第21話 大歓迎

 盗賊に襲われているところを助けてくれたラインヴァルト達と一緒に、近くの街へ向かった。


 定員オーバーで全員が馬車に乗ることは無理だったので、男性達が歩いてくれた。進むスピードは落ちてしまったけれど、なんとか暗くなる前に街まで辿り着くことが出来た。


「ちょっと、待っていてくれ」

「あ、はい」


 街の中を進んで、とある建物の前で馬車を止める。ここで別れることになるのかと思ったら、ラインヴァルト達は建物の中へ入っていった。


 待っていてくれと彼に言われたので、大人しく待つことに。




 しばらく待っていると、彼らが建物から出てきた。その周りに、見知らぬ大人達が居た。


「ありがとう! 君たちのお陰で、この街は盗賊団の脅威から救われたよ!」

「我々も、街を襲ってくる盗賊団の対処をどうしようか非常に悩んでいてね」

「まさか、君たちのような素晴らしい冒険者達が対処してくれるだなんて」

「本当に感謝しているよ!」


 周りを取り囲む大人たちから感謝されているラインヴァルト達。どうやら、私達を襲った盗賊団を倒したことで、お礼を言われているようだ。


「えーっと。この街の住民が無事で、私も嬉しく思います」


 取り囲まれているラインヴァルト達は、困ったような表情で受け答えしている。


「君たちのお陰だ! だから、街を代表して私から感謝させてほしい」

「いえ、私達はこの後に」

「これから、感謝のパーティーを開催する。ぜひ、君たちに参加してもらいたい!」


 ラインヴァルトと話している人物はどうやら、この街の権力者らしい。凄い勢いで彼らに詰め寄っていた。


 そんな事をしている間に、人が集まってくる。


「ありがとう、我が街の英雄たち!」

「ステキ! 盗賊団をやっつけてくれて感謝です!」

「これで我々も平和に暮らせる。本当に、ありがとう!」


 もう、ラインヴァルト達が活躍した話が広まったらしい。


 どんどん人が増えていく。馬車の周りにも人が集まって、移動できないほど周りを囲まれてしまった。あちこちで歓声が上がる。これは、どうしよう。


 なんとか頑張って、ラインヴァルト達が馬車の近くまで寄ってきた。声が聞こえる距離まで近づいたが、周りには人が大勢いる。


「すまないカトリーヌ。これから俺は、街の人達の相手をしないといけなくなった。申し訳ないが、もう少しだけ俺たちに付き合ってくれるか?」

「大丈夫です。私達は、先を急ぐような旅じゃないので」


 別れるタイミングを逸してしまった。


 私達の馬車は壊れてしまったので、回収しに行かないといけない。修理する必要もあるだろうから、しばらくの間、この街に滞在することになるだろう。


 ラインヴァルト達も、盗賊団を倒して街を救った英雄として、ここに集まった人達に引き止められて、動けなくなりそうだ。


 ということで、もう少しだけ彼らと一緒することになった。

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