水影の森
Meg
第1話 前編
どこともしれないところに、
その土地はおびただしい黒い
そんな
そこに住みついた生き物たちは、ぶよぶよとした白い肉体を持ち、4つ足で人間と同じように2足歩行をした。
人間でいう脳と同じ機能を持った頭部も持っており、知性もあった。
体型はずんぐりだったりひょろりとしていたり、個によってまちまちだったが、大体は頭部らしき部分に
ただ、光のほぼない土地のため、かれらは視覚にはほとんど頼らず、もっぱら触覚によってつかんだ感覚を頼りに生きていた。触覚に念を込めることで、
食べ物は必要なく、地面に
かれらがみずから
かれらには欲もなく、攻撃心もなかった。その気質はどこまでもきよらかだった。
かれらには独特の風習があった。森ではたまに
月がかくれたある日もまた、かれらは
王が見守る中、ぼんやりと光る石に囲まれた水辺にかれらは入り、
あたらしいかれらが生まれるのを、森の王は
だが
かれらの赤い目が、強すぎる光をとらえた。かれらの目はそれほど強い光になれておらず、どの
じつのとこ、その
しばらくすると、かれらの目もなれてきた。
かれらははじめてはっきりとした黒い森の風景、そしてかれらの姿を
それから
あるものは森や水や世界の
やっかいだったのは、あの日すべてが照らされ、かれらが森やかれらそのものをはっきりと認識したがゆえに、自己と他者を比較する心がうまれてしまった連中だった。そしてかれらの身のうちの欲望さえも、あの光は照らしてしまった。
あるものは自分が管理をまかされている木が、他人より立派であるかが気になった。あるものは水面にうつった自分の姿がうつくしいか、あるいは他人より劣っていないか、こだわるようになった。あるものは自分のうみだした子が、他人とくらべていかがなものか常に関心をそそいだ。
他人とくらべてなにかを比較することにこだわるようになったものは、たえず言いあらそいや、物理的ないさかいをおこすようになった。
我が身の不出来に絶望し自殺するものまででてきた。
さらに、かつてきよらかだった心に、他者をさげずみ、おとしめ、けおとそうとするみにくい
もっともっと、自分だけがと、あくなき欲望を隠さない者もいた。
おだやかに森を管理するものは少なくなり、黒い
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