22話 保健室のペットな先生【先行版】



 諏訪すわ先生と夕月ゆづきと保健室でやった翌日。

 

 部活後、体育館にて。


「ねーえー、りょーちんさー」

 

 部活後のモップ掛けをしてると、贄川にえかわ 四葉がトコトコと近づいてきた。


 足をねんざしてる彼女だが、松葉杖をつけば歩けるようになった。

 

 最近になって杖が2本から1本にかわり、今は部活を見学中。



「なんだ?」

「りょーちんペット飼ったってまじ?」


 唐突にそんなことを言ってくる。


「ペット? いや」

「え、でもゆづちゃん言ってたよ。なんでもいうこと聞く、従順な雌犬をゲットしたって」


 ……夕月め。

 たぶん、諏訪先生のことだろう。


「すっごく従順でちょーかわいいんでしょ? きゃんきゃんってかわいい声で鳴くって」

「まあ……」


 確かに従順で可愛いし、きゃんきゃんないてらしたが。


「りょーちん見せてよ、そのわんちゃん」

「え? なんで」


「あたしさー、犬好きなんだよねー。もふもふ系好きなんよ」


 ……なるほど。

 四葉のやつは、ペット=愛玩動物だと思ってるらしい。


 まあそれが正しい意味なんだが、しかし夕月が言っていたのは違う。


 さてどうするか……。


「ダメだ」

「えー! なーんでー! けちけちー」


 つんつん、と俺の背中を四葉がつついてくる。


「ペットだけど、愛玩動物ペットじゃないんだよ」

「はー? イミフなんですけど。とにかく! 見せてよ! ねー!」


 ……と、四葉にねだられた俺は、部活後、保健室へと向かった。


 もう帰ってるか、と思ったんだが、先生は保健室でデスクワークしていた。


「あー! ごしゅじんさま~!」


 諏訪先生が笑顔でトコトコと近づいてきた。


 ……やめてくれってまじでそれ。


「ほえ? りょーちん、え、どゆこと?」


 ひょこり、と俺の後ろから四葉が顔をのぞかせる。


「えー!?」


 ぎょっ、と先生が目をむく。


「ま、またぁ!?」

「またって?」


 ……めんどくさいことになりそうだ。

 ややあって。


「なるほど! 諏訪先生ゆりちゃんもりょーちんのマジカルTINTINのえじきになったと!」


「妙に発音いいなおまえ」


 俺たちがいるのは保健室のソファ。

 俺と四葉がならんで座っている。


「あたしハーフですからな。てゆーかうちの兄妹全員」

「え、そうなの?」


「うん。パパンがアメリカ人。元陸軍のお偉いさん」

「父親が外人なのか……」


「そ。写真見る?」


 四葉がスマホを取り出して、俺に写メを見せる。


「シュワルツェネッガー?」

「いえす、ターミネーター」


 なんかものすごいごついアメリカの軍人が写真に写っていた。


「この父親からお前が生まれたのか? 全然似てないけど」

「お兄ちゃんズはそっくりだよ」


そういえば前に四葉がねんざしたとき、この日とそっくりのごりマッチョ兄さんが来たっけ……。


「外国人の父ちゃんなのに名字が贄川なのは?」

「パパンがママンの家に養子にきたからだよ」


 なるほどなぁ。


 ……で、俺は目の前のペットを見やる。

 床にしゃがんで座っているのは、諏訪先生。


「なんでゆりちゃん床にずっと座ってるの?」

「え!?」


 ぎょっとしみると、本当に先生は床にお座りしていた。


 白衣にスカートで、行儀のいい犬みたいな体制を取ってるから、普通にパンツが見えている。


「あ、ごめんね飯田君、二人きりの時だけだったね」

「え、りょーちんそういうプレイを……?」

「断じて違う! 先生は普通にしてくださいよ」


 いそいそ、と先生が立ち上がって、俺の隣に座る。


「でもそっかー、ペットってゆりちゃんのことだったんだね」


 四葉が俺越しに、先生をまじまじ見る。


「りょーちんのってすごいね、どんな女も一発でノックアウトじゃん。エロ漫画の主人公みたい!」


「おいやめろ」


「タイトルにするならなんだろう? 【最強高校生のてぃんてぃん無双】?」

「最低のタイトルだなおい!」


「てぃんてぃん★」

「さわんな!」


 わはは、と四葉が笑う。


「まーでも、そっかーペットかぁ」


 じーっ、と四葉が俺を見てくる。


「なんだよ?」

「ん~? いいなぁって思って」


「おまえもペットがほしいのか?」

「んにゃ、あたしもぺっとにしてほしいにゃーって」


 四葉がにまーっと笑うと、四つん這いになって、うるんだ目を俺に向けてくる。


「ご主人様って、いえばいいのかなー?」

「やめてまじで」


 すると対抗するように、諏訪先生も四つん這いになって、俺に懇願するような目を向ける。


「ごしゅじんさまぁ……♡」

「ペットふたりに、しつけしてほしいにゃん♡」

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