日常のこと

バブみ道日丿宮組

お題:紅茶としきたり 制限時間:15分

日常のこと

 しきたりとは、決まったこと。

 だから、生徒会に顔を出すのは普通のこと。

 それも生徒会長に「生徒会室に来てください」と言われれば、断ることなんてできない。

 お誘いは教室で、ざわつくところで、いつだって彼女はまわりをあまり見ない。

 幼い頃からそれは変わらず、ずっと交流は続いてた。

 だからこそ、

「どうかしら?」

「……美味しいけれど」

 視線が痛い。

 生徒会長の施しを受けてるのが、で僕ただ一人というのが余計に悪い。

 彼女に悪気はない。ただの好意で僕に接してくれてる。

 他の生徒会員はそうでもない。ガンガン敵意を僕に向けてる。劈くレーザーが搭載してれば、すぐにでも僕の身体は穴だらけになってるぐらい。

 学校で噂されるのは、弱みを握ってるだとか、暴力に負けたとか、そんなもの。

 噂は彼女の耳にも入ってるのだろうが、対応は変わらない。

 噂なんて所詮噂と思ってるのか、言わせたままにするのが気持ちがいいのか。答えはわからないし、聞くこともないと思う。

 それほどに僕と彼女の繋がりは深い……深いのだが。

「この紅茶はお気に入りなの」

「それはそれは……」

 大変なものを頂いておりますね!

「この後予定ある?」

「……ないけれど」

 部活は帰宅部だし、なにか習い事を習ってるわけでもない。

「じゃぁ一緒に帰りましょう。今日の仕事は終わったから」

 笑顔はとてもかわいかった。写真にとって保存しておきたいぐらいには、キラキラしてた。

「飲み終わったら行きましょ。それまで、本を読んでるわ」

 生徒会長席に彼女は向かい、宣言通り本をかばんから取り出し、読み始めた。

 視線はそちらに移動したので、熱い紅茶を頑張って勢いよく飲んで、

「終わりました!」

 報告。

「はやいのね。行きましょう」

 一連の動作で本をしまうと、かばんを持ち、僕の隣へ。

「さぁ」

 そしておもむろに手をとって、廊下へ。

 視線が倍以上に痛くなったのは、当然のことだった。

 それから、今日は何して過ごそうか、夕ご飯は何にするかという話をしながら、家に帰った。

 同棲してることは仲のいい友だちしか知らないが、バレたらおそらく大変なことになるんだろうなと、他人事のように思ってた。


 そのときがくるまではーー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日常のこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る