寓話

〈優しい王様〉

 昔々あるところに、小さな王国がありました。


 小さな王国には、優しい王様がいました。


 王様は困っている民を見かけると、自らの財産と領地を惜しみなく分け与えました。そのおかげで優しい王様は、すっかり貧乏になってしまいました。

 

 あるとき、一人の家臣が王様の前に進み出て、王様にこう言いました。


「王自らのお身体に火を着けてまで、民を暖める必要などどこにありましょうか?」


すると、優しい王様はこう答えました。


「結局、私のその身体は、民から搾り上げたもので出来ているんだよ。」



 十年後…


 小さな優しい王国は、

 もうどこにもありませんでした。


________________________

お人好しは必ず損をするけれど、

そもそもお人好しって、損得勘定なんかで

動いていないのかもしれませんね。

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