嫌がる姉妹を丼で頂くエロ漫画のクズ男に転生してしまった俺は、優しさの限りを尽くすと決める。
深谷花びら大回転
第1話 ブラック企業勤めだった名無しの権兵衛――気付けばクズ男
しかし、世が世なだけに転職も難しく、仕事があることは幸せなんだと自分に鞭打って、俺は俺を酷使してきた。
その跳ね返りが倦怠感となって全身を重くする。意識も
明日ゆっくり休んで、月曜に備えなきゃな……。
仕事終わりに考えるのは週明けの仕事のこと。思考回路が社畜の鑑すぎて自嘲の息が口から漏れ出てしまう。
駅へと向かう道中は、土曜の夜ということもあって賑わっている。すれ違う人々は皆一様に笑顔を浮かべていて楽しそう。
邪魔してはいけない。日陰者の俺は道の端に避ける。
友達と飲みに行ったりしたい気持ちはあるけど、もし今誘われても俺は行かないだろう……というか行けない。時間がないのもそうだが、なにより場を白けさせてしまい迷惑をかけてしまいそうだから。
いつからか、こんなに自信が持てなくなったのは。
閉塞感に苛まれ視界が滲む――その時だった。闇に紛れて歩く俺に突然、目に痛すぎるほどの光が当てられた。
追従するかのように心臓に悪い音が鳴り響く。
その音がクラクションの警告だと理解した時にはもう……遅かった。
――――――――――――。
プツリとこと切れ暗転した世界が、一瞬で開ける。瞬きの刹那……いや、実際に瞬いたのかもしれない。
「え……え?」
ついさっきまで俺は駅へと向かっていて、その道中、車に轢かれたはず……けれど今、俺がいるのは見覚えのない部屋。しかも、ベッドの上で服がはだけた女性の動画をスマホで視聴している。
突如、場面が切り替わったとしか言いようがなく、言いようがないからこそ動揺を隠せない。
……ちょっと待て――これ、動画は動画でも録画中じゃないかッ?
視野が狭くなっていたせいか周囲がまるで視えていなかった。スマホに映っているのは過去の物ではなく、現在進行形で女性を映している。
俺は――被写体の女性に
「う――うわぁ!」
素っ頓狂な声を上げベッドから転がり落ちた俺は、2.3回ほど無様な後転を晒し、勢いよく壁に背をぶつける。
「痛てて……」
打ちつけた背中を
「……………………」
むくりと上体を起こした女性は、はだけたシャツを着直し、不思議そうな表情してこっちを見つめる。
シャツで前を隠してくれたものの、目のやり場に困る格好なのは変わらず、俺は顔を背ける。
――え?
室内にもう一人、別の子がいることに気付いた。
部屋の片隅で体育座りをしているその子は学生服を身に
姉妹だろうか、ベッドの上にいる女性と似ている。
というより、二人の顔には見覚えがあった。
つい最近、頻繫に目にしてきたその顔は思い出すまでもない。
ネット広告――大人向けの漫画に登場していた姉妹だ。
タイトルまでは思い出せないが……間違いない。あの手の広告は一度目にするとやらた見かけるようになるし、純粋に絵が可愛かったからよく覚えている。
『生活の為に好きでもない男に無理矢理犯され――』
『さらには妹も巻き込まれ姉妹丼にッ⁉』
漫画の世界に入り込んでしまったってことか? ……いや、さすがにそれは――――。
ふと目にしたシンプルなデザインの姿見。そこには人相悪い上半身裸の男が映っていた。
俺は二人がいることなど気にせず、ジタバタと四足歩行で姿見の前へと向かう。
「なんだ……これは……」
姿見の両端を
金髪にピアス、右腕にはぎっしりとタトゥーが刻まれていて、顔も強面。しかしながら俺の感情にしっかり連動している……動揺した表情がまさに。
この男も知っている……ネットの広告で見た、姉妹丼を頂く側だ。
……いや、知っているなんてレベルじゃない――――俺は〝この男こそが俺だと認識してしまっている〟。
俺は戌亥舞輝じゃないと主張する自分と、俺は戌亥舞輝だと主張する自分が同時に存在していて、とても奇妙で気持ちが悪い……魚の小骨が喉に刺さっているような感覚だ。
しかもだ……事故に遭う前の、俺の名前がどうしても思い出せない。それだけじゃない、これまで関わってきた人達――両親の名前すらもだ。
学生時代の思い出も、社会人の経験も、頭の中で容易に再生できるのに、俺含めた人物名だけがどうしても出てこない。名前だけが丸ごと消されてしまっている。
かと言って戌亥舞輝のすべてを理解してるわけでもない。年齢や生年月日等、簡易的なプロフィールのみで、普段なにをしているのか、働いているのかそうじゃないのか、ここがどこなのか、まったくわからない。
戌亥舞輝という名前と少々のプロフィールだけでまったく知らない世界に放り出された……その上、戌亥舞輝こそが俺だと認識している自分もいる……とてもじゃないが言葉に形容できない……この感覚は。
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
声をかけてきたのはベッドの上にいた女性だった。胸元をシャツで隠している彼女は怯えているように見える。
右左どころか上下前後もわからないが……彼女達なら知っている。今欲しいのは情報だ。
ただ……その前に言っておかなければならないことがある。
「俺は大丈夫なんで……服、着てください」
――――――――――――。
どうも、深谷花びら大回転です。
ママのおっぱい舐めしゃしぇて♡
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