第2話

 少女はこの日得体の知れない魔獣に人生で初めて出会った。少女は咄嗟に戦闘態勢に入った。

 「おいおい!そんなに身構えなくてもいいぜ。俺の名はアクアポンプ、魔獣さ。嬢ちゃんの名前はアロマちゃんだろう。知ってるぜ!これからよろしくな!」

 「なんで私の名前を知ってるの?」

 「そうか、普通は驚くわな。これが俺の力。俺だけの力だ!それに俺はお前が知らない事を知っている。例えば、そうだなぁ……お前の家族の事とかな。」

 「お母さん達のことがわかるの!」

 「おお、食いついたなぁ。どれ俺に協力すれば話してやるよ。」

 「協力って私何をすればいいの?」

 「簡単さ。俺と契約してこの村を出る。それだけだ。」

 「契約?何のこと?」

 「まぁ、そこは気にしなくていい。とにかくだ、俺と契約してくれよ。」

 「嫌よ、悪いけど遠慮させてもらうわ。」

 「おいおい、待ってくれよぉ。悪いようにはしないさ。」

 「ごめんなさい。私一人でお母さん達を探すわ。」


 少しの沈黙の後、魔獣は声色を変えてこう言った。

 「それは不可能だ。」

 「なんでよ?」

 「言っただろう、俺はお前の両親の行方が分かる。お前の両親はこの施設に囚われている。それも助けることが不可能なくらいに。」

 「どういうこと?」

 「質問が多いな。これ以上は契約してからだ。」

 「分かった、契約する。」

 「本当にいいのか?俺のことを信じていない様子だが。」

 「危険は承知よ。」

 「よし決まり!お邪魔するぜ!」

 「ちょっと何するの、くすぐったいじゃない!」

 「これが契約だ。契約することで俺はお前の体に入ることが出来るようになった。そしてお前は俺を好きな時に外に出せるぜ。」

 「理解したわ。それよりお母さん達は、お母さん達は大丈夫なの?」

 「安心しろ、平気だ。ただ今は助けに行けない。遥か彼方獣人の国にある封印の杖を取るまでは。」

 「封印の杖?分かったわ。今すぐ獣人の国に行きましょう。」

 「気を付けろ!追手が来るかもしれない。これから俺達は追われる身となる。覚悟はいいなぁ!」

 「ええ!」

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