第9話 ◆教室にて

教室につき、ドアを開けると先ほどまで騒がしかった教室がシンとなる。


それを無視するように私は席に向かう。席一列が長い机とそれと同じ長さの椅子が10列ほど続いており、私は席の一番前に座る。


 「ニール、あなたもここに座りなさい。」


私の隣をさしながら。ニールに座るように言う。


 「よろしいのですか?」

 「ええ、カイル殿下の隣は確定しているようですから。」


ちらっと横を見るとカイル様のとなりにはミラさんの姿があった。


 「・・・わかりました。」

 「さあ、先生が来るわよ。」


ニールが座ろうとするときにシールとクロスが急いで、教室に入ってきて、私たちをにらみながら、カイル様の近くに腰をおろす。

そのタイミングでシリウス先が教室に入って来て、教卓につく。


 「みなさん、おはようございます。今日は転入生が来ております。ニール君。」


先生によばれ、その場でニールが立ち上がる。


 「初めまして、ニールと申します。同級生ではありますが、ミシェル様の従者でもあります。どうぞ、よろしくお願いします。」


ニールが自己紹介でこんなことを言うのは私を通してからしか声をかけれないという意味を含ませているんだろう。

理解した者は拍手をすることもなく、じっとしている。

そんな中、一人の拍手が響く。

ミラさんだ。


 「よろしくお願いしますね、ニールさん。」


その拍手に続くようにカイル様達も拍手し始めて、教室全体に広がる。

そのことに満足そうなミラさん。

何を考えているのやら・・・。


拍手をとめるように教壇を軽く叩く先生。


 「それでは、今日は剣術の講義がありますので移動えを開始してください。」


先生は先に準備を済ませるために出ていき、その後、生徒達が移動を開始する。

私たちも立ち上がり、向かおうとすると、その背中にミラさんの声がかかる。


 「すいません、ニールさんは剣術の講義については知っていますか?」

 「はい、事前に調べてはあります。」

 「そ、そうなんですか、では一緒にいきませんか?」

 「いえ、行く場所もわかっておりますし、第一、私はミシェル様の従者です。それにミラ様はカイル殿下と行った方がいいでしょう。」

 

置いて行かれたカイル殿下を見ると不機嫌な顔でついてきている。


 「どうしてもですか?」


これだけ言われても上目づかいで媚を売ろうとするミラさん。


 「ミシェル様の迷惑になるのでおやめください。」

 

断固として拒否するニールにショックをうけるミラさん。

その肩を抱くようにカイル様がやさしく慰め、時々、こちらをにらんでいる。

何が気にいらないのやら。


そんな遣り取りをしながら、剣術の講義をする訓練場に着く。

ここには壁が魔力加工をして強度を増しており、切り裂いたり、魔法を飛ばしたりしても、ビクともしない性能がある。なので、剣の使用、魔法の使用はここでのみ許されている。

そして、剣術の講義内容は男子は模擬戦を組んでやってもらい、女子にはナイフほどの小さなエモノで護身術を練習する時間となっている。

その授業でペアを今、決めているのだが、声がかかる。一人でいたニールに声がかかる。


 「ニール、勝負だ!」


そこには木剣をニールに向けて、対戦を望むシールの姿があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る