第6話 追放

案内されてから、部屋の中でスキルアイテムリストの確認をする。

心の中でアイテムリストと呼ぶ。何も起こらない。

次に声を出してみる。

 「アイテムリスト」

すると、自分の視界に透明なウィンドウがでてくる。ウインドウのは何も表示されない。

試しに先ほど書いてポケットにいれておいた紙を入れると念じる。

すると紙が消え。ウィンドウに 紙1と表示される。

どうやら、リストに移動できたようだ。つづけて、右手に出そうと念じると右手の上に紙が現れ、ウインドウには表示がなくなる。

そして、ほったらかしにするとウィンドウは消えるのも確認。

今のところは部屋の中には紛失してはいけないものしかない。この紙のみを入れて検証は終了。

確認も済んだところで明日、追い出される可能性もあると思い、ベットに入る。


翌日、ドンドンとドアを叩く音で起こされ、寝ぼけたまま、ドアを開ける。

そこには昨日、俺を案内した兵士がいた。もう気遣いがいらないのか不機嫌な顔を隠すこともなく。

 「はい、なんでしょうか?」

 「王からの命令だ、ついてきてもらおう。」

有無を言わさず、部屋から出され、そのまま城の外へと連れていかれる。

 「これは餞別だ、受け取れ。」

城門の外へと出されると、小袋を投げられた。

小袋は投げられた際に封がとれ、中のものがぶちまけられる。どうやら、金貨のようだ。

散らばった金貨をもくもくとひろい、小袋にしまう俺をニヤニヤと見る兵士。

すべての金貨を回収した後、小袋の半分くらいしかないことに気づく。兵士の反応を見ると中抜きされているようだ。

 「それを受け取った時点でもう、お前はこの城と関係がなくなった。とっとと、ここから去れ!」

もうどうしようもないなと思いつつ、城門を離れる俺。

チラっと後ろを見ると先ほどのやり取りを見ていた通行人がつけてくるのが見えるが、それを無視したまま、兵士は城の中へと入っていく。


それから城から離れるように城下町を歩きながら、アイテムリストを開く。

このウィンドウはどうも本人にしか見えないようで、他人がこちらを気にすることもなく歩いている。

俺は手に持った小袋から金貨一枚ずつ、アイテムリストに入れていき、半分くらいになったところで、後ろからドンと衝撃がきて、そのまま、路地裏へと連れ込まれた。

なんとか後ろに蹴りを放ち、拘束から抜けるとその人物と向かうあう。その人物はナイフを持つチンピラのようだ。

 「っ!何するんだ!」

 「へ、お前が金貨を持っていることはわかっているんだ。死にたくなきゃよこしな。」

ナイフをこちらに向けながら、金を要求してくる。

これは予想できたが、ここからどうするか?金貨を渡すふりをして、アイテムリストに相手のナイフを入れてみようか?

 「さっさ、としねえか!」

数秒悩んでいたら、相手がナイフを振り上げ、襲い掛かってこようとしてきた。なんとも短気なチンピラである。

が、その行動はチンピラの後ろから伸びてきた手によって抑えられた。

 「はい、現行犯。」

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