終わりと始まりの3日間 1日目

第1話 夢そして


 夢を見ていたんだと思う。




 子供の頃から睡眠が浅いのか深いのかよくわからないが、夢の中で自由に動きまわることができた。


 思った通りの風景を出す事も出来るし、登場人物も出すことができた。


 思っていない展開になることもあったが、思うように動き回ることができた。


 理想の自分になれる数少ない楽しみの時間として


 夢は俺の大好きな時間といっていい、数少ない娯楽であった。


 だからだろうか。あんまり深く考える事はなかったんだと思う。


 突然こんなこと言われた経験なんて、一度もなかったのだから。





「あなたの余命が決まりました。残り3日です。

さあ悔いのないように、 楽死んでください。」





 頭の中に突然の言葉と、濃密なイメージが入ってきた感覚がある。そこは真っ白なのか、真っ黒なのかわからない世界で



”夢の中で自由に動き回ることに絶対の自信があった自分が”



 突然金縛りにでもあったみたいに考えること以外なにもできない状態になっていた。


 イメージは言葉通りで、濃密な死のイメージが間近に迫っているのを知らせてくれるように



 理解ができてしまった。



 おそらく本当に死ぬのだ。そう理解されられたのだ。


 言葉を発することもできないが、死のイメージを理解した途端に頭の中にとある数字が動いている感覚が浮かび上がってきた。



「72:00:00」



 そして、その世界がゆっくりと崩壊していき・・・




「ッ!」




俺の意識は、現実世界に覚醒した。



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