第13話 デビューの反響

 それぞれ、事務所の控え室に帰って、着替える。普段着に着替えると、将嘉が入ってきた。

「なあ、良平君。これ見て」

将嘉は自分の赤のスマホを見せてきた。

「どれどれ・・・・・すげぇ!!」

ネットニュースにはめっちゃ上がってた。かねてより、僕ら4人はめっちゃ若い天才ミュージシャン的な感じで話題だったから、反響はエグイだろう。

「でさ、これも見てくれよ、良平君」

そこには、将嘉担当のInstagramの画面が表示されていたがフォロワーが一気に597人になっていた。うおぉ、すげぇぞ、アハメロ。

だが、一つだけ気になることがあった。

「なあ、将嘉。“良平君”っていうのはやめてくれよ。なんか親近感ないじゃん。だから、良平で呼び捨てか、ホリたんか、他のあだ名考えるかしてくれよ」

「分かった。いいよ、ホリたんっ♫」

そう言われるとなんかハズイな。


そして、優理と翔も僕の部屋に入ってきた。

「うお、インスタすげぇな」

「YouTubeとかFacebookも好調だぜ」

優理と翔も同じく感心している。

「ネットニュースは見たけど、とんでもねぇ量だな。じゃあ、Twitterは・・・・・」

と、翔が言った時に僕はドキッとした。なぜって・・・・・。

「あれ、更新してねぇじゃん。おい、大丈夫か良平」

「ごめん、まだだ」

「「「お~い~!!」」」

みんなが揃って言ってきたから、急いでスマホを呼び出し、Twitterを更新した。


『Blue Spring Melody's、デビュー決定!よろしくお願いします!HPはコチラ⇒ahameroband.com』

そして、更新すると・・・・・一瞬でコメントが届いた。

『優理君、良平君、翔君、将嘉君デビューおめでとう!ずっと興味を持っていた若い4人がデビューなんて!頑張れ!応援してるよ!!』

『デビューおめでとう!!うわぁ、いいバンド名だぁ~!!フォローしておくね。応援するわ!』

『私りんごあめは、今この瞬間からBlue Spring Melody'sのファンです!!』

そんな感じで、いっぱい届いた。

フォロワーは120人から280人となった。


 一週間後、僕らは少し仕事を挟みながらも大体は個人時間を家で過ごしていた。何をしていたかと言えば、レコーディングに備えて楽器を練習していたのだ。

ポジションは、翔・ボーカル兼ギター、優理・ギター又はベース、将嘉・ドラム、そして僕、良平はキーボード兼ボーカルとなっている。


 今回はボーカルの翔にキーボード兼ボーカルの僕がハモるところがある。そこはだいたい練習した。そして、もう一つ大変なのがキーボードだ。今回使うのは、普通のグランドピアノではなく、コンボキーボードというオルガンのような音が鳴る電気式のキーボードだ。僕が愛用しているコンボの『Dyno Sauriaダイノサウリア』を使うことにした。


けど、僕は基本グランドピアノだから、少し慣れていないところがある。それは、電源式だからあるものだ。音や音量、そしてベースに使える音楽などを流す様々なスイッチが置いてあるので、それに慣れずにアワアワしてしまう。それでも、一応演奏は全く問題がないから、だんだん慣れていく。レコーディング前日には完全に弾けるようになった。だから、もう大丈夫だろう。


 ただ、心配なのが優理だ。今回はベースはしなくていいが、ギターを超がんばらなければならない。激しく、でも難しいリズムの音楽だから、着いて行けてないところもあるだろう。いくら優理でもそれは厳しいのではないのか・・・・・そう思って、優理にたまにLINEすると、「ヤバい。助けて」というメッセージが送られてきた。


 ――レコーディング本番。みんなが集まった。一応、優理は晴れている表情だった。

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