彼女に「デブ」と言ったことに後悔はなかった

みずがめ

本編

 俺には幼馴染と呼べる女子がいた。

 そいつとは幼稚園から中学までいっしょだった。クラスもずっといっしょで、これはもう腐れ縁というより何か作為を感じるほどだった。


「おいデブ」


 これが幼馴染の女子に対する俺なりのあいさつだった。


「何よチビガリ」


 それがあいさつをした俺に対する返事だった。

 互いに悪口を言い合うのは日常茶飯事。傍から見ればさぞ仲の悪い男女に見えたことだろう。実際に他の女子から注意を受けたことだってある。

 それでも俺はやめなかった。あいつが笑いながら悪口を言い返してくるものだからムキになっていたのだ。

 互いをなじり合う。そんな関係が俺達には心地よかった。

 気にしていた体型のことが気にならなくなった。バカなことを言ってやがると笑えるようになった。

 変わったのは、中学二年の冬からだ。


「あ、あの、これ……受け取ってほしいんだけど……」


 二月十四日。バレンタインデーである。

 そんなイベントに、人気のない階段の踊り場で、小さな包みを差し出された。

 いくら相手が幼馴染とはいえ、この状況で包みの中身はなんだとは聞けなかった。


「あのっ、別に深い意味はないっていうか……。ただの日ごろの感謝というか……。でも、その、受け取ってほしい、です……」


 いつもは憎まれ口を叩いていた関係だ。

 それなのに、恥じらいながら俺へと渡してきたのはバレンタインチョコ。義理ではあるだろうが、幼馴染の性格を考えるに悪ふざけとも考えられなかった。


「えっと……」


 正直戸惑った。

 けれど、それ以上に喜びがあった。

 だからといって嬉しい気持ちを前面に出してしまうにはこっちだって恥ずかしい。それに、あまり恥ずかしがってはからかいの対象にされるかもしれない。

 さらりと何事もなかったみたいに受け取ろう。そうすればいつもの関係でいられると思った。


「うん。ありがと──」


 包みを受け取ろうと手を伸ばした。そのときだった。


「おい見ろよ! 三坂のデブがチョコ渡してるぜ!」


 頭上から聞こえた声に反応してしまう。階段から身を乗り出した男子が数人いた。


「マジかよバレンタインチョコか!?」

「告白の真っ最中? デブにも乙女心があったんですねー」

「無理無理ー! 俺だったら三坂に告られたらもう学校来られねえわ!」


 耳障りな笑い声がゲラゲラと響いた。


「森下どうすんの? 受け取んの?」

「マジかよ! そういやお前らケンカばっかしてたんだもんな。好きだからケンカしてたってか?」

「うげぇ~、森下趣味悪すぎぃー」


 好き勝手に、他人の気持ちを一つも考えていない笑いばかりが響く。


「……っ」


 そんな幼稚で下品なあざけりの言葉は、確かに彼女を傷つけた。


「……」


 言い返せばよかったのか。それとも彼女の前に立って守ればよかったのか。俺はどちらの行動もとれなかった。

 ただこの場にいることが耐えられなかった。つらくて恥ずかしくて、耐えられなくなってしまったのだ。


「あ……」


 彼女がどんな言葉を発したかったのか。顔を伏せ、無言でこの場を後にした俺にはわからなかった。

 一つわかったことがあるとすれば、彼女が俺にチョコを渡そうとした理由だ。

 なぜなら、あれからすぐ後に彼女が転校してしまったからだ。

 あれは俺への別れのあいさつだったのだろう。それなのに俺は、面白がられて冷やかされて、それだけのことで彼女を無視してしまった。

 何か言いたかったはずなのに、何も言わせてやれなかった。それを知っていれば、俺だって別れの言葉を送りたかった。

 でも、それはもう叶わない。それを台無しにしてしまったのは、俺自身の、愚かな行動のせいだったのだから。

 そして、そのことが俺の後悔であり続けた。



  ※ ※ ※



 高校二年の秋のこと。


「転校生の紹介をします」


 担任の事務的な一言に教室がざわめいた。

 俺も反応せずにはいられなかった。否応なくどんな奴なのかと想像を巡らせる。


「では三坂さん、入ってきてください」


 ガラリと教室のドアが開かれる。クラス中の視線がそちらへと向いた。


「おおっ……」


 たった一人で教室の雰囲気が変わった。その存在感に感嘆の声が漏れる。

 転校生は女子だった。それもとびっきりの美少女だ。

 明るく染めたセミロングの髪。まつ毛が長くて、大きな目が瞬きする度に力強さを感じる。

 スレンダーな体型で、スカートから伸びる脚は細くしなやかだ。

 クラス全員が彼女に釘付けとなっていた。


「三坂、自己紹介をしなさい」

「はい」


 止まっていた時を動かしたのは、いつも通り淡々とものを言う担任の言葉だった。

 転校生は黒板に自分の名前を書く。見た目通りの可愛らしい丸文字というイメージを裏切って、とても達筆な字で彼女のフルネームがみんなの視覚を刺激した。


「三坂京子です。今日からよろしくお願いします」


 しばしの静寂。だけどすぐに拍手喝采が巻き起こった。

 転校生の三坂さんは照れ臭そうにはにかんでいた。教室のあちらこちらから「可愛い」と声が飛ぶ。

 その中で俺だけが彼女を直視できなかった。

 かつて幼馴染だった少女。俺が「デブ」と言い続けていた少女だった。少し体型が変わったところで俺が見間違えるはずもなかった。



  ※ ※ ※



 休み時間。三坂……、三坂さんはクラスメイトに囲まれていた。

 話題の中心になるのは転校生の宿命か。三坂さんは質問攻めされていた。

「どこの学校から転校してきたの?」だとか「趣味は?」などの当たり障りのない質問から、「好きな男のタイプは?」や「スリーサイズは?」などの踏み込んだ質問をしているのが耳に入る。踏み込んではいけないラインを超えた男子は女子から制裁されて転校生を囲む輪から排除されていた。

 俺が知っている三坂さんとは別人のように受け答えをしていた。答えづらい質問にはうまくスルーしていて、世渡り上手な一面を見せられた。

 男女ともに分け隔てなく接していく美少女。これからクラスの人気者になっていくのだろう。

 そんな行く末を自分の席から見守っていた。

 三坂さんからすれば昔を知る俺は邪魔だろう。そうでなくとも別れ方を考えれば顔も見たくない相手に違いない。

 俺は彼女にとっての黒歴史なのだ。

 俺が彼女に償えることがあるとするのなら、二度と三坂さんと顔を合わせないことだろう。同じクラスになった以上それは難しいから話しかけないってのが現実的か。

 あの人気ならわざわざ俺が関わることもない。こうやって中心から離れるだけでいい。

 謝りたいという気持ちがないわけではない。でも、それは俺の自己満足だ。三坂さんにとって俺は忘れたい存在のはずだし。今さら謝られたって困るだけかもしれない。

 ……俺のこと、忘れているのかもしれないな。

 チラリと人だかりの中心を盗み見る。そこには怒涛の質問攻めを笑顔で対応している三坂さんがいた。

 顔を向けるタイミングが合ってしまったのか。俺と彼女の視線がバッチリ合ってしまう。

 慌てて首をあらぬ方向へと向けた。首からグギッという音が聞こえた、気がした。……痛い。

 見えたのは一瞬だったけど、俺を覚えている素振りはなかった。きっと忘却の彼方へと消えてしまったのだろう。視線が合ったように思えたのだって質問した奴へと顔を向けたからたまたまこっち向いただけだろうし。

 ズキリと胸が痛む。思い上がっていた自分に気づかされて恥じ入るばかりだ。



  ※ ※ ※



「ねえ君。学校を案内してくれない?」

「へ?」


 放課後。帰り支度をしている俺の前に三坂さんが現れた。

 突然話しかけられて面食らってしまった。戸惑う俺を前にして、彼女は小首をかしげる。

 昔はそんな可愛らしい仕草なんかしなかった。やはり別人と呼べるほど変わってしまったのだ。


「ねえ聞いてる?」

「ああ、うん……」


 気のない返事だと思われたのか、不機嫌な態度を見せる。唇を尖らせるなんて、こんな表情も俺は知らない。

 学校案内なら俺以外の奴に頼めばいい。ほら、すぐそこにいる連中が案内したそうにしているぞ。

 それとも……俺に用があるのか? それって俺に気づいたってことじゃ……。

 胸の動悸をどうやって押さえればいいかわからない。罪悪感が体を縛ってくる。

 三坂が俺のことをどう思っているかを考える。

 俺の存在自体が黒歴史なのは間違いない。それなら彼女にとって俺は忘れたい存在のはずだ。

 それ以外となると……憎悪の対象?

 彼女が俺に気づいたと仮定すると、何か用があるはずだ。

 例えば昔のことを口にするなと釘を刺されるとか。それよりも憎まれているのなら腕の一本でも覚悟した方がいいのかもしれない。

 何にせよ断る選択肢はない。どんな罰も甘んじて受けよう。それくらいの覚悟はするべきだ。


「わかった。俺が案内するよ」


 席から立ち上がり、三坂さんを見下ろした。昔は俺が見上げていたのにな……。などと過去を振り返っている場合じゃない。


「なんでそんな悲愴な顔なの!?」


 三坂さんの驚きの声で、自分の顔が強張っていたことに気づいた。


「い、いや……き、緊張のせいだよ、うん。美人の転校生に声をかけられるだけで男子は緊張で変な表情になるものなんだよ」


 かなり適当なことを口にしてしまった。でも周りの男子が力強い頷きで同意を示してくれた。おかげで変な風には思われなかっただろう。


「ふーん……。緊張、ねぇ……」


 ……だろう?

 なぜか三坂さんからジト目を向けられている気がする。内心の焦りが見破られそうで怖くなる目だ。


「えっと、じゃあ校内を案内するよ」

「うん、お願いね」


 彼女は当然のように俺の隣へと並ぶ。

 案内をしようと彼女の前へ出ようとしても、ぴったり隣に並ばれる。

 なんだか距離感が近い……。俺の記憶の中の三坂さんは男子に自分から距離を縮めようとはしなかった。

 まあ俺とバカ言い合ってる時だけは違ったか。どつき漫才でもやれそうな距離感だったな。手は出さなかったけど、言葉の応酬はどつき合いそのものだった。

 三坂さんも昔とは違う。これだけ美人なら男女交際の三つや四つしているだろう。距離を縮められる程度には男慣れしているのかもしれない。

 そんな想像をして、ズキリと胸が痛んだ。


「授業で利用する特別教室や保健室とか、必要そうなところから案内しようか。気になる場所があったら遠慮なく言ってよ」


 三坂さんにとって必要ではない俺の気持ちを抑え込む。声はいつも通り発せられた。


「わかったわ」


 彼女の返事が淡白に聞こえた。それに気づかないフリをして、学校案内をする。

 見覚えのない美少女だからか、すれ違う生徒から見惚れているような視線を向けられていた。その反応が新鮮に感じて、やっぱり別人として扱った方がいいのだと思った。

 俺でも気づいたのだ。彼女はとっくに視線の意味に気づいていただろう。それでも表情に出すこともなく、すました顔で俺の隣を歩いていた。


「えーっと、あそこが音楽室で、あっちが美術室。校舎を挟んだ向こうに体育館があるよ」


 案内している俺の方が恥ずかしくなってくる。緊張を悟られないようにするばかりだ。


「屋上って出られないの?」


 あらかた案内を終えたところでそんなことを言われた。


「普通学校の屋上は立ち入り禁止じゃないかな」

「あらそう。でもちょっと興味あるし、屋上の前まででいいから案内してよ」


 なんでわざわざ。そう思うが逆らう理由もないので案内した。

 四階建ての校舎。屋上の手前にある踊り場まできた。


「机ばっかりね」

「屋上は誰も出ないから。屋上のドアの前は物置になっているみたいだ」


 俺も用がないからここまでくるのは初めてだ。屋上に続くドアの前は机がびっしりと並んでおり、鍵がかかっていなかったとしても屋上には出られないだろう。


「ちぇっ、つまんないの」


 三坂さんは子供のように唇を尖らせた。こういう唇の尖らせ方には見覚えがあったと思い出す。


「残念だったね」


 戻ろうか。そう口にするよりも、彼女が口を開く方が早かった。


「おいチビガリ」


 彼女の言葉の衝撃に、足元が揺れる。なんとか転ばずには済んだが、動揺したとばれてしまっただろう。


「……体おっきくなってるけど、やっぱり森下だよね。私のことわかんない? 三坂だよ。どう? びっくりしたでしょ」


 明るく話しかけられているのが信じられなかった。

 俺は三坂さんにひどいことをしてしまった。恨まれていたって文句は言えない。それだけのことをしたと思ってる。

 なのに、何で笑って話しかけてくるのだろうか。


「何よその暗い顔は? 久しぶりに幼馴染と再会できて嬉しくないの?」

「い、いや……」


 歯切れの悪い俺に、三坂さんは嫌な顔もせず「ああ」と納得したように頷いた。


「あれだ、私があまりにも綺麗になったから戸惑ってるんでしょ」


「すごいでしょ?」と三坂さんは胸を張る。

 戸惑ってはいるけど、そんなことが理由じゃない。


「まあ私も驚いたけどね。森下すごく大きくなってるんだもん。もうチビガリだなんて言えないね。今言っちゃったけど」


 彼女は朗らかに笑った。まるでそれが当たり前かのように、仲良しだったあの頃に戻ったみたいだった。


「そうじゃなくてっ!」


 思わず叫ぶように声を上げていた。

 俺の声が踊り場に響いた。自分で発したのに、思った以上に大きな声が出てしまって体を震わせた。


「そうじゃなくて……三坂は怒ってないの?」

「何を?」

「だって最後……ひどいことしたのに……」


 彼女は思い返すようにああと頷いた。そして渋い表情を見せた。


「覚えてたんだ……。でもあれは森下関係ないって」

「でも傷つけた。それは事実だから……」


 後悔で涙が出そうになる。そんな情けないものを彼女には見せられない。歯を食いしばって耐える。

 はぁ、とため息が聞こえた。わかりきっていたはずなのにピクリと体が震えた。


「森下は許されたいんだ……」


 そんなんじゃないなんて言えなかった。

 下を向いて黙り込む。三坂さんがゆっくり近づいてきた。

 顔面に衝撃が走った。尻もちをついて、それでも自分が殴られたということにまだ気づけなかった。


「よし、これで許した!」


 その言葉と、彼女の振り抜かれた拳を見て、ようやく殴られたことが理解できた。

 にひひと笑う彼女は、俺が知っている幼馴染そのものだった。


「ほら立って。起立、気をつけ!」

「は、はいっ」


 言う通りに直立不動となった。


「あの日のこと、覚えてくれてるならちょうどいいね。……せっかくだから続き、やらせてもらうよ」


 彼女は大きく深呼吸をする。さっきの悪戯っ子のような表情から緊張した面持ちへと変わる。

 まるで何かを持っているかのような手の形。わけもわからず見守っていた。


「これ、受け取ってください」


 差し出された両手。相変わらず何も持ってはいない。


「ほら受け取って。ポーズでいいから」

「う、うん」


 何かを持っていると仮定して、俺は恭しくそれを受け取った、というポーズをした。


「あっ、それチョコだからね。そのつもりで」

「チョコ……」


 受け取らせてから言うのかよ。相変わらずだ。

 ここで彼女はもう一回深呼吸をした。そして、ゆっくり口を開く。


「昔からずっと好きでした。あたしと付き合ってください」


 予想だにしていなかった告白に頭が真っ白になりかけた。


「……こんな風にね、本当はね、あの時に告白しようとしてたの。でもできなくて、転校する前に伝えたかっただけなの」

「……」

「だからこれで心残りはなくなった。今のは忘れていいからね。こんなこと言われても迷惑だろうし……あたしがけじめつけたかっただけで、それだけのために付き合わせてごめんね」


 彼女はまた悪戯っ子のように笑った。

 でも、この笑顔はさせちゃダメだ。俺の直感が、長い年月を付き合ってきた幼馴染の関係が、それはダメだと訴えかけていた。

 彼女らしくもない歪んだ笑顔。そんな下手くそな笑顔で、俺達の関係をリセットしようとしていた。

「じゃっ、帰ろうか」と階段を降りようとする彼女の背中を、このまま見送ってはダメだ。


「俺も好きだ」

「え?」


 彼女は足を止める。気がついた時には防波堤が壊れてしまったみたいに言葉が流れた。


「あの時は、くだらないプライドで、俺の弱い心があんな連中に何も言い返せなかった。お前を守れなかった。それを、ずっと後悔していた」

「……」

「俺と付き合ってくれとは言わない。それでも、またあの頃みたいな関係に戻れないかなぁ……? ずっと、お前といっしょにいたかったんだよ」


 それが正直な気持ちだった。俺の後悔の全部だった。

 怖くなって何もできなかった。それが取り返しのできないことになるなんて、後になって思い知らされた。

 許してくれ、なんて言えない。ただ、彼女と同じ気持ちだったことに嬉しかったのだ。せめてそれだけは伝えたかった。


「……本当?」


 彼女は振り返っていた。


「あたしのこと好きってとこ、本当なの?」

「あ、ああ」


 気恥ずかしくて小さく頷くだけにとどめた。

 彼女は「へぇー」とか「ふうん」とか「そっかー」など、そこから先を口にしようとはしなかった。


「な、なんだよ……」

「いやー、あたしが可愛くなったから都合良くそんなこと言ってないかなって。こっちは疑っちゃうわけですよ」

「俺はお前がデブの頃から好きだったんだよ! むしろ今でもデブの方が好きなくらいだ」

「ほ、ほう……」


 彼女は言葉に詰まった。言い負かした気分になって口元が緩んだ。昔の頃のような気持ちになれた。


「そ、それを言ったらあたしだって! アンタがチビガリの頃から好きだったもん! こんなに大きくなっちゃって、背高いと見上げなきゃなんないから首が痛いんですけど」

「そ、そうなのか……」


 あの頃は体が小さくてやせていた。男として貧相で密かに気にしていたのだ。

 そんな風に自分のことを恥ずかしく思っていた。でも三坂が「チビガリ」と呼んできて、俺も言い返していったら、いつの間にかそんなもんは些細なことだって気にならなくなった。

 あの頃から好きだと言ってもらえて、後悔に思っていたこと全部が吹っ飛ぶくらい嬉しかった。


「……」

「……」


 人気のない階段の踊り場。赤面して黙り込む男女。冷静に考えると余計に恥ずかしくなってきた。


「あの」


 止まっていた時間が動き出す。

 今度は邪魔する奴はいなかった。もしいたとしても、今度は絶対に負けたりしない。二度と後悔しないように生きていくと決めていた。

 もう一度彼女と出会えた。きっと二度とない奇跡だ。だから、今度は俺から彼女と肩を並べられるように、前を向いて歩こう。


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