第44話 少女の想い





「────はあ、結局何も出来なかったなぁ。幸太君の助けになれなかったなぁ………」


 「ダンジョン」から帰還した安藤奈々は一人部屋で項垂れていた。自分の個室の部屋だからか着ていた白の法衣を床にばら撒けている。

 こんなだらしのない姿など幸太に見せられないが今は誰にも見られていないので許してほしいと言う様に黒色の下着姿でだらけていた。


「こんな世界になっちゃったから幸太君を守る為、自分の為に才能があったから冒険者になって強くなったつもりだったんだけど。それも所詮はちっぽけな才能だったのかなぁ………」


 冒険者は「スキル」さえあれば誰でもなれる職業だが、上に昇れるかと言われればそうでもない。


 安藤が言った様に才能又は特別な「スキル」が無くては到底「ダンジョン攻略」など無理だ。

 ただ、そんな中、安藤には冒険者になる才能もあり、運が良い事に特別な「スキル」────「」と呼ばれる物を所持していた。


 「ユニークスキル」とは、普通の「スキル」とは異なる特別な「スキル」のことだ。


 有名どころを例に出すなら「勇者・剣聖・聖女・賢者」────などが上がる。


 なら安藤は何の「ユニークスキル」を所持しているのかと言われると────


「────でも、諦めたくない。私だって「」と言われる「ユニークスキル」を持っているんだから」


 それは「聖女の卵」と呼ばれる「ユニークスキル」だった。


 この「スキル」を簡単に説明すると自分の頑張り次第で本来の「聖女」と同義の「スキル」になるというとんでもないものだった。


 だから恵まれている安藤はそこで胡座をかくことなく今まで頑張ってきた、つもりだったがいざ「ダンジョン」に行ったら役に立たないどころか守ると誓った相手に助けられてしまった。


「………幸太君、元気にしてるかな?また逢いたいなぁ………」


 幸太の事を考えた安藤は少し頰を染めると布団に顔を押し付けてそんな事を呟いていた。


 今の段階で既に「夕凪の日差し」のパーティが幸太を探しに行ったのだが────見つからない=亡くなっているという報告を受けている。


 その事は風の噂で安藤も聞いていたがそんな事まったく信じていなかった。


 だって自分の"想い人"でありあんなにも強く、自分と死なないと約束をしてくれた幸太が亡くなったなど一つも思っていないのだから。


「────そうだよ幸太君は必ず生きている。そして私の元に必ず、絶対戻って来てくれるはず。幸太君が、"私の幸太君"が亡くなる訳ないじゃない!私がこんな事でウジウジ考えてどうするの!!」


 そう叫ぶとさっきまでの不安や諦めの表情は何処に行ったと言われる程にその瞳には爛々と何か決意を決めたように炎を灯していた。


「何が義理の母よ、幼馴染よ────自分達が幸太君の生存を諦めてどうするのよ!そんな事をしている暇があるなら強くならなくちゃ!」


 そう思った安藤は下着姿のまま立ち上がると床に置いていた白色の法衣を着て「ダンジョン」に向かう準備をする。


「私は強くなる、今は「C」ランクだけど強くなってあの人の────幸太君の隣に立つんだから!」


 その瞳にはもう諦めの感情など一つもなく、晴れ渡っている様に見えた。


 恋は盲目と言うが、恋する乙女は誰よりも強い。



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    安藤 奈々(16歳 女)


L v.:15

種族:人間

職業:魔法使い(聖女の卵)


体力:110

魔力:800

スタミナ:50

筋力:300

防御力:20

魔防御力:250

素早さ:30

運:50


加護:異世界???の加護


スキル:光魔法lv.1 「ホーリーレイン・ライトボール・ライトバレット」 水魔法lv.2 「ウォーター」 回復魔法lv.3 「ヒール」 魔力制御 魔力上昇 ??? ???


ユニークスキル:「聖女の卵」


エクストラスキル:???


属性:光 水 無


 幸太とまた会う為に「ダンジョン」にまた挑戦をしている。


 今はまだ冒険者ランクは「C」


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