第12話 希望と課題②
「やっぱり俺がタンクじゃ
「
「だね。
「ただ基本的に
「エドすまない。あたしもだな。アビを使用すると戦士系とは思えないほどの紙防御になる……しばらくは〈サクリファス〉や〈デスパレード〉の使用は控えたほうが良さそうだな」
「ラヴィ悪いな。装備なりアビなりなにかしらの解決策が見つかるまで様子を見てもらえると助かる」
「ジュノンが気にする必要はない。癖の強い
口調こそ平然としているが、ラヴィの小さな背中はお預けをくらった子犬のように寂しげだ。心が痛む。
これまでさまざまなパーティーで不遇な扱いを受けてきたであろう彼女をこれ以上我慢させたくない。落ちこぼれ同士、気持ちが痛いほど分かるからこそ、ラヴィに思う存分戦わせてやりたい。
(……だが、弱ったな。これは致命的な問題だぞ)
さすが戦闘系種族
断言できるが、
当然の摂理なんだが、モンスターは自分にとって『より不利益な相手』に対して怒りの矛先を向けるものなのだ。
だが、彼女が手加減していては火力不足で10階層のボスを撃破することは不可能だろう。ダメージソースに乏しい俺たちにとってラヴィの活躍がカギなのだ。
(この課題が俺たちが越えなければならない最初の壁かもしれないな……)
しかし、残念ながら目標の5階層にたどり着いても有用な解決策を見つけられないままだった。
◆◇◆◇◆
「5階層だね。まさか初日にここまで来られるとは……信じられないよ」
エドが顔に充実感を滲ませる。
「皆さんのお陰で
ルルは喜色満面の笑みを湛える。
「おめでとう。ルル。あたしも嬉しいぞ」
ラヴィが安堵に胸をなでおろしている。
だが、ただ一人。黒髪のくせっ毛弱気野郎だけが冴えない表情で佇んでいた。俺は迷っていた。
無言の俺に代わって年長者のエドが提案してくれる。
「きりも良いし今日はこのあたりで地上に戻るかい?」
全員の視線がリーダーの俺に注がれる。俺は悩んだ末、皆に切り出す。
「悪いみんな。あともう少しだけ俺に付き合ってくれないか?」
ごくりと俺の喉が鳴る。
「実は、その、あと少しで
胸中に『皆に迷惑そうな顔をされたらどうしよう』という恐怖心がうごめく。
出会って日は浅いが、三人がそんなあからさまなタイプじゃないことは理解しているつもりだ。だが、過去に幾度となくパーティーメンバーから拒否されてきた
「もちろん、いいよ」
「お付き合い致します」
「ふむ。さくっと上げてしまおう」
だからこそ、三人からの快諾に俺は戸惑いを隠せない。
これまでのパーティーで
(パーティーメンバーと対等な関係であること、そんな当たり前のことがこれほど嬉しいとは……)
改めて俺は思うのだ。この四人で10階層を必ず突破したいと。
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