23話 元カノ、堕ちていく【先行版】



 飯田いいだ 亮太が女とやりまくっている、一方。


 梓川あずさがわ みしろはというと……。


「はぁ……はぁ……」


 百合子と四葉、そして亮太の三人で、保健室で行為が繰り広げられている。


 みしろはべったりとドアに張り付いて、中を見つめながら……物欲しげな瞳を彼に向けていた。


 彼は自分を拒んだあとも、数多くの女と、様々な場所で行為を繰り返している。


 みしろはそのすべてを観測していた。


 最初は、亮太から妹を守るため、彼の持つ巨大すぎる欲望のはけ口になろうとした。


 だが……。


 次第に、彼に……ひかれていく自分がいた。


 授業中も常に彼を目で追っている。


 授業が終わったあとも、あとからついていって、彼をジッと遠くから見つめている。


 部活が終わって家に帰るまで、家に帰ったあとも……。


 みしろはずっと彼を見ていた。


 もう完璧にストーカーであった。


「ちがう……ち、がうの……これは……妹を……あっ」


 彼女は自分に言い聞かせる。

 妹を守るためにと。


 だがやっていることは、彼を追いかけ、彼が他の女とやる姿を見て……。


 それをおかずにする……。


 ただのやばい女に成り果てていた。


「ほしい……」


 諏訪 百合子が気持ちよさそうに、背筋をそらしている。


 贄川にえかわ 四葉が、尻をたたかれて、甲高い声を上げている。


 ……その姿を見て、自分もと思ってしまう。

 男との行為に対しては、汚らわしいという偏見が彼女には会った。


 だが、もう彼女の頭の中には、その行為への抵抗感がうすれていた。


 あれだけ、女を駄目にして……。


 先生すらも、夢中にさせてしまう……。


 彼の持つ【素晴らしい】男の象徴を、自分にも、と思ってしまう。


「…………」


 気づけば、中での行為が終わって、掃除が始まっていた。


 このタイミングで中に入れば……自分もいれてくれないだろうか。


 欲しい……欲しい……欲しくて、たまらない……。


「…………」


 みしろがふらふらと立ち上がり、保健室のドアに手をかけようとする。


 そのときだった。


「何してるんですか、姉さん?」

「!? ゆ、づき……ちゃん……」


 生き別れの妹、夕月ゆづきが、自分に軽蔑のまなざしを向けていた。


「人のセックスをおかずに、ですか」

「違う……! これは……違うのよおぉ……!」


 はっ、と夕月ゆづきが馬鹿にしたように鼻を鳴らす。


「何が違うんですか? こんなハシタナイ顔しちゃって」


 自分が行為にふけているときの写メを、自分に見せてくる。


 口が半開きになり、鼻を膨らませ、血走った目で中を見ていた。


「完全にストーカーですね。……気持ち悪い」


 ……大好きな、妹にののしられ、軽蔑されているというのに……。


 ……ずくん、とお腹がうずいた。


 もっと、虐げて欲しい。

 もっと、ひどい言葉を言って欲しい。


 もっと……。


「……気持ち悪い」

「……っ!」


 大好きな妹から軽蔑されて、みしろは体をビクンと震わせる。


「天使も堕ちたものですね。こんな下品なストーカーに成り下がるなんて」


「あっ……う……」


 ……そんな冷たい目で、見て欲しくないでほしいのに。


 ……もっと、と思ってしまう自分がいる。


「はっ、いい気味です。姉さん。私から散々奪っておいて、その結果がこれだと思うと」


「うばう……?」


 みしろには、自覚がなかった。


 ふたりは仲の良い姉と妹だって、そう思っていたから。


 なにかを奪った事なんて、一度も……。


「……むかつく」


 夕月ゆづきはどんっ、とみしろを突き飛ばす。


「…………っ」


 つい、甘い声が出てしまった。


 倒れ臥す姉を冷ややかに見下ろす。

 

「むかつくんですよ。そういう態度が。何でもできて、何でも完璧にこなして、それで当然で書みたいな……その態度が!」


「あぅ……!」


 ……からだから力が抜けて、くたぁ……とその場に倒れる。


「もう兄さん達が来ます。さっさと消えてください」


「で、もぉ……」


「……そんなに妹から罵倒されたいんですか?」


 反射で、うなずきそうになる。


 夕月ゆづきはそんな姉の姿を見て、生ゴミでも見るような目を向ける。


「はぁあ……きもちわる」


「~~~~~~~~~!」


「……今ので感じるとか、ほんときもちわるいです」


 そのときだ。


 がらっ、とドアが開く。


「え?」


 亮太が、目を丸くしていた。


 眼前では……妙な場面が展開されていたからだ。


 元カノが、だらしない顔をしながら、床に倒れ臥している。


 義妹が、冷ややかな表情で、姉を見下ろしている。


「ど、どういう状況……?」


 彼が困惑するのも、無理ないことだった。

 


―――――――――――――

【★あとがき】


昨日はあとがき大変失礼しました、、、

なんだよ18歳以上て、、、


完全版(ノクターンノベル)

→ https://novel18.syosetu.com/n2492hm/


※18歳【未満】は読めません。

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