　ここで逆説的な話になるが、失敗について述べたい。失敗にも色々な種類があるが、例えば野球選手を目指して練習していたが、交通事故にあってしまった。もちろんこのことは、単純な不幸な事故ということもあるだろうし、野球をする土台となる日常生活がどうだったかたということもあるかもしれない。しかし、その点については一旦置く。

　すなわち、実際の野球を行っていく過程での失敗である。近代は、たしかに上手な戦略でスマートにプロテストを合格するというのが好まれる節はあるかもしれない。しかし、プロテストに出てみて、そこで失敗したことを反省してまたプロテストを受けたとしたら、少なくとも少しずつ前には進んでいるということになる。少なくとも、野球選手になるんだと思いながらも結局家でテレビを見てポテチを食べているだけ、という状態に比べれば、目標に近づいている。

　しかし、そのことが目標とする結果を掴み取る保証はなく、結びついてもいない。しかし、前進していることだけは確かなのだ。その意味で、失敗を乗り越えるということは、目標に近づくための不可欠な要素である。

　前章で、宝くじの話をしたが、宝くじにおいて、自分の狙った番号が当たらなかった、そこで反省して、別の方法を考えようとすれば前進しているということが言えるのだろうか。仮に、どのような方法でどのような番号を選んでも当選する確率が変わらないという宝くじのシステムがあり、それに対して色々な方法で挑戦してみた結果、どのような方法も宝くじの当選する確率を高めることができなかった、そういった状況である時、その人の努力はムダなのだろうか。私にはそうは思われない。