第35話 その男、明智十兵衛光秀
これからミッチーこと光安亮とサイゼリアで会うことになっている。あの日の配信にコメントをしてきた男。最初は半信半疑だったが、送り主のMitchieを調べるとやはり俺が知っているチャンネルが見つかった。この送り主がミッチーであることは間違いない。
信長は秀吉の他に光秀もこの世にいると言っていた。合コンで久しぶりに会った時は俺が知ってるミッチーのままだった。なのにここ数日で一体彼の身に何が起こったんだ。あのコメントの内容……。とにかくまずは会って確かめるしかない。
信長からは少し遅れてくると連絡があった。ヒデは塾の講師の仕事で参加できない。(生徒が心配だ)
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店に入ると既に奥の方に一人で座っている男と目が合った。ミッチーだ。
「ようミッチー早いな。こないだの合コン、誘ってくれてありがとな」
「はて拙者あいにく記憶を失っているゆえ、なんのことやらわかりませぬ」
「は?何言ってんだよ。それになんでお前まで信長やヒデみたいな喋り方になってんだよ。飲み会の日に散々信長の喋り方を馬鹿にしてたくせに」
「おや、殿のお知り合いということは。あなたが次郎殿でござるか。大変失礼つかまつった。拙者、明智十兵衛光秀にござりまする」
おいおい、何言ってるんだ一体。
「ミッチー、冗談よせよ。俺がLINEした時、お前御意って返信したよな?今日会う約束した相手は俺だってわかってただろう?」
「いや、そうではござらん。この光安という者が持つ摩訶不思議な箱で文の過去のやり取りを拝見させていただいたところ、殿のことを知っている者は次郎殿しかおらぬことがわかりもうした。なので返事をした次第。恐らくみっちーと呼ばれておるこの者と次郎殿は友人関係であるのではないかと見受けられまする。なので今日顔を見たのは初めて。ご無礼をお許しくだされ」
「ミッチー……。お前、本当に俺がわからないのか?」
「残念ではありますが。拙者もこの身に何が起こっておるのか全くもってわかっておりませぬ。しかし、ようやく殿と秀吉殿と繋がっておる方とお会いすることができました」
「……」
何が起こっている……。これは予想していた状況よりも異常事態だ。もうひとりの転生者。さすがに三人目となると俺も驚きは少ない。しかし俺を覚えていないというのは想定外だ。そうなると光安亮の記憶は混ざっていないということなのか?
「と、とにかく。せっかくだから何か飲み物でも頼もう。コーヒーでいいか?」
「こーひー……。それは一体どういった飲み物であろうか?」
「え、何言ってんだよ。コーヒーだよ。……わからないのか?」
「はて、そういった飲み物は拙者の世にはありませぬ。お水を一杯いただければ」
「……わかった」
どういうことだ。俺がわからないだけではなくコーヒーもわからない?こいつ、本当に記憶喪失になってるのか?それとも……まさか本物の
考えがまとまっていない中、明智光秀を名乗る目の前の男が急に席を立ち、床にひれ伏した。
「お久しゅうございます、殿」
「き、急にどうしたんだよミッチー?」
「……うむ」
後ろを振り返ると遅れてやってきた信長の姿があった
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