第二章

第11話 デビューまでの道

 『Blue Spring Melody's』メンバーはレビューまでの道のりを駆けている。それが決まり、一本杉さんに報告してからが色々大変だった。

まずは、CDとか売ってくれる会社を探して、次に曲作り。作るか、それとも作ってもらうかを考えなければならない。うちらは、作ってもらうにした。すると、今度はそれを作ってくれる作詞家と作曲家を探し、レコーディングとかもしなければならないし・・・・・事務所がやってくれるんじゃなかったのかよ!!!!これが、心の叫びだ!!


 ところで、今日はCDデビューをするために、今日は僕と優理が作詞家の方と作曲家の方に会いに行く日だ。

「なんか、緊張するな」

「そりゃそうだ。デビューだぜデビュー」

僕と優理の会話に、同行してくれた「この方」が声をかけてくれた。

「お前らがCDデビューするとか、絶対ニュースになる。その時に、肝心なのは歌だ。それを作ってくれるすごい人に会いに行くんだ。しっかりしろよ」

楠原禮次郎。楠パイセンである。

「ほ~い」

「は~い」

僕らは曖昧な返事で返した。

「何か心配・・・・・」

大丈夫だって、何てったって、相手も小学生相手なんだから。


作詞家の方が住んでいる家のチャイムを鳴らす。

「はい、どちらさまですか」

「ミュージックオフィス、Blue Spring Melody'sの者です」

楠パイセンが言おうとしたところを、しっかり者の優理が代弁してしまった。

「はい、わかりました。少々お待ちくださ・・・・・」

い、を言い終わる前に、ドアが開いた。

「どうぞ、お入りください」


ドアを開けると、いかにも豪邸というか・・・・・すごい偉い人の家というムードが漂っていた。

「こんにちは、あなたがBlue Spring Melody'sのみなさまですか。あれ、3人?大人?」

目の前にいるおじちゃんは、何やら混乱している。

「いや、今回はメンバーの中で、俺と、西堀良平が来ました。こっちは、えっと・・・・・ついてきた人です」

「おい、優理。ついてきた人って」

楠パイセンがツッコむと、目の前の二人のおじちゃんがクスッと笑った。

「ええ、私は保護者の楠原禮次郎と言います。こちらは、西堀良平。そして、こちらは叶野優理です」

楠パイセンは何やら焦りながら答えた。

「そうでしたか。私は作詞家の孝橋久三たかはしきゅうぞうです」

「私は、作曲家の小畑響河おばたきょうがです。今回はご依頼ありがとうございました」

「いえいえ、コチラこそ」

ふう、やっと僕がしゃべることができた。


「それでは本題です。これが、曲です。タイトルは『一桁でMUTEKI』です。この曲は、勇気や希望、夢、健康・・・・・様々な少しのことで人は強くなることができるよ、ということを作詞しました」

「曲はこんな感じ。まあ、元気をイメージしました。ギター、ドラム、キーボードなど、各種書いています」

一応、僕と優理、そして、翔、将嘉、そして、ミュージックオフィスに入っているみんなは音楽ができるからいる。だが、僕らは楽譜が得意ではない軍団だから、苦し紛れに楽譜を解読していくのだ。

「歌詞、めっちゃいいですね!!早速、持ち帰って練習します!!!!」

優理は解読した(?)のか、喜んで楽譜を手に取った。

「実際、まだ読めてないけど・・・・・歌詞しか読んでねぇ」

そして、こそこそと話してきた。僕は、それにクスッと笑った。

「お二人様、ステキな曲ありがとうございました!!!!頑張ります!!!!」

そして、お茶を飲んで、LINE交換してから家を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る