第45話 指名依頼

密会が終わり、二階から降りる。

 

 「店主、どうもありがとな。また、くるんでよろしく。」

 「いえいえ、どうもありがとうございます。またのおこしをお待ちしております。」


ナイル達は店を後にした後、ジャンさん達に事情を聞いてきた。


 「カサネ、相手はなんの用だったんだ?」

 「なんか仕入れてほしいものがあるそうで、それの相談ですね。」

 「スキル玉か?もしそうなら早いうちにこの町から出た方がいいかもしれないぞ。」

 「え、カサネさんいなくなっちゃうの!?」

 「せっかく、仲良くなったのにね。」


シャルちゃんがしょんぼりとしているのをなだめるシルビアさん。


 「ち、違いますよ!欲しいものっていうのはここから遠いところにある調味料のことなんですよ、醤油っていうんですけども」

 「醤油?なんだそれは。」

 「たしか、大豆という豆を発酵させてつくるものらしいです。俺が冒険者ということを聞いて依頼しようかという話になったんですよ。」

 「そういえば、あの方、商業ギルドの重鎮ニコル様だったわね、この店のことで会議したときにいたわよ。」 

 「ほお、そんな方に目をつけられたのか。でも、Bランク以上じゃないと外に出る許可がでないだろう。」

 「そこは優先的に依頼をまわしてくれるそうです。」

 「そこまでの高待遇・・・。まあ、お前の実力に目をつけられたとみるべきか。」

 「そうなんですかね?まあ、とにかく、まだ、お世話になりますから、シャルちゃんも大丈夫だよ。」

 「良かったぁ。」

 

安心させるようにシャルちゃんの頭をなでながら、今後の自分の動きを考えていた。



次の日、ギルドに行くとリナさんが俺を手で招いた。


 「カサネ君、指名依頼があるんだけど、どういうことなの?」

 「指名依頼ですか?」

 「商業ギルドのニコル様からね、いつの間に知り合いになったの?」

 「昨日、店で会っただけですけども・・・。」

 「それだけ?確かに将来有望だけれども・・・。まあ、いいわ。では、依頼はこれよ。」


指名依頼

 

 ゴブリンの巣の除去 白銀貨5枚


先日、西の岩山にて、洞窟の一つがゴブリンの巣となっているとの情報あり。これを殲滅を依頼する。現地には案内人かね協力者をつける。


 「ゴブリンの巣ですか。大体何体いるもんなんですか?」

 「岩山の洞窟はせまいから、せいぜい20体くらいよ。まあ、カサネ君はカッパーゴートを倒せるんだから、油断しなきゃ大丈夫よ。」

 「そうですか、では受けますね。」


俺は依頼を受けて、西門に向かう。同行人はどこにいるか聞いていないけど、どこにいるんだろうか?

西門が見えてきたところで、先日あったキリヤさんが門に背中を預け、待っていた。


 「遅い。」

 「時間の指定はないはずですけど。」

 「いくぞ。」

 「ちょ、ちょっと!」


こちらの意見も聞かずにキリヤは先に門をくぐる。それを俺は駆け足で追いかける。

キリヤはどんどんと岩山進んでいき、俺はそれになんとか追いかける。


 「ここだ。」


やっと止まったと思ったら、もう洞窟の前だった。


 「この巣の殲滅はお前にまかせる、せいぜい、頑張るんだな。」


そういうと洞窟の横の岩に背中を預けて、目を閉じる。


 (協力ってここまでなのか。)

 『いいじゃないか。俺のことを見られる危険性がないし。』

 (それはそうだけど、態度が悪すぎないか?)

 『大方、主人に気にかけられてるお前が目ざわりなんだろう。』

 (とにかく、行きますか。)

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