STAR HORIZON
@axlglint_josyou
本編
Prologue
とある村での物語。
「君は誰なの?」
銀髪と青い瞳の少年は、木の太枝に座る青い長髪の少女に語りかけた。
明かりのない夜空は星々が綺麗で、月明かりに映る少女は・・・もっと綺麗だった。
まるで、見たことの無いお星様のような女の子。
「名前はないよ」
表情なく、静かに。
幼い少女らしからぬ、大人びた声色で。
「なら、僕が名前をあげる!」
「え・・・?」
幼い少年は、木に一生懸命に登ろうとした。
今まであまり木登りはしなかったのだろう。
登ってくる様子はあまりに遅くて、不格好。
だけど、ひとりぼっちな少女の傍にいてやりたい気持ちがひたすらに伝わってくる、その優しさに星のような少女は驚いて
「──────」
そしてようやく、隣に座る少年は嬉しそうに笑う。
それに、少女は酷く惹かれるように身を寄せた。
今まで何にも見つからず、何にも近寄らなかったのに。
「アステル!そうだ、君はアステルだ!」
手を握って笑う少年は、少女を
瞬間、胸に灯った熱を少女は忘れることはない。
彼女はもう、夜空にすら映らない星から彼という空にある一番星になっていた。
「僕はルフト!」
あれから、毎日、毎晩、少年と少女は会話を重ねた。
重ねる度に、心は繋がっていくようで
そして、ああ。一番少女を堕としたといえば
「僕は男の子だから。ピンチのときは、君を必ず守ってみせるよ」
身の丈も分からず、でも絶対に果たせる確信が何故かあって───それがとても、暖かかった。
とある宮殿での物語。
「貴女は・・・」
灰色の髪の少年は、着飾った少女に遭遇した。
夜更かしをしていたのだろうか。
蝋燭の灯りに照らされた少女は、笑っていた。
神々しさがありながら、年相応に少女は笑む。
「■■。それが名前」
表情豊かに、明るく。
幼い少女らしく、笑顔で活発に。
「なら、そのようにお呼びしても?」
「いいよ!」
少年もそこそこ地位がある立場だが、目の前の少女がかなりの立場であることは理解出来た。
少女は目の前にいる少年が大人びていて、まるで
「〜〜〜〜〜っ!」
それが、我儘に付き合ってくれる子だから嬉しくて。
今まで誰も近寄らなかったし、皆に遠慮されていたのに。
「申し遅れました。ぼくはデイビッド。」
やはり騎士のように膝をつき、名乗る。
どこにでもあるような、そんな名前。
この出逢いを、忘れることは無いだろう。
お互い、お互いを大切に想っていた。
「御用があれば、いつでも遊び相手になります」
あれから、毎日、少年と少女は会話と遊戯をした。
けれど逢う度に、少女の心は空になっていくようで。表情も肌も、温もりを感じられなくなり。
そして、遂にはその真実を知った少年は誓うのだ。
「────必ず、貴女をお救い致します」
身の丈を理解し、故にこそ幾年かかろうとも必ずと生涯の誓いとして─────少年はいつしか、剣のように冷たくなった。
これは、星を巡る創世神話。
これは、歴史の分岐点。
星海に刻む、新たな1ページである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます