永遠の呪い

千夜すう

とんでもねぇ女

朝、眠気を抑えきれずに欠伸をしながら登校をする。


学校に近づくにつれて、同じ目的地だと分かる制服を来た学生が増えてく。

それぞれ、友達を見つけて雑談していた。


「今日、授業で当てられる日なのに予習してない。どうしよ」

「○○と△△が付き合ってるって」

「昨日、凄かったな」

「吹奏楽部が全国優勝だもんな」

「昨日、珍しい月の現象と珍しい花が咲いたってニュース」


あちこちで聞こえる会話を横に、また、欠伸を1つ。

普段、夜更かしせずに規則正しい生活リズムなのに、昨日は何故か胸騒ぎがして眠りが浅かった。

寝不足の状態で今日の授業に体育があると思い出し憂鬱だ。


学校の正門の前に、元気な声で挨拶をする校長先生と生徒会の面々である。


「おはようございます」


若干、猫背のままで歩いていき、自分の上靴を仕舞うロッカーに手をかけると、上靴の上に見慣れない封筒があった。


あ~、またかと鬱陶しく思う。


俺は人より優れた容姿に頭脳を持っている。


そして、周りの期待に応えるべく、性格も良しと兼ね備える優等生を演じる。


そんな人がモテないはずは無く、今までに沢山の呼び出しをくらった。


今日も告白かぁ...。


面倒臭いから無視したくても優等生は律儀に行かなければならない。



靴を履き替えて教室に直行する。

友人らには、適当な挨拶であしらいながら、机の上に荷物を置いて直ぐに教室を出て、人の居なさそうな場所に向かう。


端の階段から上に登って、屋上に続くドアの前に座り込む。



持ってきた封筒を見る。


誰から?と気になって名前を確認すると、同じクラスの子の名前だった。


柳 琴美(やなぎ みこと)


大人しい子ってイメージしかない位に接点が無かった。


丁寧にマスキングテープで留められた封を開けると便箋が出てきた。





鈴木 文彦様へ


放課後に話したい事があります。


屋上に続くドアの前でお待ちしております。


柳 美琴 より





このパターンはやっぱり告白だな。

誘われた場所が、ここじゃんって思いながら、立ち上がって教室に戻る。



同じクラスの子から告白されるのって面倒臭いんだよな。


俺が告白を断って泣いたり不登校になったら、俺のイメージが崩壊するから困る。


憂鬱になりながら、放課後まで柳を観察してみた。

友達が居ないぼっちでは無く、オシャレや流行り物が好きな女子、元気一杯で部活に力を注ぐスポーツ少女、3人でよく話してる。


柳は、かしましい2人の友達の話を、うんうんと頷いてよく聞いてる。


何かを特別主張する性格ではない。


見た目は、よく見れば整ってるが地味で印象に残らない感じで、髪はハーフアップで女子っぽい感じの髪型。

普通の清楚系な女子。


付き合うの面倒臭いし断ろう。


そう思ってたが、断れなかった。


まさか、俺を....。


誰が大人しいんだよ。

とんでもねぇ女だ

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