EP17 ご褒美ランチ
明神下のうなぎ屋神田川を予約して置いた。
江戸時代創業で赴きのある日本家屋の店構えがいい。お庭が見える個室でおもてなしする。なんせ、ひめ先輩は大のうなぎ好き女子とリサーチ済みだ。
ランチのコース、大国を頼んである。
【大国 10.500円】
・お通し
・白焼き
・一品料理
・うなぎ蒲焼き
・ごはん
・赤だし
・漬物
・水菓子
ひめ先輩には内緒でタクシーに乗って店に向かった。店の前に着くとひめ先輩の様子がおかしい。
『ん?此処って??もしかして…』
(ぴょんぴょん、ぴょ〜ん)
『きゃー』
タクシーを降りると飛び跳ねて喜んでる。
(がっしり、ガバッ)
そして抱きついて来た。
『あ〜ん、ありがとうね』
いきなり強いハグをされた。
(ぽけら〜ん…?…)
さくちゃんはなんなのかさっぱり分からない様子。
ひめ先輩は前から一度尋ねて見たいと思っていた様だがお一人様には少し敷居が高いと思って行けずにいた様だ。
「喜んでもらえて良かった」
『まだ食べてませんけど』
「そう、そうだね」
この後3人は至福の時間を過ごした。
まずはそのままふわふわの白焼きにうなぎの旨みを味う。
次にわさびと醤油でもいただく。
『蒲焼き美味い!』
「このタレは魔法のタレだ!」
赤だしを一口
「うーーんいい」
漬物のきゅうりと大根で箸休め
(カリッ…パリパリ…)
一度リセットしたらまた蒲焼きを!
出たこれは無限ループ♾。
「ん〜ん!」
爽やか季節の柑橘系ゼリーがさっぱりしてうなぎの脂っぽさを感じさせない。
素晴らしいランチのコースだ。
「完璧だ!」
(ぼや〜ん…?!…)
ひめ先輩は遠くを見ながら余韻を楽しんでいた。
『凄く美味しかったです』
『鰻がこんなに美味しいものとは初めてです』
さくちゃんは言うと…
『私グレイさんの彼女になろうかな〜』
なんと爆弾発言!
この娘やらかし系か?
拗らせ系か?
小悪魔系か?
あざとい系?
『あんたなんて事言うのグレイさん困ってるじゃないすみませんうちの子ががっついて』
『こう見えても肉食系小動物女子みたいなんです』
(テヘ?ぺろ…)
『コラ!』
『反省してま〜す』
「あ、、、、」
頷くしかない。
その後ひめ先輩にやたらめったら触手を広げるなと叱られていた。
デザートタイムで色々とギルドについて、オレについて質問された。
『今後ギルドは店舗展開するの?」
「今のところギルドは秋葉原だけ」
「後は貧困対策や子供食堂を運営したい」
『それは素晴らしい考えですね。普通なかなか出来ない事だから』
企業は利益を出すことを目標にしていくがオレは今の従業員の満足と生活の基盤をしっかり支えて行ければいいだけ稼ぎ。
残りは多くのみんなに幸せになってもらえる事に使いたいと話した。
『なんでいつもフードを被っているの?」
「あ〜コレね」
本当は顔を見られたら色々と面倒だからだけど…
「子供の頃に頭を火傷をして…」
『ごめんなさい』
「ううん、大丈夫ですから」
「一度話した方が疑問もスッキリするしこっちも気を使わなくて済むから」
『そう言ってもらえると…』
「気にしてないから」
少し気まずくなったがオレは気にして無いと伝え顔の表は綺麗なままだから普段はニットキャップやキャップて隠すくらいだと伝えたら安心したみたいだ。
騙しているこっちが申し訳ない気分になる。
2人はこの後会社に戻り報告があるのでLI◯E交換して店の前でタクシーを拾い見送った。
明日は宿屋の内観だけど1人で大丈夫か不安だ。まあ夫婦を採用するんだからそんなに来ないだろう。
(ポッン…シィ〜ン…)
翌日、宿屋さんの入口でテーブルを出して受付と書いた紙を貼って待てど暮らせど誰も来ない。隣りのギルドの事ばかり聞かれた。
(ふ〜〜ぅ)
「夫婦しばりがネックなのか?」
結局お昼まで待ったが一組も来なかった。
コレはひめ先輩に採用のお願いをしようと思い早速連絡を入れた。直ぐ返事が返ってきた。
昨日のランチお礼から入り、宿屋さんの件はすでに動いていてくれたらしい。会社の社員食堂のご夫婦が来月で契約終了してしまうらしい。入社以来、社食のおじさん、おばさんに仕事の愚痴を聞いてもらったり、落ち込んでる自分を励ましてくれたりとてもお世話になったらしい。
一度自宅に招かれ晩ごはんをご馳走になった時とても美味しいごはんで社食の決まったメニューより自分達でお店を開いたらいいのにと思うほどだったみたいだ。まだ50代後半現役バリバリですと押された。
ご夫婦は昔2人で洋食屋さんをしていた事があるらしい。30代の頃、旦那さんの病気で一旦店を畳む事になりその後は契約で仕事を2人で続けて来た様だ。
早速面談の予定をお願いした。
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