《番外編第2話》 葬送の輝きの内に馳せるそれぞれの想い
例え全てを命中させずとも! 拳銃使いの
「ヒィィィッ!? な、何これェッ?」
外れた銃弾が流れて女が潜んでいる木の幹を
一方亀のように隠れたままの女からは、相変わらずのどうしようもない絶叫が続いた。
(……此方を向いたな。やはり奴等には
「向かって来るぞっ、リイナ、ルシア!」
「了解ですっ!」
「言われるまでもないよっ! 風の精霊達、私達に自由の翼をっ!」
ローダの呼び掛けに呼応し、勢いよく馬車から出撃してゆくリイナとルシア。ルシアが自分と妹分に、風の精霊術を
目に映らぬ翼を広げ、
武闘派のルシアはともかく、元は司祭のリイナですら両拳を強く握った拳を上げて、背中合わせで
「ハァァァァッ!」
「ハッ!」
まるで
不死鳥の助けなぞ借りなくても亡者の身体に風穴を開けてゆく。最早これは司祭というより
「良しっ! 俺達も往くぞ、ロイド!」
「お、
得物の長さこそ落ちるが、その分振り回しのしやすさに特化している。
このメイス、先端にはハンマーのような重みと共に、小さいがナタの如き刃を秘める特注品なのだ。
ロイドは自身の非力さを
だから亡者くらいに遅れを取るような
馬上の高さと勢いも存分に活かし続々と
アドノスでの神がかった争いを生き抜いた彼等である。ただの亡者であれば、20だろうが30だろうが誤差にすら値しない。
…………ただの亡者であればの話なのだが。
あと相手は死してなお
(……
おぞましき彼等を見ながらローダが4年前に想いを
その名を『アスター・バルトワルド』という。
どれだけ斬って捨てようが向かってくる亡者の群れをただの一人で取り
その
なれど哀しきかな、今や護る国自体が消え
「リイナっ、後は任せたっ! レイはリイナの
「
一旦、昔の思い出を振り払うとローダは、リイナとレイに鋭い声で指示を送る。
レイがリイナに喰って掛かろうとする亡者共に鉄の
「……
1年半前にフォルテザ砦を襲撃された
果たして………リイナの
この国の青い、何処までも青い空に天へと帰る道を見つけたらしく、こぞって並びながら昇って消えた。
「終わったな、やっぱ
「そ、そんなこと……ないです」
役目を果たしてくれた相棒の
「いやいや、本当に大したもんだよ。ちゃんと我流じゃない武術を
ルシアがまるで争いなどなかったかのような
フォルデノ城内で武術家を育成している本物のムエタイ使いから、このうら若き少女が指導を受けているのを知っているのだ。
「そして実に
「ろ、ローダさんまで……からかわないで下さい………って、本物の魂送りを見たことあるんですか?」
普段無表情が過ぎるローダでさえも、リイナの奇跡の
「あ、嗚呼………。もしかしたら見られるかも知れないな」
ローダの応答には何やら
「あ、あ、あ、ありがとうございましたァァァ………」
号泣………
身長が低くベリーショートの黒髪、おまけに甲高い声も含めて子供に間違えられそうな人物であった。
「い、いや、無事で良かった。しかし何故こんな
泣いている子供を慌ててあやす大人のような口ぶりでローダが質問してみる。
「ひっ……ヒック、も、勿論何でもお答えします。わっ、私の名はリグレ。パルメラという、ひっ、人の護衛だったのですがァァ……は、はぐれてしまってぇぇ……」
「ちょ、ちょっと落ち着きなよアンタ………」
変わらぬ
その目に余る痛々しさぶりに普段は、口の悪いレイですら持て余してしまう。
(………パルメラ? 何処かで聞いた覚えが。まあ仕方がないから探してやろう)
ローダが自らの意識を四方へ飛ばす。リグレの意識を辿れば、その主人か彼女の同僚を見つけることなど彼には
◇
「………
丁度その頃、アスターとその一行が、亡者の群れを蹴散らした上で、まだあどけない少女の
美しい薄緑色の光の球が飛び出すのをその目に焼き付けたメル。「私は人でなく奴隷………」と言い
昇って
だがさらにその時、視界の
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