乙女ゲームのイレギュラー
マキシム
第1話
俺の名がドレイク・アルトリア、アルトリア伯爵家の跡取りである。実は俺には秘密がある、それは俺は転生者であることだ!名前は忘れたが、妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ、なんで転生したのかについては、めんどくさいから説明しないでおこう。ちなみにドレイク・アルトリアという名は乙女ゲームの世界ではモブ扱いされている。見た目は黒髪短髪で紫色の瞳、色白の美男子である。正直言って貴族の暮らしは堅苦しい事、この上ない。いっそのこと平民の方が良かったような気がする、自由に恋愛できるし・・・・まぁ、それは置いといて俺は10歳の頃、貴族としては避けられないある義務が課せられた
「俺にも婚約話が来たようだな。」
そう俺たち貴族の子として産まれた者の運命、そう縁談である。ちなみに俺はというと・・・・
「なんで悪役令嬢が婚約者候補に入ってんの?」
乙女ゲームに登場する悪役令嬢であるナタリア・イシュタール侯爵令嬢がなぜか知らぬが、俺の婚約者候補に入っていたのだ。可笑しいよね、ナタリアは王太子であるオシリス・シュバリエの婚約者なのに・・・・
「とりあえず会ってみるか。」
俺はイシュタール侯爵邸に行くことになった。屋敷へ入ると、他にも婚約者候補がおり、みんなピリピリしたムードで臨んでいた。俺としては別に悪役令嬢に興味はないが、適当に流すことにした。待つ事、十分後、ようやく悪役令嬢の登場である
「娘のナタリアだ。」
悪役令嬢の父親であり、シュバリエ王国の宰相でもあるイシュタール侯爵の紹介で現れた悪役令嬢ナタリア・イシュタール(10歳)、見た目は銀髪ストレート、金色の瞳、色白で美少女だが、気が強そうな目つきをしている。俺としては乙女ゲームでこの悪役令嬢を知ったが、改めて見ると、美人だなと思った。するとナタリアは一人目の子息の顎に手を添えて軽く(クイッと)引き、顔を自分に向けた。子息は突然の事に驚いたが、ナタリアは子息の顔を見た途端、興味を失せ、すぐに別の子息の下へ移った。ナタリアは一人目と同様、同じ行動を取り、顔を見ては興味を失せた
「(いかにも悪役令嬢のやることだな。)」
俺としては興味はないが、ちと悪役令嬢に凝らしめようと思った。さて俺の番だな、ナタリアは俺の下へ近づき、同じ行動をしたところ・・・・
「無礼者!」
俺は令嬢の手をはたいた、ナタリアは俺の行動に凝視した。ナタリアだけではなく、イシュタール侯爵や他の貴族子息とメイドたちは驚愕した表情で見ていた。すると一人のメイドが我に返り・・・・
「何をなさいますか!」
「私たちは犬猫ではない!このような礼儀知らず、宰相閣下の令嬢とは思えませぬ!」
「な、何。」
イシュタール侯爵はぶるぶると震えていた。ナタリアはすぐにその場を離れ、出ていたのである。その後をイシュタール侯爵が追いかけた。一緒にいた貴族の子息からは「アイツ終わったな。」「宰相を敵に回したぞ。」と陰口を叩いている
「私は貴族の子息として正さねばならないところは正したまでだ、後悔はしていない。」
俺は貴族の子息たちに向かってそう言うと、連中は顔を赤らめ黙りこくった。俺としては堅苦しい貴族の生活とおさらばすることになるが、後悔はしていない、平民として静かに暮らそうと考えた。今にして思えば俺はまだ10歳だ
「(やべえ、俺、やらかした。)」
ドレイクは自分の仕出かした事に内心、後悔している一方でナタリアはというと・・・・
「はぁ~、まさかあのような行動に出るとはな、アルトリア家の子息は・・・・」
「お父様。」
「ん、何だ?」
「ドレイク殿の婚約者になりとうございます。」
それを聞いたイシュタール侯爵は耳を疑い、問い詰めた
「お前を罵倒したんだぞ。」
「侯爵令嬢であっても頑として怯まぬ気概に私は惚れ惚れいたしました。」
「おお、そうか。私もな、なかなか見込みのある男子だと思っていたところだ、流石は私の娘だ、アハハハハ!」
アルトリア伯爵家とイシュタール侯爵家との間に婚約話が成立したのである
「な、なんで?」
俺としては全くの予想外だった。何故かは知らぬが、イシュタール侯爵家から婚約を申し込んできたのだ、父であるアルトリア伯爵は手放しに喜んだ
「ドレイク、でかしたぞ!ナタリア嬢はお前の堂々とした振る舞いに惚れこみ、婚約を申し込んできたぞ!流石は私の息子だ!」
「あ、有り難き幸せ(なんでじゃあああああ!)」
その後、俺はナタリア侯爵令嬢と再び顔合わせをした
「こ、こんにちは、ナタリア嬢。」
「ドレイク様、私たちは婚約した間柄なのです、私の事はナタリアとお呼びください。」
「な、ナタリア。」
「はい、ドレイク様♪」
話はこれだけでは終わらなかった。何と国王陛下直々にお呼ばれがあった。どうやら俺がナタリアにした事を耳にし、是非、会いたいと言ってきたのである
「ドレイク、くれぐれも失礼のないようにな。」
「は、はい、父上。」
俺は王宮へ上がり、客間に案内され、待っていると、そこへいかにも厳かな衣装を身に纏った親子が現れた。父はすぐに臣下の礼を取り始め、俺も倣って臣下の礼を取った
「よくぞ、来てくれた。」
「「ははっ!」」
「面を上げよ。」
「「ははっ!」」
俺と父は面を上げるとそこには威厳に満ちた国王&王妃陛下とその息子であり、本来のナタリアの婚約者であるオリシス・シュバリエ(10歳)の姿があった。親子共々、金髪碧眼、色白の美男子(美女)である
「そなたがドレイクか、評判は聞いておる。」
「畏れ入ります!」
「さて話と言うのは、このオシリスの側近として働いて貰いたいのです。」
国王と王妃曰く、身分に関係なく堂々とした振る舞いを見せた俺に自分の息子の側近として登用したいと言ってきたのだ・・・・
「ドレイク、王太子の側近とは凄い事だぞ、お受けしろ。」
「畏れながら、私には荷がおもうございます。」
「ドレイクよ、私はそなたの気骨を買っておる、引き受けてくれ。」
「私も陛下と同じ気持ちですよ。」
「ですが王太子殿下の御意向を聞かねば・・・・」
俺は王太子であるオリシスに矛先を向けた。国王と王妃はオリシスに尋ねた
「オシリス、お前はどうだ?」
「父上と母上に従います。」
「おお、それは良かった。」
「畏れながら殿下、それはご本心にございますか。」
「ドレイク、何を言うておるのだ。」
「畏れながら、もしも殿下と私の相性が合わねば意味がありませぬ、よくよくお考えのほどを!」
何故かは知らぬが、不思議とこの台詞が浮かんだ。すると、オシリスは・・・・
「父上、母上、僕に時間をください。」
「そうか、分かった。両名共、下がって良い。」
「「ははっ!」」
俺と父は馬車に乗り、屋敷へ帰る途中、先程の話をした
「ドレイク、何故、あのような事を申した。」
「申し訳ありません父上、もし殿下と私の相性が悪ければ、アルトリア伯爵家に悪影響を与える可能性があります、私はそれを避けるべくあのような事を申しました。」
「うむ、言われてみればそうだな、私も深く考えずに受けるところであったな。ドレイク、よくぞ申した。」
「ははっ!」
その頃、国王と王妃とオシリスは例の事を話し合っていた
「オシリスよ、お前はドレイクの事をどう思っているのだ。」
「どうと仰せられてもあの者の事を知りませぬ。」
「では側近に取り立てることに反対なのですか?」
「別にそう言うわけでは・・・・ただ。」
「ただ、何だ?」
「その者は僕の事をどう思っているのか、知りたいんです、父上、母上、あの者と2人だけで話がしたいです。」
「そうか、分かった。」
その後、オシリスとドレイクは王宮のテラスにて茶会をすることになった
「(なんで俺、呼ばれたの?)」
目の前にはオシリス王太子殿下が座っている。何故、呼ばれたかは分からないが、取り合えず用事を済ませるなのだが、何といえばいいか分からぬ・・・・
「お前。」
「殿下、私はお前という名ではありませぬ。」
私がそう言い返すと、オシリスはギョッとした表情で俺を見続けた。俺の顔に何か付いてるのか?
「私はドレイク・アルトリアにございます、いい加減、名前を覚えてくだされ。」
「そんなの僕の勝手だろう!」
「はぁ~。」
「な、何だ!」
「ところで何用あって私を呼んだのでございますか?私も暇ではありませんので。」
「な、無礼であろう!」
「無礼は承知の上です、何の用事もなければ帰らせていただきます、ではこれにて失礼します。」
俺は席を立ち、その場を去ろうと思った。なんでそんな行動に出たのか俺自身も分からないが、何故か、そうしようと思った
「ま、待て!」
「待ちませぬ。」
「用事はある!」
オシリスがそう言うと俺は席に戻った
「して御用は趣は?」
「僕に婚約話がきている。」
オシリスの婚約者、本来だったらナタリアがなるのだが、今は俺の婚約者である
「相手はウルスラ侯爵家の令嬢、マリー・ウルスラだ。この婚約は王命によるものだ。」
「殿下の御立場としてはそれが不満という事にございますか。」
オシリスは首を縦に振った。まあ、気持ちは分かる、好きでもない相手と夫婦になるのは嫌だろうね、しかし王命に逆らえば、間違いなく廃嫡になるだろうな・・・・
「畏れながら、もし殿下に想い人ができたら如何なさいますか?」
「な、何を言うのだ、突然。」
「もし殿下に想い人がいて、婚約者をその者にしようとしたら、間違いなく殿下は王太子、いや第1王子の身分が無くなりますね。」
「な、何!」
「そうでしょう、本来の婚約者を蔑ろにして、想い人を婚約者にしたいとなれば、間違いなく殿下は廃嫡になりますね。もし殿下は意地でも想い人と一緒になりたいのであれば、私は迷わず陛下に御報告いたしますが。」
「僕を脅すのか!」
「いいえ、私は殿下と想い人が結ばれるのを手助けしているだけでございます、まあ、その後は責任は持てませんがね。」
俺がそういうとオシリスはその先は何も言えず黙りこくった。廃嫡という言葉が身に染みたのだろう、それからどれほど時が経った分からぬほど、長い沈黙が続いたが、ようやくオシリスが口を開いた
「ドレイク。」
「はい。」
「もし僕が間違いを犯したとして、お前は僕と家、どっちを優先する。」
「無論、御家を優先いたします。」
どちらか選べって言ったら、迷わず家でしょう。巻き添えは食らいたくないからな、だからといって見捨てるのも気が引ける
「それはあくまで最後の手段です、殿下にもし間違いを犯せば、それを正すのが臣下の役目です。」
「その言葉、嘘偽りはないな。」
「はい。」
「ドレイク、側近として僕を支えろ、もし間違いがあれば止めてくれ。」
「ははっ!」
その後、俺は国王陛下より正式に王太子オシリス・シュバリエの側近として登用された。その後、俺とオシリスは私的な場では互いに呼び捨てにするほど仲良くなり、親友となった。俺の側近就任に両親だけではなく、宰相であるイシュタール侯爵と、婚約者のナタリア、ナタリアの義弟(養子)でもあるナージ・イシュタール(銀髪碧眼の美少年)も祝いに訪れた
「いやあ、ドレイクが殿下の側近として取り立てられたのは、流石は我が息子だ。」
「良いですか、くれぐれ王太子殿下に失礼があってはいけませんよ。」
「分かっております母上、ですが殿下に間違いがあれば正します。」
「それでこそ、我が婿殿だ。」
「ドレイク様、改めて惚れ直しました。」
「よしてくれ、ナタリア。」
「義兄上、これからもよろしくお願いします。」
「うん、こちらこそよろしく。」
「はははは、いやあ目出度い。」
その後、オシリスは王命にてマリー・ウルスラ侯爵令嬢と婚約した。俺はマリー嬢と対面をした、見た目は栗毛の長髪、赤色の瞳、色白でおっとりした美少女であり、俺は思わず見惚れてしまった
「ドレイク様、これからも殿下ともども、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。殿下、くれぐれもマリー嬢を泣かせるような事はなさいませぬように。」
「分かっておるわ!」
「ふふふ、御仲がよろしいですわね。」
それから俺とナタリア、そしてオシリスとその婚約者であるマリーは成長し、乙女ゲームの舞台となるシュバリエ王都学院に入学した。ちなみに今日は俺とナタリア、そしてオシリスの婚約者であるマリーと3人で御茶会をした。話の話題は俺たちと同じく入学した元平民の男爵令嬢であり乙女ゲームのヒロインであるエリー・マルシアである
「ドレイク様、聞きましたか、例の男爵令嬢を。」
「聞き及んでおります。」
「最近ですが殿下はその男爵令嬢と親しくしていると耳にしてしまって・・・・」
「左様か、この事、御父上にはお話になられましたか。」
「いいえ、まだ。」
「いくら殿下でもマリーを蔑ろにして、その男爵令嬢に入れ込むなんてどうかしてるわ!」
「落ち着け、ナタリア。マリー嬢、まずは宰相閣下に話をつけ、次に国王陛下に御報告いたします、しばらくお待ちを。」
「ドレイク様、私も参ります。」
「分かった、マリー嬢、宜しいですね。」
「はい、私も父にこの事を報告いたします。」
授業が終わってすぐに俺とナタリアは王宮へ向かった。まずは岳父であるイシュタール侯爵に目通りし、王太子と男爵令嬢の報告した後、すぐに国王への目通りが許された
「ドレイク、ナタリア嬢よ、それは誠か。」
「御意にございます。」
「学園でそのような噂があちらこちらに囁かれております。」
「うむ。」
「陛下、もし殿下がその男爵令嬢に心を奪われたとしたら一大事にございます。」
「畏れながら陛下、ここはあえて泳がせては如何にございましょうか。」
「何!それはどういうことだ。」
「殿下と男爵令嬢を監視し、2人が動向を探るのです、折を見て私が殿下を御諫めいたします。」
「・・・・分かった。オシリスとその男爵令嬢に監視をつける。ドレイクよ、頼んだぞ。」
「ははっ!」
俺は早速、例の男爵令嬢の動向を探った。元平民で男爵と妾との間に産まれたエリー・マルシア、見た目はピンク色の長髪、色白の碧眼、小動物を思わせるような愛らしい顔立ち、そして何より天衣無縫な性格で男を惑わせる魔性の女といえるほど・・・・
「悪役令嬢よりもこっちの方がタチが悪いわ。」
俺からしたら、悪役令嬢よりもヒロインの方が嫌いだ。俺から言わせれば「ぶりっ娘」のような性格で正直、近寄りたくない相手だ。だがオシリスはヒロインの虜になってきている・・・・
「何とかせねばな・・・・」
その後、俺はオシリスと二人になり、例の男爵令嬢の事を聞くことにした
「殿下、いやオシリス、例の男爵令嬢の事をどう思っているんだ。」
「何だ、突然。」
「オシリス、俺がお前の側近になる前に、もし想い人が現れたらどうするかと言った事を覚えているか。」
それを聞いたオシリスの目は泳ぎ始めた、どうやら覚えているようだな。俺はそこから畳み掛けた
「オシリス、お前の婚約者はマリー嬢だ、もしその娘を婚約者にするなら、俺はお前を見捨てると・・・・」
「ドレイク。」
「お前は廃嫡になっても、その男爵令嬢と一緒になりたいか。」
「別に僕とエリーはそういう間柄じゃ・・・・」
「オシリス、お前と男爵令嬢の事、陛下の耳にも入っているぞ。」
「な、何!」
「仮にお前とその令嬢との間に何もなくても、周囲はそう受け取っていない。口さがない連中からすれば、お前がその令嬢に入れ込んでいるとしか見ておらん。」
「ぼ、僕は・・・・」
「これ以上、その女に近づくな、これは最後通牒だ。」
最後通牒という言葉にオシリスの肌は青白くなり、脂汗をかきはじめた。どうやら事の重大さに気付いたようである
「で、でも・・・・」
「オシリス・・・・御免!」
「ぶふ!」
俺はオシリスに鉄拳制裁(顔面パンチ)をした。いつまでも踏ん切りがつかないオシリスに目を覚ましてほしい、側近というよりも親友としてこれ以上、オシリスには泥沼にはまってほしくなかった
「オシリス、いい加減に目を覚ませ!もしお前が廃嫡されるなら、俺は側近の座を返上した上で、跡取りの座も返上する!」
「ど、ドレイク。」
「今ならまだ間に合う、お願いだ、目を覚ましてくれ!」
「ドレイク、う・・・うわああああああああ。」
オシリスは堪えきれず号泣した、俺もなぜかもらい泣きをしてしまった。それから俺たちは気が済むまで男泣きした後、オシリスは踏ん切りがついたのか、俺に向き合った
「分かった、分かった、ドレイク、僕の心得違いだった。」
その後、オシリスは金輪際、その男爵令嬢に近寄らず、男爵令嬢の方から言い寄っても毅然とはねつけ、遠ざけた。それから月日が経ち、俺はヒロイン、エリー・マルシアと対峙した
「あんた、やっぱり転生者ね!」
「転生者、何の事やら?」
「恍けないでよ!悪役令嬢があんたの婚約者になっている事がなによりの証拠よ!あんたが邪魔さえしなかったら私は王妃になっていたのに!」
「ふ、女狐め、とうとう本性を現したか。」
「あんたさえ、いなければ・・・・」
するとエリーはナイフを取り出した。これは完全に俺を殺しにかかるようだな、見張りがいることにも気づかずにようやるわ
「抜いたからには覚悟はできているだろうな。」
「煩い!死ね!」
エリーは俺に向かって突撃してきたところ、空から網が降ってきて、エリーに覆いかぶさった。エリーは網に絡まり、身動きが取れずにいたところ、そばに控えていた隠密たちに捕縛された
「離せ!私は次期王妃よ!」
「次期王妃はマリー嬢だ、お前ではない。」
「くそ!くそおおおおおおおおおおおお!」
その後、エリー・マルシアは牢に繋がれた。更にマルシア男爵家は数々の悪事が暴露され、爵位剥奪の上で処刑された。エリー・マルシアは裁判の結果、絞首刑を宣告された。あの女狐は最後まで「私はヒロインよ!」と言い張り、刑に服された
「一件落着だな。」
俺は女狐から王太子を守った忠臣として高く評価され、国王と王太子であるオシリスから全幅の信頼を得ることができた
「ドレイクよ、よくぞ息子を改心させてくれた、礼を申すぞ。」
「畏れ入ります。」
「ドレイク、お前がいなかったら僕はあの女の毒牙にかかっていたところだ、ありがとう。」
「私は臣下として、友としての役目を果たしたまでにございます。」
「だがな、流石に殴られたのは想定外だぞ。」
「申し訳ありませぬ。」
「まあ、お前をそこまで追い込んだ僕が悪いんだ。」
「そうだぞ、お前がふがいないばかりにドレイクがお前の尻拭いをする羽目になったんだぞ。」
「はい、以後気を付けます。」
歳月が経ち、先王がオシリスに国王の座を譲った。オシリスは正式に国王の座に就き、マリー嬢は正式に王妃の座に就いた。俺は岳父の後継者として宰相見習いの役目を仰せつかった
「ドレイク、もし娘が生まれたら、俺の息子の婚約者にしたいがどうだ。」
「はは、お前の息子がお前と同じようにならなきゃいいがな。」
「い、言うなよ、俺にとっては思い出したくない過去なんだから。」
「はははは。」
「俺よりもお前の方がやらかしてるけどな。」
「はははは。」
俺もかねてから婚約を結んだナタリアと卒業と同時に正式に夫婦となった。本来、悪役令嬢となるナタリアの運命を変える事ができただけでも良しとしよう、卒業と同時に結婚したのは理由があった
「え・・・・懐妊しただと。」
「ええ、ドレイク様との子供です♡。」
俺とナタリアは学生時代に最初はキス、そして肉体関係を結び、2人きりで会う時があれば、逢瀬を重ねた。俺とナタリアは避妊しつつも若さに任せて、交わり続けた。逢瀬を遂げるうちにナタリアは俺の子供を妊娠したのである、それを知った俺の両親とナタリアの両親、そして国王や王妃、オシリスやマリーにも知れ渡ってしまい、俺とナタリアは、俺の両親とナタリアの両親から大目玉をくらってしまったのである。学園を卒業と同時に俺とナタリアはできちゃった結婚をしたのである
「ナタリア、男でも女でもいい、良い子を産んでくれ。」
「はい、貴方♡」
その後、俺ことドレイク・アルトリアはシュバリエ王国の宰相として辣腕を振るい、シュバリエ王国の最盛期を築いた功臣として歴史に名を刻んだ。また俺とナタリアの娘が、オシリスとマリーの息子と結婚し、外戚として権力を振るいつつも、独断専行はせず、公明正大な政治を行った事で、名政治家として高く評価され、尊敬を集めたのであった
「まあ、終わりよければ全てよしだな。」
乙女ゲームのイレギュラー マキシム @maxim2020
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