6章 反撃の狼煙
現状が少しずつ見えてきた。
しかし曖昧なことが多いため、各人は裏付け調査に取り掛かる。
高中は早速東北支部の鞠井に連絡を取り、ドライブレコーダーの確認を依頼した。
同時に藤木は関西支部の坂茶へ連絡し、ランディア研究所の現状確認を依頼した。
藤木『もう出張している時間はないな。とにかく鞠井さんからの連絡を待ってる間俺たちは本社を中心に調査に当たるしかない。』
内山『そういえば、暗号についてわかったことはあるんですか?』
夏木『暗号は私たちが金庫室の裏口を見つけられるようにするためのものだった。金庫室の裏口のなかには小さい金庫があって。』
藤木『なにが入っていたんだ?』
夏木『入っていたのは、社外秘情報だった。社外秘のなかでも、社員にも知らされていないような企業秘密が書かれていた。きっとこのなかに社長が私たちに伝えたいことがあるんだと思う。』
内山『とりあえず手分けしてその内容を確認しましょう。』
社外秘情報の確認には時間を要した。
内容自体は少なかったが、社長が何を伝えたいのかがわからなかった。
時間は刻々と経過していき、その最中、東北支部の鞠井から連絡が来た。
鞠井『映っていましたよ!怪しい男が!』
怪しい男の正体とは。
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鞠井から送られてきた動画を確認すると、滝沢が車の方へ歩いているところに、背後から鉄パイプを持った男が走ってきていた。
実際に殴打した瞬間は映っていなかったが、この男が滝沢を襲ったことに疑いの余地はなかった。
鞠井『この男が何者か、ユーズドカーの店舗へいって確かめてきました。この男は小島運送の社員だそうです。』
滝沢を襲った男は小島運送の社員であった。
高中『小島運送か。俺が別の店舗で見たのも小島運送だった。調べてみる必要がありそうだな。』
夏木によると、タイヤの流れはこうだ。
お客様が販売店でタイヤを購入すると、株式会社ランディアが運送会社に依頼し販売店へ運んでもらう。
販売店が運ばれたタイヤをお客様の車へ装着する。
運送会社は地区により様々だが、東北及び関西については小島運送へ運搬を依頼していた。
夏木『とにかく私は、小島運送に滝沢さんを襲った犯人について問い合わせてみます。』
夏木が小島運送に電話をかけると、意外な男が電話の応対をした。
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小島運送の本社に問い合わせの電話を掛けた夏木は相手の声を聞き驚く。
佐川『はい、小島運送の佐川でございます。』
夏木は驚きながらも事の顛末を話すが、聞き入れてもらえず電話を切られてしまった。
夏木『悔しい…でも、繋がった気がする。裏付けが必要ね。』
高中『データを持っている可能性があるのはギャロップタイヤの秘書狩野で、滝沢さんを襲ったのは小島運送の社員…なにがどうなっているんだ?』
藤木『俺にはもう見えた。でも夏木の言う通り裏付けがないとただの絵空事だ。これからどう動くかで勝負は決まる。』
会議室で策を立てる一同であったが裏付けが取れる作戦はなかなか浮かばず、控訴期限の日が来てしまった。
藤木『だいたいの予想はついているのに何もできないなんて、どうしたらいいんだ!』
夏木『もう控訴できなくなっちゃう。今日中に証拠を提示するなんてもう無理よ…』
内山『考えがあります。ただ、うまくいく保証はありませんが。』
藤木『どうするんだ?』
内山『エコライフを再販します。』
衝撃の提案。
内山の策とはいかに。
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内山『エコライフを再販します。』
藤木『エコライフを再販?!この事態にエコライフを再販なんかしてみろ!俺たちは世間から糾弾されるぞ!』
内山『リスクは承知の上です。』
藤木『再販してどうするんだ?』
内山『エコライフの動きを追います。私たちが渡したエコライフが、ちゃんとユーズドカーの店舗に届いているのかを確かめるんです。』
藤木『なるほど、俺の推理が正しければ、それで裏付けは取れるな。』
内山『ただもう時間がありません。ここは秘密裏に、誰かがユーズドカーさんからエコライフを購入するのがベストでしょう。』
藤木『それなら再販を表沙汰にせず、ユーズドカーだけに再販を知らせ、小島運送に運ばせることにしよう。』
内山『私もそれがいいと思います。購入するのはユーズドカーに顔を知られていない人物がいいですね。となると…私がやりましょうか。』
藤木『それにしても今日が控訴期限だぞ。そんな時間はないがどうする?』
夏木『社長には悪いですが控訴は諦めましょう。』
藤木『それじゃ俺たちの負けじゃないか!』
夏木『大丈夫。犯人を追い詰めて自首させれば、社長の潔白が証明される。控訴がどうとか関係なく釈放されるはず。』
藤木『自首ってほんとにそんなうまくいくのかよ…』
内山『では早速ユーズドカーに行ってきます。』
株式会社ランディアの逆襲が始まる。
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