花から分かる君の事

HYS

第1話花置き失踪事件

『あなたは行きたいのですか?』

『行きたい。行かせてくれ』

この瞬間、また一人この世界から消えた。


窓からの日を浴び、目を覚ました。

アラームの設定時間から既に40分以上経っている事に気づき、急ぎでベッドから起き上がる。

時間は余りないが今日の天気を調べる為、テレビを付ける。

テレビで『男子高校生が失踪した』と言うニュースが流れていた。高校生の親は泣きながら写真のついたチラシを見せ、マイクの前で話している。また置き手紙と花があったそうだ。今回の花はアネモネだったそうだ。

今年に入り半年以上が経過し、夏。これで4件目になる。この前の3件の失踪にも全て置き手紙と花が残されている事で『花置き失踪事件』とまとめて呼ばれている。毎回、花が変わり、一人目はウツボカズラ、

二人目はウシノシタクサ、

三人目はチグリジア、

そして四人目が今回のアネモネだった。

今年に入り、この街での失踪が立て続けに起きている。

今回から、警察が誘拐として調べるようだ。

『また失踪か。毎回花を置いていくなんて、どんだけナルシストなんだよ。』

バタバタしながら、そんな事を思った。

学校用のバックを担ぎ、家を出る。


ギリギリ学校に間に合い、自分の席に座る。

朝礼を終えた後に、後ろから話かけてきた。

『今日もギリギリだったな!あと2分遅かったら遅刻だったのにな〜惜しい!』

後ろの席の宮戸悠が話し掛けてくる。

悠は保育園からの幼馴染で高校の今でも仲の良い友人だ。

『お前はいつも惜しがるの辞めてくれないか?』

俺の言葉に食い気味に悠は

『だってお前はいつもギリギリで遅刻しないじゃん!あと2分は遅刻した方が面白いよ』

悠はもの凄い笑顔で笑った。

『登校に面白さを求めないでくれ。』

俺は悠の言葉に苦笑する。

悠は急に話を帰る悪い所がある。俺はもう慣れているが、未だになにを話しているのかがわからなくなる。

『そういえば、今日のニュース見たか?また失踪だってさ!』

悠は急に話を帰る悪い所がある。俺はもう慣れているが、普通の人なら着いていけないだろう。

『急に話変えたな。まぁいいけど。見たよ。』

『怖いよね〜ヤバいよね〜』

『置き手紙が置いてあるんだから自主的な失踪だろ?花があるのはよくわからんが、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。』

『誘拐として警察が調べ始めただろ!見てないのか!』

『見たよ。見たけどあんまりこの失踪が誘拐に見えないんだよ』

『ん?どゆこと?』

『置き手紙もあるし、もし誘拐だとして犯人がわざわざ花を置いて行く理由が無いだろ。』

悠は少し考えた後、

『そうだな!事件っぽく無いな!』と言い

納得したように何度か頷いた。


キ〜ンコ〜ンカン〜コ〜ン

そんな話をしているとチャイムがなり、俺らは前を向く。

1時間目は国語だ。

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