勘違い系交流

バブみ道日丿宮組

お題:知らぬ間の諦め 制限時間:15分

勘違い系交流

 僕には好きな人がいた。

 かわいい系のちょっとショタっぽい感じの男の子。

 女の子の格好させてたら可愛いんだろうなぁって毎日眺めてる。

 教室ではそれで弄る人も結構いる。そのたびに、真っ赤になるまで怒るんだもの。愛らしい存在だよね。

 そんな彼と急接近したのが、席替えのときだった。

 彼は一番うしろで、その前が僕だった。

 会話ができるチャンスだと思って、思い切って朝の時間、休み時間に声をかけた。

 彼は断ることはなくて、きちんと話をしてくれた。

 趣味がぬいぐるみ集めで、アニメのよくわからない動物のものを集めるのが楽しいらしい。

 スマホで写真を見せてもらった。動物園というより、怪奇屋敷みたいなぎゅうぎゅう感だった。

 

 そこからぐーんと距離が近くなった。


 昼食の時間に仲間に入れられたり、修学旅行の班に入れてくれた。

 グループに入るという結果になった。

 いつも日常会話をすることに。

 それで文化祭の時期が近づいて、劇をすることになった。

 男の子っぽい女子が王子で、女の子っぽい男子がお姫の白雪姫が決まった。

 もちろん、僕と彼だ。

 いんな色の声があがった。

 的確だとか、きっと可愛い。もっとかっこよくしたい。etc etc.

 練習が始まると、彼の側には一人の女性がいることが多くなった。

 話の流れ的に僕じゃないかって思ってると、どうやら彼女だったらしい。

 あ、彼女いるんだと思ったら、胸が痛くなった。

 僕だけに優しくしてくれてたわけじゃない。当然だよね……見えてるところだけが真実じゃない。むしろ見えないところこそが真実なんだって。

 意気消沈した。

 演技もミスを連続して、今日の練習はなし。

「はぁ……」

 気分が色んな意味で重い。

 文化祭終わったら告白しようと思ってたんだけどなー。

 諦めが浮かんだ。

 だって、相手がいるんだもの。それをとるなんて、NTRじゃん。よくないよ。世間での評価はよくない。

「待ってくれると思ったのに、どうして出てっちゃったの?」

 下駄箱で外履きに履き直してると、彼がやってきた。彼女はいなかった。

「今日は一緒に帰って、女の子の服を見てもらおうと思ったのに」

「彼女にやってもらえばいいんじゃないでしょうか」

 投げやりな言葉だった。

「彼女?」

 しばしの無言。

「あぁ、あいつはただの幼馴染だよ。どんな可愛いのになるか見たかったんだってさ」

 胸の奥がどきどきした。

 これってあれだよね。脈があるかもしれないんだよね?

「行きます」

「えっ?」

「買い物ついていきます!」

 ここは勝負に出ても良いかもしれない。

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勘違い系交流 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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