EP2s ステータス解放
その本の外側は動物の革で出来ており
分厚い表紙には幾何学模様が描かれた
見慣れぬ文字が書いてある。
「なんだよ、まったく読めないし…」
ページを捲ると目次には鉛筆で日本語訳が書いてある。
「お!」
やはりあのお爺さんは学者か教授か何かだったんだろうと推測する。
本の内容は魔力について…
なんやらかんやら書いてあるらしいが
とんだファンタジーな小説かなんかと思っていた。
【第一章/ステータスの解放】
「うーんと、どれどれ、なになに」
そのまま本を読み進めるとカタカナで書かれた短い詩があった。
何かドラコ◯クエストの復活の呪文のように意味の分からない文章を読み上げた。
すると!急に頭の中に声が響いた。
【大和タケルは魔力の活性化によりステータスを取得しました】
いきなりアナウンスが流れた。
「な、な、なんだこの声?」
それは親戚のお兄さんの家にあった
ア○クサエコーショー8の声そっくりだった。
「何?どこから聞こえる?」
オレは部屋の中をキョロキョロ見回した。
前の住人がどこかに忘れ物でもしたのかと
(ガサ…ゴソ…ガチャ…)
クローゼットの中、風呂場、トイレ、キッチンの下を見てみたがそれらしい物は見当たらなかった。
「う〜〜ん?」
気のせいだと自分に言い聞かせて正気に戻ったオレは本をもう少し読み進める事にした。
ステータスについての説明があった。
「ステータス!」
言葉に反応して透明なプレートの様なものが現れた。
「これ!まじかー」
【名前:大和タケル】
レベル: 0
種族: 人間
職業: 大学生
HP/ 15
MP/ 10
STN: 8
VIT: 5
DEF:7
DEX: 4
AGI: 6
INT: 8
MGC: 3
CHA: 10
LUK: 50
【スキル: なし】
なんか健康診断とかで書いてあるような
文字や数値のようで良いのか悪いのか
さっぱりわからない始末だ。
分かるのはラッキー野郎と言う事だけだ。
更に読み進めページを捲るとそこには
カタカタで書かれた謎の復活の呪文が!!!
(マキトトリラララシキモユフテコ)
恐る恐る口に出して読み上げると
またア○クサのアナウンスが流れた。
【大和タケルは言語解析Lv1を取得しました】
「今度はどこだ!」
すぐに周りをキョロキョロ見回したがやはり頭の中で直接響いていた。
どうやらどえらいことになっとると身震いした。
暇な時に異世界物はいくつか読んだことがあったが…
まさかね〜、自分がね〜と思ったが信じざるを得ない状況に今!現在進行形で話しは進んでいる。
次のページからは日本語の翻訳が無くなったが?
「あれ?読めるぞ!おかしくないかこれ、、、」
「さっきの言語解析スキルってヤツか!」
その本には魔力について詳しく書いてあった。
ステータスの上げ方やスキルの取得方法や
レベルの上げ方などまるでRPGの最初のチュートリアルのようだった。
しかしステータスが開放され、スキルを取得しても?
「なんにも変わらないな?」
「こう力が湧いてくるとか…」
「身体の芯に魔力の温かさを感じるとか」
あるかと思ったがなんにもない。
気付けばもう夕方になっていた駅前通商店街の中華屋さんに行こう。
お爺さんの話しだと野菜タンメンも美味いらしい。
これは早急に確認する必要がある案件だ急いで着替えて小走りで駅前通りへ向かった。
『いらっしゃいませ〜!』
『空いてる席にどうぞ〜!』
『こちらお冷や、ご注文はお決まりで?』
「えっと、野菜タンメン!を下さい」
『はいよ!野菜タンひとつ〜!』
店内には黄色い紙に書かれたメニューが壁に貼ってあり、ザ町中華といったスタイルだ。
『お待ちどう様!野菜タンです』
「おーー!透き通ったスープに盛り盛り野菜炒めが山となり食欲をそそる」
「いただきます!まずはスープからうんうんこれは美味い!」
鶏と昆布の澄んだスープに野菜の旨みが合わさっていて…
「くぅ〜美味い!」
野菜のシャキシャキ感がいいアクセントになっている。
さすがお爺さんセレクト!感謝しかない。
店内のその他のメニューには次に食べたい物がこれでもかとばかりに目に入る。
チャーハン
中華そば
餃子
肉野菜炒め
生姜焼き
麻婆豆腐
カレー?
中華?いや、こういう町中華のカレーはきっと美味いはず!間違いない!
上げればキリがないけど自分なりのベスト5を見つけたくなった。
野菜タンメンのつゆまで全部飲み干してお会計600円 安い安過ぎる。
うまいうますぎる十萬◯饅頭とでも言いたくなる。
帰りに女将さんが声をかけてくれた。
『お兄さんは学生さんかい?』
「はい!今年から大学生で引越したばかりです」
『食◯ログでも見て来たのかい?』
「いいえ、下の階のお爺さんにここの中華丼を出前で奢ってもらい店を教えてもらいました」
『そう言えばあのお爺さん最近見ないけど元気かい?』
「実はお爺さんは引越ししてしまって僕も最後に挨拶出来ませんでした」
引越しの事を伝えるととても残念がっていた。
店の常連さんだったようだ。
『きっと淋しくなるから声をかけずに引越しして行ったんだろう』
店主が言った。
きっとお爺さんはこの店の常連おしゃべり仲間だったんだな。
お腹一杯で部屋に戻って来たおれは
真っ直ぐベッドに直行し
ゴロゴロしてスマホでネットを見ながら、、、、、、寝落ちした。
起きたら電気はこうこうついていて
時刻は午前2時?
電気を消してまたすぐ寝た。
朝8時に目が覚めた!
今年から東京の人大学生だ。
オレは同じ鉄は二度踏まない。
もう大人の男だからさ。
いや東京の人だからさ。
いつまでもダラダラしては居られない。
部屋に足りない物を買い出しに
近所のスーパーみら◯るで食材を買った。
一旦部屋に戻ってから
すぐ銭湯浅◯湯に行った。
入り口にめちゃくちゃ怖い顔の
たぬき?
どっしりと鎮座している。
つい手を合わせてしまう。
「疲れが取れますように…」
足が伸ばせる風呂はやっぱりいい。
たぬき銭湯もお気に入りにしよう。
部屋に帰り焼きそばを作って食べて
今日も一日が終わった。
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