第2話

木材が、背中にどっとおしかかる。外は、二月の寒さで凍えて、吐く息も白い。

「大西。これもお願い」

「はーい」

逆らうことはできない。現場の人間というの人種は、とにかく言葉が悪い。

煌々と照りつける携帯用のだだデカイ電灯がまぶしい。たまに通りすがりの者が、この工事現場を不思議そうに、そして興味深そうにじーっと見ながら通りすぎていく。

木材を次から次へと運ぶ。

その晩は、それの繰り返しだ。ふいに、ひらりと白いものが空から落ちてきた。その数は、次第に増えていく。一瞬にして、あたり一面、ふわふわしたそれで前が見えなくなる。

どおりで、寒いわけだ。

俊一郎はふいに、空を眺めた。暗い中を点々とした情緒的な白い雪が、目の前をまはらに照らす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る