チャプター4 火曜日。大蛇、見つかる。

 「おはようマンモス」

 「おはようニャンニャン」


 「ラブリーな、課長さま」

 けつを軽く突き出す係長。それをなでてあげる富蔵。


 いったいこの男達の頭の中は、どうなっているのか?

 係長が目で合図する。


 (今晩どうかしら?)

 誘われているのか。そう気付いたものの。ゲイの係長の濁った瞳をのぞき込んだ富蔵は身震いして、その気にさせすぎてしまったことを後悔した。


 長倉は相変わらず、ベビースターラーメンをポリポリかじっている。

 頭の中のお花畑に、うじでもいてるんちゃうか。富蔵はいつもにもなく冷淡にこの男を分析していた。


 電話が鳴った。

 大蛇が見つかった。杉久保の裏山で、大蛇は死に絶えていた。通報を受け、富蔵と係長が現場に急行した。


 大蛇はねこを半分飲み込んだ状態で発見された。

 ねこは絶命し、白目しろめをむいて減色した舌を出していた。


 さぞかしつらい思いをしたことだろう。

 生きたまま食べられる。まさに四苦八苦だ。


 きっと動いている物体に興味を持ち、近づいたところをガブリ。飲み込まれたに違いない。


 富蔵と係長は、2メートルある大蛇を肩にかつぎ、麻でできたコーヒー袋に入れた。


 あとで知ったことでは、大蛇はアナコンダのアルビノ(先天性色素欠乏症、白子症)でメス。メラニンの生合成に係わる遺伝情報の欠損があった。2人は事務所に戻る途中、アナコンダの処分について話し合った。

 《続く》


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