第183話「赤シャツ」

先生「僕のことは学校では赤シャツと呼んでくれたまえ。そのほうが通りがいい」

生徒A「はい、わかりました!」

先生「……おい君、本当にわかっているのかね?」

生徒A「はい! つまり『赤』いシャツってことですね!」

先生「違うよ! 僕はそんなに目立つ存在じゃないんだよ!?」

生徒A「え? でも赤は目立ちますよね?」

先生「確かにそうだけどさあ……。ああもう、なんでこんなことに……」

生徒B「先生も大変だなぁ。僕だったら絶対嫌だよ。『赤シャツ』なんて名前で呼ばれるの」

生徒C「まったくだぜ。まあオレは気にしないけどな!」

生徒B「君は気にしなさい」

生徒C「はいはい。……で、テーマは『お買い得』なんだっけ?」

先生「うむ。そうだ。よくぞ聞いてくれたね。実はこのテーマには深い意味があるのだ」

生徒A「へー。どんな意味ですか?」

先生「それはズバリ、『値引き』だ!!」

生徒A・B「おお~!」

生徒C「……」

先生「どうしたんだね、君たち。もっと盛り上がってくれてもいいだろう?」

生徒A「だって……なんか先生らしいテーマじゃなくないですか?」

先生「何を言っているんだね君は! これはとても大事なことだぞ!?」

生徒B「だって、僕らまだ高校生ですよ? それなのに『値引き』をテーマにするなんて、おかしくありませんか?」

先生「ふむ……。確かに一理あるな」

生徒A「でしょう?」

先生「しかし考えてみたまえ。これからの時代、何が起こると思う?」

生徒A「何って……消費税が上がったりとか?」

先生「いや、そういうんじゃなくてさ……」

生徒B「地球温暖化が進みすぎて氷河期が来るとかか?」

先生「それも違うんだけど……。というより君たちは一体どこからそういう知識を得ているんだね!?」

生徒A「え? 漫画ですけど?」

先生「漫画の知識なのか……。君たちも将来が不安になるほどバカではないと思っていたのだが……」

生徒C「大丈夫ですよ! 僕はバカじゃないんで!!」

先生「ほほう。では問題を出してみようじゃないか。……『赤シャツ』と書いてみてごらん」

生徒C「あかしゃつ」

先生「……うん。君も大概だね」

生徒C「……」

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