第3話 女魔道士のナイフに敗れる自由の爪
ハイエルフであるベランドナが醜いダークエルフのオットーを圧倒し、
恐らくオットーはもう二度と
「………ガロウさん! アイリスを使った今の貴方と言えど、
一方、「ノーウェンの方は俺が相手をする」と言ったガロウへ必死に
エドナ村での戦いに
「言うなドゥーウェン、
ガロウは刀を中段に構え、視線をノーウェンから外す事なく何者かを大声で呼びつけた。
「おいおいおいおいっ、俺は影からトドメを刺すのが好きなんだぜっ。大体なんだ? その
「影からトドメって言うのは賛成出来んが、その物言いは確かに気に入らないねえ。ハッキリ言うが剣なんて、槍には
物陰から槍を持った二人の騎士が現れた。一人は身につけている装備が全て青。けれど身体がやはり赤い輝きに包まれている。
もう一人は何もかもが赤。身体も赤く輝いているので、いよいよ目立って仕方がない。
この二人が並ぶ
無論言うまでもなく
「おぃ、
「同感だねぇー、無欲過ぎるのか、それとも想像力がないのか………いや、余程
二人揃って、ヤレヤレといった体で容赦なくガロウを
「
「「当然だッ!」」
ガロウの
「ただでさえ俺の
「最早この
「おぅ、
ガロウは相変わらず
無言で後方から戦いの様子を全てを見ているルイスの影は、不気味な色合いを見せていた。
(
どうやらこの戦いは高見を決め込むつもりらしい。いや、
「やはり
ノーウェンがただ
「あ、アレは………まさか!?」
その影と戦った覚えのあるプリドールが驚く。それは恐らく大切な同じラオの仲間達を失った絶望の記憶。
「やはりそうだ。青銅の鎧を
プリドールの当時の記憶がさらに
「そういう事だ、久しいな。いつぞやの女
ヴァロウズ7番目の巨人セッティンは、辺りを見渡しながら敵の姿がやけに少ない事に少々
「ランチア、プリドール。お
相変わらずラオの二人組を見る事なく、ガロウは堂々と名乗りを上げて、正面から相手に迫る。
「ほぅ………我とサシで戦うというのか」
ほくそ笑みながらノーウェンは、両手をガロウの方へとかざす。次々と爆炎の火球を繰り出してくる。
その一つ一つが、フォウの
「
ガロウは片手で刀を握りしめたまま、まるで拳闘士の様に素早く左右の拳を繰り出す。真っ赤に輝く拳が、襲いかかる全ての火球を
ローダがトレノと戦った際に繰り出したものと似ているが、
要は繰り出す拳の数がローダのそれより多いものらしい。
「ほう、暗黒神の火球を拳だけで………やってくれる」
「自分が神
ノーウェンもガロウも互いの技を
「では…………これならばどうだ?」
「『
次は全く同じモーションで青白い輝きを繰り出すノーウェン。再び櫻道を連続で繰り出すガロウ、青白い輝きは冷気であった。
恐らく過去にマーダがエドナ村で使った冷気の術と同様のものであろう。またもアッサリと相殺してみせるガロウ。
「おぃ、火炎を火炎で消したん
「フッ、言いよる。まあ力量を測ったとでも思うがいい」
馬鹿にしているとばかりにガロウは、鼻息荒く食ってかかる。相変わらず冷笑を絶やさないノーウェンである。
「そうか、
「良いだろう、では第2ラウンドだ」
(…………ガロウさん、余裕ぶっているが、果たしてもつのか?)
ガロウは楽しそうな顔に戻り、得意の
ドゥーウェンが案じているのはアイリスの稼働時間だ。しかも相手はその昔、マーダと
「さっきからどこを見ているの? お前の相手はこの私だと言った筈よ」
「させんっ!」
フォウが少々膨れながら次の魔法の用意をする。ベランドナ得意の弓の3連撃が詠唱を
だがフォウはコルテオの内の2本を飛ばしてこれを防ぐのである。魔導士が自身の身を物理攻撃から守る
(クッ! アレを何とかしないと此方の攻撃が通ら……ん?)
このやり取りを見たドゥーウェンは何かに気がついた様だ。
「墜ちろっ!」
「効かんと言っている! マー・テロー、
ドゥーウェンが3つの
フォウの
(ま、まるでミサイルの様だ!)
初見の術に
「し、しまった!?」
ドゥーウェンのさらなる動揺を
「フフッ、狙い通りだ。そのオルディネとやらは、貴様の意志で自由に動く様だから先読みは難しい。しかし守りに入る瞬間は静止しなければならない」
「………クッ!」
「後は物理的にその強度を超える攻撃を叩き込むだけ。判ればなんて事ないわね」
既に勝ったかの様にフォウが声高らかに笑う。ドゥーウェンは、実に面白くないといった顔をするのだ。
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