電撃さんからのカクヨムエントリーについて

 ついに、電撃大賞さんも始まったようだ。

 と言っても、第30回から。すなわち来年4月に締切となるものからだが。


 電撃大賞さんと言えば日本最大級の応募総数であり、まさに日本最強の新人賞と言っても過言ではないのかもしれない。

 電撃さんはメディアワークス賞が併設されているので、私のようにニッチで堅くてややこしい話ばかり書く者でも応募しやすい環境がありがたかった。

 そもそも、少しばかり病んで休職していた時に、もう執筆をやめようと思って敢えて電撃さんに応募した経緯がある。

 これでダメならもうやめにしようってね。

 結果としてこうしてまだ書いてる訳だけども。



 だから、ついにカクヨムから応募可能――と聞くとちょっと身構えてしまう。


 あぁ、これで長文タイトルものの、チートやスキルや、ざまぁややれやれや、悪役令嬢や第〇王子や追放勇者やスローライフや、甘々ヒロインや、あれやこれやがきっと増えるだろう。

 ~や~やと、まるで奥田民生の『息子』だ。

 曲が終わってもまだ歌詞に無い部分で、『安心や、民衆や、うたかたや、小豆相場や』と延々と続いてしまう。


 しかもweb小説サイトだと、星やハートやイイネ!が人気のバロメーターとして直結している。

 そういう作品の神は「これで電撃さんで受賞して書籍化や!きっとワンチャンあるで!」となるだろう、と。

 そしてマイナーで土着の付喪神であるような私が電撃さんのタグをつけて応募したところで「これはワイの作品が勝ったなw」と一笑に付されるのがオチだろう。

 だから、私は最初からメディアワークス賞寄りなんですってば。


 なので、間口が広がるのは良いが、電撃さんには電撃さんらしい選考をして欲しいなって思うのが、私のようなスキマ者のささやかな願いなのである。



 しかし、ここで公募勢である私には、ふとある疑問がもたげた。

『作品メモの部分にあらすじを800文字程度で完結まで記載すること』

 これは、普通の作家さんには中々にハードルが高いのではないだろうか。


 つまり、作品が連載中でも完結でも、作品メモで物語はラストまでバレる。

 長文タイトルやキャッチコピーで内容を容易に推測できる(だから私は敢えて足跡すらつけないように出来るという利点もある)が故に、~や~や、な『息子』なアレ系はおろか、ごく普通の作品でも選考の過程は同じなわけだ。


 これはなかなかの恥辱プレイ。

 オチがバレるということは、その過程にある意外性、ストーリーの起伏、もしくは文章でのスキル如何やギミックの面白さで戦うしかない。


 流行の作品を書き、ビッグウェーブに乗ってレッド・オーシャンに繰り出す船長の

皆さんが、果たしてオチやラストまでキチンとシナリオやプロットを書いたうえで、作品を公開しているのだろうか。

 大きな波に飲まれなくても、船員同士のイザコザでも船はすぐに転覆する。

「書いてるうちに矛盾があったので書き直します」

「シナリオが破綻したので、いったん非公開にして改稿します」

「これ以上は思いつかないからエタります、削除します」

 こういう便利さはweb小説サイトの良さでもあるが、船長なら出航前に回避しなければいけない危険予測だと思う。

 自作を人目に触れさせるというのはそういうこと。

 それが泥の小舟であっても、私なりの船長という矜持である。

 でなければこんなカクヨムなんか、いや、執筆なんかやっていない。


 しかし、文字数が公式サイトからのWeb応募だと概ね13万文字前後が上限なのだが、カクヨムからだと18万文字まで良いみたいだ。

 そのあたりは明らかなメリットだと言わずにはいられない。


 さて、1作くらいはカクヨムから応募してみようかな、と思うところもある。

 いや、やっぱし安心安全の公式サイトからのWeb応募だろうとも思う。

 しかし、それにはまずプロットの執筆が無ければ意味ない。


 しばらくは、キチンと作品に向き合って思案の日々にしよう。

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