初恋で最後の恋

千夜すう

ただのクラスメイト

中学1年のクラスメイト。


私は貴方を好きでも嫌いでもなく、ただのクラスメイトだと認識しておりました。

貴方も私と大して変わりなくそう思っていたのでしょう?


貴方は元気で明るくて優しい性格から、友達が多い皆に頼られる人気者でした。

対して私は、本を読むのが好きで休み時間にも読んでしまう友達が少ない子だった。


ただのクラスメイトと認識していたのが変わったのはいつだったかしら?

そう。休日に偶然にあった日ではなかったかしらね。


その日が始まりだと思う。


私は、年の離れた姉に会いに行く為に隣町まで出掛けました。

姉と待ち合わせをしていたのが13:00だったが、姉は急遽、外せない用事が出来てしまって、1時間遅れると連絡が来ました。

困った事にその時には、待ち合わせ場所に着いていた。さぁ、どうしましょうかと悩みました。

そんな悩んでる私に、貴方は私を見かけて声を掛けてくれましたね。

私の苗字を読んで偶然だねと言い、私は驚きながら、そうだねと愛想笑いをしながら返事をした。

声を掛けられる前の困った顔を見られたみたいで、私にどうしたの?何かあった?と真剣な顔で聞きましたね。

私は1時間、中途半端に時間が空いてしまい、この暇な時間をどうしようかなって悩んでいた所だと言いました。

貴方はそれまで一緒に話さないか?と誘ってくれました。

クラスメイト以外になんの接点もなかったから、ここは雑談で終わると思っていた所に、誘われると思わずに驚いてしまいました。

でも、姉に会うまでは暇だったので貴方の誘いを受けました。


中学生の経済にも嬉しい、ハンバーガー屋のチェーン店が近くにあったのでその店に入りました。


誘いを受けたのはいいが、なんの話しをすればいいのか分からなかった。

暇な時間を潰せるかと思いきや、気まづい時間を過ごすのではないかと、お店に入った後に気づいてしまった。

普段、挨拶以外に話した事なかった。どうしようかなと話題になりそうなものないかしらと頭をフル回転させた。


注文を済ませ、ハンバーガーのセットが乗ってるトレイを持って、空いてる席に座った。


私の憂いを他所に話題を提供したのは貴方からでした。


いつも、なんの本を読んでいるの?と聞いてきました。


私は本を読む時は、基本的にお気に入りのクローバーの絵が描かれたカバーを付けていた為に、他の人にはどんな本を読んでいるか知らないようになっていた。


貴方から提供された話題に、私は喜んで乗っかりました。


ファンタジーや恋愛小説が好きでそういうの読んでるよと私は答えた。


今、読んでる本は?


面白い?


タイトルは?


ファンタジー好きって、この物語知ってる?


と、質問攻めにされました。

こんなにも質問攻めにされると思わなかったけど、好きな事を語るのが好きな私は、嬉々と答えました。


貴方が聞いてきたファンタジーのタイトルは、私が好きな作家でその人が執筆した作品でも、1番好きなシリーズだった。


それを知った貴方は、俺も好きな作家で、そして、1番好きなシリーズなんだと、興奮気味に言い、私も仲間が出来たと嬉しくて、興奮気味に、今度は私が質問攻めをしました。


登場人物で誰が好き?


好きシーンは?


作中の好きな言葉は?


シリーズは勿論、その作家の他の作品だったり、お互いに読んだことのない作家や小説をオススメし合っていたた。


話題に悩んでたのが嘘みたいに、途切れない会話で時間もあっという間に過ぎた。


時間が足りないとお互いに感じたが、私は姉と約束していたので、名残惜しいと思う中で、携帯の連絡先を交換した。


その日の夜はまだ、熱が冷めてないのか、深夜まで好きな本を貴方と語りました。


普段の貴方からは本が素振りも見せていなかった。

クラスメイトの知られざる意外な一面に恋愛ではなく日常に紛れる非日常的な意味でドキドキとしておりました。

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