第12話 遊びなんかじゃないわ
ゴーレムの
完璧に
「これで本当に
小声で言い放つルシア。小さな言葉とは正反対の
それは皮肉にもジェシーの
ゼロと化したジェシーを
ルシアは身体を詰まらせたのではない。ゴーレムの残骸で軽量な身体を支えたのであった。
ティンの
「……る、ルシ、ア………ロット……レン。あ、アン、タの………名前、確かに………
「これは
顎の骨を完全に砕かれたティンは、言葉もままらなかったが、確かにそう言って目だけで笑う。
ルシアの
(済まないトレノ、カイシャクとやら、してやれなかった。先に地獄で待って………)
そしてティンは静かにを目を閉じて、トレノへの想いを
それに気づかせてくれたトレノとの最期の短い付き合い、決して悪くはなかった。加えて
(ジェシー………やっぱり大好きだ、ナナリィーが今からそちらに
ルシアは黙ったまま
ヴァロウズ5番目の女拳闘士ティン・クェン。
そしてルシアも続くかの様にフラッと倒れそうになる。右拳の輝きも全身を
ランチアが慌てて飛び込み、ルシアが地面に倒れるのを救い上げた。
「全てを出し
「貴方に言われるまでもありません……」
リイナは早速、女神エディウスの
(おぃローダ、見ていたか。ルシアは自分の仕事をやり遂げたぞ)
ランチアが上空のローダに声にならない
◇
AYAME Ver2.0アイリスによるローダの全身の赤い輝き、それが剣の青白い輝きと同化して虹の様な光に変わる。
けれどこれから始まる戦いは、虹の様に夢のあるものでは決してない。
またも士郎は氷狼の刃を振り下ろし、凍気の刃を飛ばしてきた。ローダはこれを最小限の動きでかわすと、両手の剣に魂を注ぐかの様に力を込める。
右手のロングソードはさらに青い輝きを増し、左手の
「そうだろうな、俺の氷狼の刃。防ぐにはさっきの様に命を捨てて打ち込むか、距離を取って避けるしかない」
(何の事もない、少し動きが良くなっただけ。さっきと大して変わらぬ)
士郎がまたも余裕の笑みを浮かべる。
―果たしてそれはどうかな?
ローダが
「なっ! ……良かろう。 では、もう一度受けてみるが良い!」
怒りに任せて再び剣を振う士郎、もう何度目か判らない凍気の刃を飛ばす。なんとローダは
(馬鹿な!?)
士郎はその光景が信じらず、今度は三度も剣を振るったが結果は同じだった。
(風の精霊による
「………良かろう、ならば直接この剣で打ち
士郎が剣を左手に握りローダに向かって襲いかかる。いよいよ父親譲りの殺人剣の本来の型で斬り捨ててくれるといった
片手で握っているとは
ローダも下段に左手の脇差を構えて待ち受けるが、士郎はその刃に当たる前に世界が静止したかの様に動きを止め、瞬時のうちにローダの首を目掛け軌道を変えた。
これをローダは右手のロングソードで防いだが、
(左片手でこの力? そもそもあの振り上げを途中で止めて軌道を変える?)
二刀の騎士が片手一刀の武士の力に舌を巻く。しかしローダも負けじと、下げていた真紅の脇差を振り上げて、士郎の腹の辺りを斬りつける。
(………刀を下げろ、防ぐがいい)
ローダの狙いは士郎の刀が、自分の脇差を防いだ所を右手のロングソードで両断する事だ。
すると士郎はお構いなしで、さらにローダをそのまま押し返した。
これにはたまらずローダも後退するしかない。だが彼とてそのままでは終わらない。
赤い身体を反転させて、相手の背後を取り、両手の剣で
けれどそこに士郎の姿はもういない。彼は飛び上がってそれをかわすと、交差したローダの剣の上に立つ。
(飛んでいるとはいえ、なんという身体能力!)
ローダの驚きを他所に士郎は、相手の剣を踏み台にして飛び上がると、次は重力に任せてやはり首元を狙って刀を振り下ろす。
片手で受ける
物凄い
「ハアッ!」
ローダは己の全身に力を込めて、ようやくこれを弾き返す。しかし士郎はそこに出来た
宙に作った氷を蹴って、ローダに向かって三度首を狙って刀を振り下ろす。
(二度も同じ手は!)
ローダも負けじと此方から打って出る。真紅の脇差を振り上げる。
「
ガロウがエドルでの戦いで使った技を脇差で
「ちぃぃ」
「まだだ!」
流石の士郎もこれは
「あ、あの野郎………俺の技を完璧に」
「しかも脇差で連撃とはな、増してや左腕だけで………」
ガロウの
「お、俺が本家だからな、クソッ」
強がって
その一方で、ローダを取り巻く空気に少し異変が生じている事を、誰も気づいてはいなかった。
「ところでドゥーウェン、何でこのアイリスとやら、
「そ、それはですよ。
ガロウがドゥーウェンに向かって素朴な疑問を問う。普段冷静なドゥーウェンがいつになく落ち着かない。完全に声が
「一体その発動条件って何だよ? 5分しか持たないとしても、あのルシアならそれでカタがついていたぜ?」
「そ、それがまだ、僕にもよ…良く判っていないんですよ。ハハハハハッ」
ドゥーウェンの
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