第34話 カッパーゴート
吐き気がおさまり、ゴブリンの討伐証明に耳をナイフで切る。
(吐き気がおさまったのに、またぶり返しそうな作業は嫌だな。)
『まあ、ガンバレ。そういや、お前のいないうちにスキルとったぞ。』
(ゴブリンってなんのスキル持ってるんだよ。)
『繁殖と棒術』
(繁殖は人間に必要あるか?棒術も棒をイチイチ使う時に玉を使うのはメンドイな。)
『武器に玉入れる穴でも開けりゃ、使えるんじゃないか?」
(とりあえず、この棍棒とゴブリンの魔石でやってみるか。)
棍棒の柄の部分にナイフでくぼみを堀り、つくった棒術のスキル玉をはめ込んでみる。
『どうだ?』
(振りやすい感じはするな。試しに岩でも叩いてみるか。)
手頃の岩に振り下ろして見ると岩にヒビが入る
『強くはなるようだな。』
(でも、棍棒が・・・。)
棍棒が中程から折れてしまっている。ゴブリンのもっていたもんだから、そりゃ粗悪品、期待はできない。
(スキル玉にふさわしいもんか、鉄パイプとかバールとかならいけるか?)
『なんだそれ?』
(元世界の武器?だよ。喧嘩なんかで使われてるかな?)
『この世界と変わらんな。』
(いやいや、コッチの方がヤバイわ)
そんな会話をしていると岩山の上から石の転がる音が聞こえた。
その音のした方を向くと岩山を降りるヤギを見つける。
そのヤギは茶色に光る角を持ち、角からはチリチリと音がしている。
(なんだ、あのヤギ?)
ヤギはこちらを見つけると、こちらに駆け下りてくる。
あわてて、回避すると回避しら直後、体を硬直するような感覚がおそう。
(体が!?)
『ヤバイ、距離を開けろ!解説も使っておけ!』
(ああ。)
解説を使ってみると
種族 カッパーゴート
スキル パラライズホーン
(もしかして、電気か!?)
『電気生み出すのがいるのか?』
(多分、静電気かな?毛が振動して摩擦で電気が出て、角に蓄積されてるとか。)
『うかつの近寄れないぞ。』
(あちらさんは近付いてくるけどな。)
カッパーゴートは岩山をかけながら、こちらの周りを回って、時折突進してくる。
回避する度に電気に触れてしまい、体の動きが遅くなる。
(はやくなんとかしないと。スライムゼリーで覆えば、電気をおさえつけれるか?)
『そんなに多めに持ってないだろ?』
(となるとこの辺りでとれるもので工夫するしかないか。)
辺りにあるのは岩、砂、後は・・・。あれはさっきヒビを入れた岩の奥に光るものは鉄?鉄か・・・。あれもあるか?
辺りから集めるイメージで・・・。ヨシ!
手に集め終わる頃、カッパーゴートがこちらに突進してきた。
(くらえ!)
俺は手の中身を突進してきた瞬間に撒き、横に避ける。
カッパーゴートは俺の放った粉にかかった瞬間、電気が放電し、自身が感電する。
「べェエエエ!?」
その隙に角をスライムゼリー覆い、先ほど回収したスキル玉「棒術」と棍棒を使い、頭を滅多打ちにする。
棍棒が折れ、次の棍棒が折れるくらいになった頃、やっとカッパーゴートの息を止めることができた。
(ふう、なんとかなった。)
『お疲れ、さっきの粉はなんだ?』
(さっきのは砂鉄だよ。絶縁体がないなら、逆に通すものを使うしかないってね。あんまり褒められた戦い方じゃないけど。)
『そうだな』
頭がボロボロになっているカッパーゴートをみながら息をついた。
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