13話 女友達と関係を結ぶ



 部活中に俺の親友、贄川にえかわ 四葉よつばが足をぐねった。


 保健室の先生によると2ヶ月ほどかかる捻挫らしい。


 四葉。

 スポーツをやっている関係か、全体的にすらっとした印象。


 しかし胸はしっかり大きい。

 ショートカットの髪の毛に、くりっとした大きなひとみ。


 活発そうな、少し日に焼けた肌。


「今……なんつった?」

「えっちなこと、義妹にできるんだから、あたしともできるっしょ?」


 ……四葉と俺は気安い関係だ。


 俺の着替え中に平然と入ってくるような、あんまり女とは見てないような相手。


 そんなこいつから、こんなおねがいされるなんて。


「できないだろ。付き合ってもないんだし」

「ふーん、でもあんたさ、恋人でもなんでもない、義妹とやりまくってな~い?」


 ……何も言い返せねえ。


「ね、ね♡ ほら、やろうよ」

「どうしてそんな興味津々なんだよ」


 わくわくしながら四葉が言う。


「こちとらバスケ三昧で欲求不満なの!」


 するとニマァ……と四葉が笑う。


「あーら、なぁにりょーちん。もしかして自信ないの?」


「……なに?」


「なるほどねぇ、そっかそっか。義妹ちゃん以外の女とやったことないから、自信ないんだ~?」


 まあ……そういう意味あいもある。


「別に、おまえとやる理由が特にないだけだよ」


「おや? 義妹ちゃんとの昼休みに、激しいやーつやってるのを、こっちは知ってるんですぜ?」


「……脅しか?」


「んにゃ、単にあたしもまぜろーい、ってこと」


 こいつのことだから、本気で外に俺たちがやってる情報をもらすことはないだろう。


 だが、誰か重大な秘密を知っている、というのは精神的に結構負担が大きい。


「言わないって約束できるか?」

「もちろん。さぁさぁどうするかね、りょーちんくん? やっぱり怖じ気づいたのかね……?」


 俺は四葉に近づいて、ぐいっ、と顔を近づけて、彼女の唇に自分の唇を重ねる。


「!?」


 四葉は目を白黒させていた。


 そりゃいきなりキスされたら驚くだろう。


 体をこわばらせている四葉。

 やっぱり緊張してんのか。


 俺は夕月ゆづきとするときのように、四葉とキスをする。


 最初は驚いてるだけだった四葉だが、次第に目が潤んでいく。


 四葉が力を抜いて俺によりかかってくる。


 全力疾走したあとのように四葉が肩で息をしている。


「おいまだキスしただけだぞ?」


「……きもち、よかったぁ」


 夢見心地でつぶやく四葉。


「うますぎるよ」

「そうか?」


「なんで……こんなこなれてるの?」

「まあいつもやってるから」


「そんな、師匠相手に鍛えてたら知らぬ間に最強になってたみたいな……ネット小説家よ」


 だいぶ気力が回復したみたいだ。


「やるか」

「え? え? ちょ、ちょっとたんま!」


 四葉が仰向けにたおれ、後ずさる。


 俺は彼女の体に覆い被さる。


「や、やっぱやめよ! キスでコレなら……本番……どうなっちゃうか……?」


「なんだ、怖じ気づいたのか?」


 むかっ、と四葉が顔をしかめる。


「へ、へんっ! 別におじけづいてねーし! こんなのへっちゃらだし! 果たしてあたしを満足させられるかなぁ~?」


     ★


 汗まみれの四葉がベッドで仰向けに寝ている。


「ほら、起きろ四葉」


 完全に気絶してた。

 たった2回しかしてないのに……。


 夕月なら、2回以上は普通にできてた。

 なんなら丸一日やってもまだ正気を保ってたっていうのにな。


 ……若干、不完全燃焼な感じを覚える。


「……さて、どうしよう」


 もうすぐ四葉の兄貴が来るって言うのに、彼女は起きようとしない。


 と、そのときだった。

 

「亮太くん♡」


 ……嘘、だろ?


 振り返ると……そこには、義妹の夕月ゆづきがいた。


 眼を細めて……妖しい光をそのひとみに宿しながら、笑ってる。


「帰りが遅いから、迎えに来ちゃった♡」

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