元伝説勇者の弱くてニューゲーム〜2000年ぶりに復活したら世界がインフレし過ぎて底辺冒険者になっちゃいました〜
白神天稀
プロローグ
目覚めの時が来た。その言葉が頭の中に響き、感覚が鮮明に伝わってくる。
俺はエーデルハルト、2000年前に存在していた勇者だ。
生前に俺は1つの世界を救った。人間と魔族、魔物が住むこの世界は古来より混沌の時代が続いていた。
人間と魔族との戦争は激化し、魔物の被害が多発する世界。そんな時に俺と仲間達は立ち上がった。山を超え、谷を超え、海を越え、死ぬ思いでレベルを上げながら魔王の城へと進んでいった。
そして俺のレベルが45に達した時、魔王と対峙した。死闘の末、俺は魔王と相打ちとなり絶命した。共に戦を乗り越えてきた仲間たちに世界を託し、俺の意識は暗い渦の中へと呑まれた。
だが、俺は蘇る。俺の故郷で、誰かが俺を呼ぶ召喚術式を発動している。これは俺の仲間が作っていた、英雄の召喚術と同じ感覚がある。
勇者エーデルハルトは再び世界を救うために、戦場で剣を握る!
肉体の感覚がよりハッキリと現れた時、初老の男性の声が耳に入った。
「──2000年前の勇者よ、いざこの地に現れよ!」
視界は開け、懐かしき衣を纏い、魔力が体を流れる。
次の瞬間には見覚えのある王の間とそこに集まった人間たちの姿が俺の目に飛び込んできた。
俺を呼び覚ました彼らへ、声を張り上げ俺は宣言する。
「勇者エーデルハルト、これより帰還した!」
歓声に包まれ、聴衆から歓喜と驚嘆の声が上がる。その光景を喜ばしく思いながら、俺は宣誓を掲げた。
「皆の者、聞け! 俺が戻ったからには安心しろ。このエーデルハルト、必ずや世界を……うぉ?」
その時突然、違和感を感じた。
「あれ?」
俺には『鑑定スキル』という勇者のユニークスキルがある。それは相手のレベルやステータスをこの目で見る事が出来る力だ。
その加護によって、聴衆達の頭上に無数の数字が表示される。おそらく平民と思われる彼らのレベルが露になる──
レベル47、レベル39、レベル78、レベル93、レベル50、レベル77、レベル102、レベル86、114レベル、レベル51、レベル43、レベル125、レベル88、レベル95、レベル42……
次々に有り得ない数字が表示されていく。
「えっ、えぇ……!?」
これは俺が最弱な勇者として旅をする冒険譚──って、マジで? いや、おいおいおい。嘘だろ、ありえない、それはないって!
強くてニューゲームじゃないの!?
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